第7話
【SIDE:ジル】
下着をつけているから、別にジルは見られても平気だった。だが、リーズが少し怯えていたから、わざと冗談のように誤魔化したのだ。リーズは未だにジルのことを『親友』だと思っているから、異性としての男を出すのは得策ではない。
そうは思えど、こうして抱きしめてしまえば、愛しさは増すばかり。さりげなくリーズの髪の香りを堪能することで我慢することにした。
ジルはある決意を持って森から出てきている。それは、リーズと一生を共にするというものだ。そのためだったら何でもする。好きな相手に子ども扱いされるのは不服だが、それで彼女の気を引けるのであればやぶさかではない。どうやらリーズは子ども姿の自分に弱いらしいから。
最初は男と知り追い返されそうになって焦った。だから特異体質を利用し、出会った頃の姿で泣き落としをしてみたのだ。子どもの姿なら絆されてくれるかもという淡い期待だったのだが。
すると予想以上に効果覿面、リーズはこちらが心配になるほど子ども姿のジルに甘かった。特異体質をずっと恨んでいたが、むしろこれを利用しない手はない。絶対にリーズをつなぎ止める。
でも、甘やかされるのは心地よくて癖になりそうだ。いや、むしろ癖になっているのかもしれない。早く大人の姿でも存分に甘やかしてくれないだろうか。抱きしめて、頭を撫でてもらいたい。そして、その柔らかな唇でおでこではなく、別のところに触れてはくれないだろうか。
そんなことを考えつつ、リーズの後ろ姿を見つめる。ズボンをはく間、見ないように外を向いていてくれと頼んだのだ。律儀に目まで瞑っている様子に、可愛いなと自然と笑みが浮かんでしまう。
あぁ、終わりは彼女と一緒が良い。心からそう願う。
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