もう一回。


 夜の街

 みんなに隠れて小指をからめた

 そしらぬふりで

 あなたはよそ見したまま

 わたしは道路を見つめたまま


 お酒でふわふわ

 涙もふわふわ

 気持ちもふわふわ

 歩きたくない足が

 小指ひとつに導かれて


 きゅっと力が込められて

 

 忘れてしまえと

 すぐに忘れるよと

 今のわたしには届かない言葉で

 だからあなたは

 小指をからめて

 ぎゅっと

 もう一回


 夜の街

 涙ほろり

 流されてしまう

 わかってる


 これもまた

 遠くない未来のどこかで

 別の誰かの小指に連れ去られるもう一回に

 流されるだけの

 愚かなもう一回


 

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