2話 「はい、俺のチートスキルモンスターテイムAランクで」「少女、まずお前をテイムだ」「私、わりと天使っぽさとか女神っぽさありますよね」


  「よし、じゃあ行くか」


 「はい、どうぞ」


 俺は、女の後ろ襟を掴む。


 「え?」

 「なんで、私の後ろ襟掴むんですか」


 「なんでって」

 「これから異世界転生するからだよ」

 「はい、俺のチートスキルモンスターテイムAランクで」

 「少女、まずお前をテイムだ」


 「私、モンスターじゃないです」

 「この翼は、モンスター的な翼ではないし」

 「モンスター娘でもありません」

 「私、わりと天使っぽさとか女神っぽさありますよね」

 「モンスターじゃありません」

 「なのでテイムできません」


 「はぁぁぁぁー?」

 「何言ってんだお前」

 「お前はモンスターじゃないよ」

 「それは分かるよ」

 「お前はモンスターじゃねぇ」


 「そこは、分かってくれるんですね」

 「私はモンスターじゃありません」


 「ああ、だがな」

 「そんな事は関係ない」

 「チートスキルだとか」

 「テイムだとかそんな事もまったく関係ない」 

 「俺が行くぞと言ったら、行くんだよ」


 「そんな無茶苦茶な」

 

 「いいか、無茶苦茶ってのはな」

 「俺以外が何かする時に使う言葉だ」

 「同じことでも、俺がした場合は」

 「それは道理だ」


 「理不尽です」


 はぁ、やれやれ。

 仕方ないな。

 こんな手段は使いたくなかったんだが。


 「おい、出てこい」


 少女の察しが悪いので、不本意ながら、俺が召喚できるモンスターを召喚してみた。


 「!」


 「分かるか」

 「あれは、俺が前世でテイムしたモンスターだが」

 「いわゆるモンスターなんてのとは別格だ」

 「まぁ、モンスターとも呼ぶがな」

 「天使でも女神でも人間でも」

 「あいつは怖いよな」

 「テイムしてる俺だって怖いぜ」

 「なんせ、あれは」

 「モンスターなんて言葉で呼ばれる前の」

 「本来の、原始のモンスターだ」


 「なんで、俺、あんなのテイムできたんだ」


 「私に言われても困りますよ」


 「分かりました。私も一緒に異世界転生しますよ」

 「だから、あれを止めて下さい汚物野郎」


 女は、心の底から、俺を汚物のような目で見てくる。

 

 「ステイだ」

 「この大きな翼の少女は餌じゃない」

 

 「心配しなくても」

 「お前モンスターじゃないし」

 「合成したりしないって」


 「当たり前ですよ」

 「合成されるとわかってるならついていくものですか」


 「お前を傷つけもしない」

 「お前を見捨てもしない」

 「お前を守る」


 「契約ね」


 女が言うように、俺のこの言葉は口約束だろうとなんだろうと、契約だ。

 俺がこの契約を破る事はできない。

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