おわり

板谷空炉

おわり

暗い世界に佇み ひたすらに

穴の底から青空を見る


やわらかく流れる雲に

便りのように届く若葉


見える

明るい世界は見えるというのに

どうしても

登れないまま

今日も同じ場所で眠りにつく


ある朝 目が覚めて

ふと、上の世界を掴みたくなり

手を伸ばした

──勿論届かない


鳥は外の世界を優雅に舞い

チュンチュン、と 何気なく鳴いたのが

 引き金だった


よじ登り 上を目指し

突き放され……

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おわり 板谷空炉 @Scallops_Itaya

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