第11話 挑発
「こんばんは〜、また会いましたね〜」
目の前に現れた2人の女。昼間絡んで来た
不敵な笑みを浮かべ、ヒラヒラと手を振る
「何か用ですか?
「
「
「因縁を付けるだなんて、そんなガラの悪い事しないよ〜。ねー、光希」
「うん」
そして、光希の方は自発的に言葉を発する事はなく、
「じゃあ何ですか?
「私たちはたまたまここにいただけ。そしたらたまたまあなた達が来たのよ。どこ行くの?」
「カフェテリア。夕食を食べに行くんです」
「あー、ご飯ねー! ほんとにそいつらに食料渡すの?」
「仲間ですもん。当たり前でしょ?」
「ふーん、私は仲間とは思ってないよ? パイドパイパーの全員が仲間って認めてないのに、貴重な食料渡していいのかなぁ? ねぇ、光希?」
「駄目ですよ」
肯定しかしない光希は、やはり
「だよねー。赤の他人に貴重な食料は渡せないよねー」
「
しつこく絡んでくる
「あー、
「大丈夫ですよ、
「
「簡単ですよ! 私を倒してご覧なさいよ!
私を倒せないようなら探索班も見張り当番も務まらないから」
確かに
「あー……戦うのは嫌だなぁ。他の方法はない?」
穏便に済ませるに越したことはない、と、
「は? ないわよ! 他にどうやって強さを証明するの? 戦うのが嫌なら
今まで笑顔だった
すると、今まで静観していたカンナが前へ出た。
「倒せばいいんだよね? なら私がやる」
「やめなよカンナ。仲間同士で争う必要はないよ。安い挑発に乗るな」
「倒したらご飯食べていいんでしょ?」
「おお! 女の方が釣れた〜! ラッキー!! でもそのスカした感じ〜ムカつくぅ〜!! ねー、光希ー!」
「うん、でも
カンナが名乗りを上げた事に、
「分かってるよ! 光希! 再起不能にしちゃったら
「1つ約束して、
真面目に意見を述べるカンナに、水音は口を押さえてキャハハと笑う。
「馬鹿みたい。まあ、いいけど、あたしが勝ったらアンタはここから出てってよね。そんで、男の方はあたしの奴隷になってもらおうかな。どう?」
「いいよ」
当事者の意見も聞かずに勝手にエグい交換条件を飲むカンナに
「あはははは! いいのかよ! じゃあ本気で行くわね!」
「ほぉぉぉら!! 顔面イッちゃうよぉぉーー!!」
絶叫しながら右の拳で殴り掛かる
「えっ!?? なっ!!?」
素人なら受身など取れずにそのまま地面に倒れてしばらくは立ち上がれない。にも関わらず、
それを見たカンナだが、放心状態の
「私の勝ちでいい?」
我に返り、悔しそうに睨み付けてくる
「何言ってるの?
「いや、もう、私の負けでいい……」
「そんな、
「違う……突き飛ばされただけじゃない、何かに弾かれた……」
「え?」
何が起こったか理解出来ていない光希にも、何かに怯える
「この女、エクセルヒュームかも……」
「まさか……」
エクセルヒュームの可能性に動揺する
「アンタさぁ、どんな能力使ったか知らないけど、卑怯じゃない? それで勝って嬉しいの?」
恐怖と悔しさが混濁した
「
「うるせーよ!! 玉無し野郎!! 戦いもしない雑魚は黙ってろよ!! 行くよ! 光希!」
「やれやれ、きっと懲りてないな、あの2人」
「驚きました。まさか、あの
「結構強いよね、あの子」
カンナの言葉に、
「はい、エクセルヒュームじゃないですが、
「そうだよね。動きが全然違った。私が氣の力を使えなければ、初撃でやられてた」
「すぐに勝てないと悟ったのか。相手の力量を理解して戦うのをやめたのか。ネフィスの戦闘能力はえげつないな。やっぱ俺は戦わなくて正解だった」
「
カンナはお腹を擦りながら、静かに
「そうですね、行きましょう!」
「ほら、澄川さん、暗い暗い! ご飯食べて元気出しましょー!
沈んだ空気を変える為、再び笑顔を見せる
3人は夕焼けの中足早に石畳を歩き、大学内のカフェテリアへと入った。
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