睡眠時間、買います。
すずな
俺、ピンチ?
「今月ピンチなんだよ!頼む!な?」
そう言って俺は彼女であり婚約者のあいりに手を合わせた。
あいりはいい女だ。他の女と同じようにしっかり俺に惚れている。
俺は女に困ったことは一度もなっかたし、それは今後も同様だ。
俺は常に自信を持っている。理由なら日が暮れるまで語ることができるが今回はその一部を特別に教えてやろう。
第一に俺は、イケメンだ。多分、いや確実にアイドルだってこなせる。あとは女が必ずそばにいる。そしてセックスも絶対に気持ちよくさせれる。金に関しては女が全部持ってくれるから余裕だ。
どう?惚れない理由がない男とは俺のことだと確信しただろ。
ズン、、急に頭に重さを感じ、流石に耐えれなくなり頭を上げると背後で重いものが落ちる音が鳴った。
「それ、お前の残りの仕事。今週で終わらせないとクビ」
目の奥で痙攣が起きている。
視界が合わないオフィスでなんとかピントを合わせるとミニ豚、という異名がある部長と目があった。
「え?、いや、今週って、今日金曜日っすよ??」
しどろもどろで答えたその声は本当に出ていたかはわからない。が、
「俺はあいりじゃない。津野方はもう死んだだろ。夢を見るほど余裕なら今日は寝なくてもできる、よな。とにかく終わらせないとクビだから」
冷たく、ただ呆れ。そんな顔つきを眺めることしかできなかった。
「あ、あと、男なら金は自分で稼げよ。津野方死んでもこいつに金ヅルって思われてるだけで感謝の一言もないなんて、まさに、クズ、」
目、顔、肩、脊椎に情報というストレスが目に見えるほど暴れている。
え、あ、ああ。俺は、あいり、に、会いたかった、のか。
なんとか理由をつけて会いに行かないと格好がつかない。そんなプライドが、いや、過剰な自信、か。なかったらどんなに楽で自由な人生だっただろうか。
「疲れたから、疲れてるから、会いたい。」
こんな言葉が言えたらどれだけ、どれだけ幸せ、だっただろうか。
こんなことを考えながらも今月どうやりきろう。そんな焦りが頭の中で舌を出しながら駆け抜けていく音が反響していることにまた、凹むしかなかった。
背中に抱きつかれているような錯覚を起こさせる背後の資料に寒気を感じながら暗すぎるオフィスの中で終わらせなきゃいけない。そんなプレッシャーにと戦う術をおれは知らない。しっこっちゃない。
パソコンのブルーライトを眠気覚ましとして睡眠魔と戦う土俵を作るところで俺はひとつのサイトがめにとまった。
睡眠時間、買います。 すずな @rillyna
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