チートスキルモンスターテイム所持したまま異世界転生して俺TUEEE無双。え?森蘭丸?沖田総司?男の娘ですよね。なんでテイムできるんですか

甘いからあげ

1話 「貴方はモンスターテイムAランクのチートスキルを持って異世界転生する事になります」



 「徳永弦太」

 

 名前を呼ばれる。

 目の前には、大きな翼が背に付いている、天使だか女神のような少女がいる。


 俺は、この翼の大きな少女に呼ばれたのだろう。

 俺は死んで、ここは異世界転生するか、裁きの時を待つか等の状況だろう。


 「貴方は人類に仇なしました」

 「弁明する事はありますか」


 確かに、俺は生きていた時に、人類と敵対した。

 人類に味方する事を選ばなかった。


 「ないな」


 かといって、弁明する事はなかったので、そのまま思いのままにないと答えた。


 「そうですか」

 「では、貴方は異世界転生する事になっているので」

 「そのままあの赤い扉に入って異世界転生して下さい」


 赤い扉には、異世界転生者用と書いてある。

 

 異世界転生するのはいいんだが、異世界転生するなら、なにかチートスキルとかもらえないんだろうか。

 前世の俺の徳とかカルマってのは、間違いなく悪だ。

 それでも、前世はトラックにひかれそうな子供を助けて死んだ事が評価されてとかさ。

 

 ありえないわ。

 人類とばちばちにやりあって、人類の敵として殺されたんだ。

 細かい記憶はなくなっているが、それぐらいは分かっている。


 「何か、チートスキルとかもらえないのか」


 それでも、とりあえず言ってみる。

 運命とは違う手違いで死ぬ事になって、そのお詫びにチートスキルを持って異世界転生とかさ。

 

 ありえないわなぁ。

 

 俺の前世での死は、運命通りだった。


 「チートスキルですか」


 「そうそう」

 「あるだろ」

 「理由はともかく、チートスキル持って異世界転生とかさ」


 女の冷めた視線を感じる。


 「はぁ」

 「貴方、よくそんな事が言えますね」


 当然だが、俺は自業自得で死んだ悪党で、チートスキルなんて貰えないようだ。

 

 「はは、言えるもんだな」


 「こちらから貴方のような人類の敵として殺されたカス野郎に」

 「チートスキルなんて与えられません」


 ははは、カス野郎ときたもんだ。

 実にその通りさ。

 まったく怒りもわかない。


 「貴方は元々前世でチートスキルを持ってるじゃないですか」

 

 はぁ?前世で元々チートスキル持ち?

 

 「貴方はモンスターテイムAランクのチートスキルを持って異世界転生する事になります」

 

 モンスターテイムAランクのチートスキルか。

 うん、悪くないんじゃないか。

 異世界でまずスライムやコボルト、ゴブリン、ピクシーなんかをテイムしてさ。

 

 ケロべロスなんてテイムできれば、長い事使えそうだよな。

 異世界転生って事だから、テイム対象のモンスターはいくらでもいるだろうし。

 それで、異世界で生きていくには困らないんじゃないか。


 「そうか」

 「じゃあそれでいいや」


 「俺、異世界転生したら前世からのモンスターテイムAランクのチートスキルで異世界俺TUEEE無双しちゃいますね」


 「はぁ、お好きにどうぞ」


 女の視線が、ゴミを見るような目になっている。

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