第2話 拘束少女との生活

 


「ほらご飯できたぞ」


 まずは食事だ。春はここに来た時点でかなりお腹が減ってそうな感じだった。

 そして、空腹を我慢していたことは、あの後すぐにわかった。おなかの虫が鳴ったからだ。


「すみません」と、顔を赤くしていた。正直かわいいと思ったが、その感情を出してはいけない。



 そして、俺はご飯を運ぶ。手が使えなくても食べれそうなものという事で、ソーセージや、卵焼きなどを一口サイズで作った。

 ご飯なんていつもカップラーメンとかコンビニ弁当とかだから作るの大変だった。


「ありがとうございます。食べさせてくれませんか?」

「分かった」


 俺はフォークでウインナーを刺す。


「ほら」


 春の口の中に入れる。


「美味しいです!」


 彼女は笑う。なんかダメなことをしている気分になって来た。


 そりゃそうだ。手足拘束されている少女にご飯を食べさせるというシチュに興奮しない男子はいない。

 だが、俺は興奮するわけには行かない。

 そうしたらただの変態。彼女をここに住まわせる資格なんてなくなる。


「もう一口ください」

「じゃあここにフォークを浮かしとくわ」


 口ほどの高さに持っていく。


「ありがとうございます」

「ありがとうなんて言うな、なんかダメな気がする」

「私が両手両足縛られてるからですか?」

「ああ」


 拘束されている少女がウインナーをパクっと食べる瞬間。それ自体がエロいのだ。

 本当に理性を保つことが大変だ。


 俺はロリコンじゃないし、変態じゃない。そう自身に言い聞かせることが大変なのに。


「なら私が拘束から逃れられる方法を探してください」

「分かったよ」


 とはいえ手がかりなんて何もないのだがな。


 そして夜。問題が生じる。ベッドが一つしかないのだ。一応大きさはそこそこあるベッドなので二人寝ることはできる。だが、春を一緒のベッドに寝かせるわけにはいかない。


 春をお姫様抱っこして、ベッドに置く。正直、緊張する。顔は赤くなっていただろう。そして、俺は彼女の顔を見ずに、


「じゃあ、ソファで寝てくるわ」


 そう言って、俺はソファに向かう。だが、それを「待ってください!!」という彼女の声で止められる。


「どうしたんだよ」

「だって、ベッド広いじゃないですか」

「馬鹿を言うな。一緒に寝れるわけがないじゃないか」

「そうは言われたって、無理だろ」

「でも、私緊張するんです。怖いんです。このまま拘束が永遠に外れないことが……」


 そう暗い顔をする春。


「だから、隣に寝てください」


 ああ、もう!

 一緒に寝たいという事か。正直こんな日が来るとは思ってなかった。

 今日は未知のことばかりだ。

 だが、それは春にとっていいのか?



「言っておくが。男子は総じて獣だ。襲われてもいいのか?」


 あまりこういう言葉は中学生には使いたくはないのだが、あくまでも俺の理性が持つかは分からないという事だけは言っておかなければならない。


「……襲うとかはよくわかりませんけど、私に危害を加えるならもうすでにしてないですか?」


 ああ、そうだ。確かにそうだ。だが、


「それは今まで理性が勝っているだけだ。俺だって完璧じゃない。もちろん春をそういう目で見ているわけじゃない。ただ、俺は拘束されている女と寝るなんて経験はない、だからどうなるかわからないんだ」


