第2話 帰り道
ふと下校での出来事だった。何気なしの帰り道…数十メートル先に春川さんが歩いているのが見えた。
…へぇ…帰り道一緒なんだ…
そんな新たな発見にほんの少しだけ自分の心が沸いた瞬間だった。
…落ち着け…神谷 渉…平常心だ…
下心が筒抜けなってしまいそうな状態を俺はなんとか落ち着かせた。
そして一歩一歩と春川さんとの距離を詰めていく。
だが誤解しないでもらいたい。側から見ればストーカーのように見えてしまうこの行為。もちろん俺も思春期の一男子学生。春川さんの姿にムラムラしないと言えば嘘になるが、俺もそこらへんはわきまえている。
『ただただ横を通り過ぎて、軽い挨拶をかける」
これだ。もちろんさっきも言ったが、下心がないわけではない。ただ1人の神谷 渉という学生としてそれっぽく横を通る。
あわよくば…ほんの…ほんのちょっとだけビッグマウンテンを拝めれば…
そしてしばらく歩いていると、春川さんのすぐ横に並びかけた。なんだか春川さんの歩くスピードが遅い気もしたのだが「女の子だからだろう」俺はそう予測した。
そして…
「おつかれ、春川さん…また明日ね」
とうとう春川さんと並び、俺はそれっぽい何気無いテンプレのような挨拶をかけた。
その時だった。
バチンッッ!!
「いてっっっ!!」
何か小さい何かが俺の顔面を強打してきた。そしてなんだか地味に痛い。
「ごごごご、、ごめんなさい!!神谷君!!うん!また明日!!、、また明日ね!!」
春川さんに何があったかはわからない。だが春川さんは何か焦った様子で走ってこの場を去ってしまった。
何か気に触ることでもしてしまっただろうか?ちょっとしたショックを受ける俺…
フラれるってこういうことか?告ったわけでもないが、ふとそんな気持ちに打ちひしがれていると。
………ボタン?…
たまたま下を見た時だ。何かYシャツか何かのボタンのようなものが落ちていた。ふと自分のYシャツを見ても、とれてる様子はない。
「なんだろう?…」
たまたま予備のボタンでもポケットに入っていたのだろうか?俺は謎に落ちていたシャツのボタンをポケットにしまった。
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