第3話 19週目 手術の決断
頸管長の短さから入院して4日後でした。一旦様子を見て良ければ自宅安静という話を聞いていたのは束の間、妻のお腹に張りが出て頸管長は17㎜になってしまいました。
元々は頸管無力症の疑いがあるので手術はしていく方が良いということでしたが、張りがある状態だとその対象にはならないようです。更に双子はこの手術の実績が少なく、先生からは「院内のカンファレンスでも五分五分で意見が分かれています」と言われました。正直専門知識が無い以上、先生がした方が良いと言えばしようと考えていましたが、決断はこちら側に任されました。
頸管を結ぶ手術にはシロッカー法とマクドナルド法の2種類あり、私たちの対象は後者でした。正直シロッカー法の方は子宮の根元で糸を結ぶので、そっちの方が安心だなと思っていましたが、こればかりは仕方ないです。
先生からは結ぶことで出口を塞ぐので、頸管長が短くなることを防ぐ一方で、糸とはいえ身体に異物が入る為、万が一はそこが感染源となり、子宮内感染を起こして張りがより強くなる、更には陣痛に変わるということが、この手術の最大のリスクでした。「まだ産まれないようにするために手術するのに、そのデメリットが産まれてしまうということですか?」と、何を求めているのか分からない質問を投げかけるしかありませんでした。
先生から手術の説明を受けた後、少し話す時間を頂きましたが、そこで私たちは手術することに決めました。正直五分五分と言われしまった以上、あとはどちらが後悔しないかということを考えて選択するしかありませんでした。
「もし手術しても万が一産まれてしまった場合、手術しなくてもそうなっていた可能性もある。でも手術せずにそうなった場合、手術していれば、と思うかもしれない。」私も妻も同じ意見だったので、手術を行うことにしました。
夫としては、洗濯物やお菓子の密輸、両方の両親への電話、そして毎日家にある安産祈願のお守りに手を合わせるということしかできません。この話のタイトルにしましたが(語弊は招きたくないですが)、ある意味当事者としての『主観』の自分と、励ますことしかできず、別世界での私の仕事などの日常は続いてしまう、『傍観者』にしかなれない自分が共存しているような感覚です。
最後に、手術については無事終わりましたが、ここからまだまだ試練が続きます。
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