 思春期なんて性欲の塊だし。


「もしその時が来たら諦めますよ。それに大輝さんは私を養っている身、性奴隷にされても文句は言えませんから」

「文句は言えよ。お前は抵抗できないんだから」

「……」


 春は黙り込み、そして一呼吸おいてから、



「私は一人で寝たくないんです。もし、性欲の道具にされてもいいから、大輝さんと一緒に寝たいんです。それに……私大輝さんがそんなことをするって思ってませんから」


 むむむ、弱った。だが、春の決意も本当だ。


「分かった。一緒に寝よう」

「ありがとうございます」


 そう言って春は俺に抱き着こうとした、だが、手が前いだせなくて、俺に胸が接着するだけの形になった。


「あれ……?」

「俺が言いたいんだが」


 胸が軽く当たってしまっていることで、恥ずかしさがわきみ出る。


「とりあえず寝るぞ」


 俺はこの恥ずかしいシチュエーションから逃れるように布団を被った。


 そしてしばらくゴロゴロした後、


「あの、言いにくいんですけど。トイレがしたいです」


 そう、春が恥ずかしそうに言う。


「……はあ?」


 トイレ? 確かにそうだな。トイレに行かないわけにはいかない。

 だが、俺は春をトイレに連れて行ってズボンをずらしてあげなければならないのか。

 なんだよ、その行動は。

 恥ずかしすぎる。


「あ、待って早くしないと漏らしちゃいます」

「ああ、そうか。そうだな」


 早くしないといけない。もう、羞恥心なんて捨てた。

 漏らす前に連れて行かないと。


「ここがトイレだ」

「なるほど、なら早速ズボンを下げるのをお願いします」

「……ああ、分かった」


 そして目をつぶりながら一気にズボンをずらす。

 そしてその瞬間、おしっこのジャーという音が聞こえた。


 なんていう羞恥プレイなんだ。

 恥ずかしさと罪悪感で死んでしまいそうだ。

 なんで俺は少女の


 もはや、お姫様抱っこにも慣れてしまった。

 これから毎日これをするのかと思ったら、少し憂鬱だ。


「じゃあ、お休みなさい」

「ああ、お休み」

「……今日は本当に私を迎え入れてくれてうれしかったです。その、ありがとうございました」

「ああ、どういたしまして」


 そして今度こそ布団をかぶる。頭からだ。

 正直その笑顔は卑怯すぎる。

 なんだよ畜生。


 今の俺は絶対顔が赤くなっている。

 そう感じた、


 そして俺たちは眠りにつく。


 だが、平穏な眠りが享受できるわけがない。


 いくら部屋が暗いとはいえ、隣には中二の少女が眠っている。

 意識しないわけがあるわけがない。


「ああ、もう」


 寝られるわけがないだろ。

 そんな俺とは反して、幹花はもう寝てるしさあ。

 はあ、何とか眠りにつくしかねえ。



 SIDE春



 今日はいろいろなことがあった。

 大輝さんに頼んで止めてもらえるかは母さんの賭けだった。


 結果的にその賭けには勝つことができた。それどころか、戸惑いながらも想像以上の好待遇を見せてくれた。

 最悪性欲目的でおかれる可能性も、犯される可能性も考えていたというのに。

 正直惚れちゃいそうだった、

 年齢も三歳しか変わらないのだ。

 恋する権利なんてあるだろう。

 だけど、今はそんなことを考えている場合じゃないし、そもそもこれがどういった感情なのかもよくわからない。


 そして、大輝さんにはあの秘密はばれてはいけない。だって、ばれた時点で、私は大輝さんとは一緒にいられなくなるんだから。

 今はこの気持ちは封印した方がいい。そう思った。


 ベッドに一緒に寝ようといった。それは隣に大輝さんに寝てほしかったというエゴでしかない。

 大輝さんは断った。

 それで大輝さんは私が引き下がるとおもっただろう。でも、私はそれで大輝さんへの好感度が上がっていった。

 襲われるのが怖くなかったわけじゃない。ただ、大輝さんだったらいいやと思っただけ。


 ベッドの上。彼に抱き着こうとした。

 正直感謝の気持ちもあるけれど、邪な気持ちも少しあった。

 まあ、抱っこすることはできなかったが。


 でも、彼の照れ顔を見れただけで良しとしたい。


 トイレに行きたいと言うのは勇気がいた。

 でも、彼は拒否することなく連れて行ってくれた。

 またお姫様抱っこなんてされたし。



 その後彼と寝ることができた。

 彼はどうかわからないけれど、私は正直緊張した。

 手かせ足かせのせいで寝にくかったのもあるけれど、彼の寝顔を見るのが恥ずかしかった。

 ベッドで一緒に寝るよう促したのは私なのに。

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