空耳。


 ねぇ、いまなんていったの?

 そんな笑顔で

 朝の光さす白いシーツの上で

 まぶしくてよく見えないけれど

 とりあえず、よだれをふくわね


 ねぇ、おなかが出てるわよ

 笑いながらシャツをズボンのなかにしまう

 月明りが思いの外明るいから

 わたしは窓の外へ目をむける

 太陽とはちがう明るさで

 雲がちぎれてゆく


 時間の空耳

 聞こえたような気がしたの

 手離すまでの時間を数えながら

 そっと目を閉じる


 朝ぼらけ

 果ての朝焼け

 命の全ては空耳

 やがて空気にとけるまで

 あなたの頬に口付けるだけ

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