第15話 イってしまえ!
ミンカさんはベッドから降りて座り直そうとしたので、僕はそれを止めた。
「まって、このままうつぶせになってください」
「このベッドに? まさか、私と交わろうってんじゃないよね?」
「そんなわけないじゃないですか。最後までしたら掟で死刑でしょう? 僕は気持ちのいいマッサージをしたいだけです」
これまで鬼女たちには肩と背中のマッサージしかしてこなかった。
だから普段は椅子に座っての施術だったのだ。
だけど、今日はスペシャルなマッサージを予定している。
猫族のリゲータにしたのよりもっとすごいやつである。
「まあ、いっか。それじゃあお願いね」
ミンカさんは僕のベッドに横になった。
「それでははじめます」
まずはレベル1のマッサージ。
でもそれは一瞬で、僕はすぐにシフトを2、続いて3にあげた。
「はぁ……、これこれ」
鬼女たちが知っているのはこのレベル3までのマッサージである。
マッサージのレベルが4にあがったとき、僕は今日という日のためにそれを秘匿していたのだ。
そして、今や僕のマッサージレベルは5である。
「気持ちがいいですか?」
「うん、最高。座ってやってもらうよりずっと気持ちがいいよ」
「よかったらシャツを脱ぎませんか。その方がずっと気持ちよくなります」
「ん~、おっぱいはもう見られているわけだから、いまさらか……。わかった」
ミンカさんはさっさとシャツを脱ぎ捨てた。
巨乳との再会に僕はほくそ笑む。
実は服の上からよりも直に触れた方が魔力は伝わりやすい。
よしよし、第二段階突破だな。
次は第三段階だ。
「それでは、マッサージのレベルをあげますね。シフト・フォース」
「ひゃんっ!」
指先の魔力がうなりを上げ、ミンカさんは大きくのけ反った。
「なに……これ……、すごいんだけど……」
「いい感じでしょう? 少しずつ下へいきますよ」
「うん……」
僕は肩甲骨のあたりから腰の方へと指をずらしていく。
「そこそこ! そこをもう少し」
「わかります、このあたりですね」
レベルが上がったせいかミンカさんの気持ちのよいところが手に取るようにわかるぞ。
あ、悶絶ポイントはっけ~ん♡
「はうっ! ダメッ、そこはダメッ!」
「え~、嘘はよくないですよぉ。ミンカさんの体はこんなに喜んじゃってるじゃないですかぁ。よーし、じゃあ、そろそろお披露目しちゃおうかな」
「な、なにをするの?」
「怖がることはないですよ。気持ちいいマッサージですから。やってもいいですよね?」
「…………」
「無言は了承とみなします」
くくく……、今宵、僕は鬼となる!
「シフト・フィフス!」
「っ! んんんんんんんっ!」
気持ちよすぎて声も出せないみたいだぞ。
うわぁ、ミンカさんの全身から汗が噴き出ているよ。
「これはいけない。濡れるとよくないからぜんぶ脱いでしまいましょう」
「…………」
ミンカさんは無言でふるえているので、これも了承とみなした。
そう、僕は鬼なのだ!
ぺっぺっぺっとミンカさんの服を手際よく脱がしていく。
「ん~、下着も脱いじゃいましょうか? もうびしょびしょに濡れてますもんね。風邪をひいたら大変だ」
「そ、それは……」
脱がせながら魔力を込めて太ももをマッサージした。
「ふあぁあああああああっ!」
ぷしゃっ!
あらぁ、ベッドまでビチャビチャになってしまったけど、まあいいか。
もう二度とここで寝るつもりはないからね。
「おっと! ミンカさん、どこへいくつもり?」
はいつくばって逃げようとしていたミンカさんのお尻をつかんだ。
美巨乳に並ぶ美巨尻である。
「ああ、ここもやってほしいんですね?」
「ち、ちが……」
「遠慮しなくてもいいですよ。僕がこの村でマッサージをするのも今夜で最後ですから」
「最後……?」
ミンカさんに考える暇を与えないよう、僕は魔力を指にためる。
「いきますよ!」
「はうあっ!」
「それ! それ!」
「あっ! あっ! あっ! あっ!」
「気持ちいですか?」
「すごい! 死んじゃう! 死んじゃうぅうっ!」
「じゃあ天国に行ってください」
「ああああああああああっ!」
僕は仕上げとばかりにいちばん効きそうな場所のマッサージを開始した。
それはどこかだって?
企業秘密です!
「イケ! イケ! イッちゃえっ!」
「い……い……いぐぅううううっ!」
ミンカさんは体中のいろんな水分を、いろんなところから放出して果てた。
うむ、デトックスも完了である。
「ミンカさ~ん……」
僕はそっとミンカさんをつついてみる。
やっぱり、反応はないな。
どうやらちゃんと気絶したらしい。
これが村長やラジャーナさんが相手だったら、ここまでうまくはいかなかっただろう。
比較的レベルの低いミンカさんだったからこそ魔力を浸透させることができたんだな。
ミンカさんの服を探り、牢屋の鍵を取り出した。
そしてあらかじめまとめてあった荷物を背負う。
音をたてないように鍵を開けて、僕は表に出た。
いい月夜である。
夜空にはレモン色の半月が登り足元を明るく照らしてくれている。
もう寝てしまったのか明かりのついている家はなかった。
よし、今のうちに逃げ出そう。
僕は半月ぶりの自由をかみしめながら、森の道がある方向に向かって走りはじめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます