第3話 チラ見


 昼休み…俺は別クラスの友達と飯を食い、残り15分くらいか…自身の教室に戻り、スマホを1人ポチっていた。


 高校に入って3年目にはなるが、さすがの人の多さもあるため、話したことのない人が多い。仲の良い友達も別クラスのため、最近はこういうルーティンを取ることが多くなっていた。


 スマホをいじるといっても特段何をしたいというものはない。ゲームをしたり、アプリでリアルタイムの書き込みを見たりと、そんな感じに時間を潰している。


 そして今日…そんなルーティンをこなす俺に一つの異変が訪れた。


 ジーーーー…


 隣からものすごい視線を感じた。目を向けてはいないが、その視線が俺に向いているということだけは雰囲気からすぐにわかった。


 チラッ…


 視線を感じる隣にいる春川さんに目を向けると。


 ヒョイ!


 ふーふーと吹けてもいない口笛を吹いてるっぷりをしながら、春川さんはあっちの方向を向いてしまった。


 ジーー…


 チラッ


 ヒョイ!


 …かわいい…


 何か俺に言いたいことでもあるのだろうか?そんな気持ちもあるが、小動物のように反応してくる春川さんの、今起きているこの現象がなんだか楽しくなってきた。


 その後も何度かおもしろがてらチラチラと春川さんを見たが、本人もバレてないと思っているのか負けじと何度も目をそらしていく。


「春川さん…どうかしたの?」


 満を辞して聞いてみると。


「えっ!?、、、どどど、どうって……か、かみや君こそどうかしたの!?……私のことチラチラ見てたみたいだけど…」


 身振り手振りの大きなアクション、焦ったかと思いきや、だんだんとトーンダウンしていく春川さんが非常に可愛かった。それになぜだか状況は「俺が春川さんを見てきた」という俺が下手に回る状況に変わっていた。


 …まぁ、いっか…


 これはいい機会かもしれない。


「春川さんは昼休みは一人なの?」


 なんだか合コンでのひとことのようなくさいセリフが、俺がまともにかけた春川さんへの初めてのアプローチだった。

 


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