偶然助けた女の子がヤンデレで付きまとわれる事になったけど、ふわふわ天然の先輩にヨシヨシされながらも、引きこもりの妹を人気Vtuberに押し上げるハーレムラブコメ。
第25話 混浴を回避したとて意味はない、そう、ラブコメならね。
第25話 混浴を回避したとて意味はない、そう、ラブコメならね。
俺は、ルリ姉とのじゃんけんに勝利すべく、必勝法を使って彼女に揺さぶりをかける。
「ルリ姉、俺はグーを出すよ」
「あ、ハルくん、それずるい!」
そう言われつつも俺は、じゃんけんのコールをする。
そして、俺のコールが終わった後にルリ姉が出した手は『パー』だった。
もちろん、俺が出した手は『チョキ』である。よって、プラン通り俺の勝ちだ。
「ルリ姉、俺の勝ちだよ」
「ま、負けちゃった……」
ルリ姉は昔から、心理合戦を仕掛けられた場合、必ず俺の言った事を信じてしまうのだ。
これは、本当に困った時にだけ使う対ルリ姉用の必殺技で、こういう時には今までもずっとこれ一本で凌いできた。
(この年で混浴するわけにはいかないからね。ルリ姉、悪いね)
そして、俺が約束された勝利を得た頃、ルリ姉は若干不満そうな表情を浮かべながら控えめに抗議の声をあげる。
「ハルくん、昔からじゃんけん強いね……さっきグーを出すって言ったから、わたしはパーを出したのに」
「これも戦略だよ。それよりルリ姉が負けたんだから、先にお風呂入ってきて」
「はぁい……でも、せめて先にハルくんの体を拭かないと……」
「俺は大丈夫だから! 着替えもすぐに渡しに行くから早く風呂入っちゃって!」
そうして、俺は結衣にアイコンタクトで協力依頼を求めたあとで、結衣と共にルリ姉の背中を軽く押す形で彼女にお風呂場へと行ってもらった。
そして、引き続きタオルで自分の体を拭いていた頃、結衣が話しかけてきた。
「お兄、久しぶりに切り札切ったね」
「ルリ姉は昔からやたら距離感が近いから、こういう時には俺がどうにかしないといけないからね」
「流石お兄、やるじゃん。紳士であるところを評価して、結衣ポイントを1贈呈します」
「そのポイント、何に使えるの?」
「1ポイントと引き換えに、私がなんでも言う事聞いてあげる」
「じゃあ……部屋から着替え取ってくるから、風呂にいるルリ姉に届けてあげてもらえる?」
俺がそう言うと、結衣はなんだか若干不満げな顔をしつつも返答をしてくれる。
「まぁ、それはいいけど……お兄の服貸すの? 私の服も予備あるよ?」
「でもルリ姉身長高いし、結衣の服じゃ丈が足りないだろ。常にヘソだしになっちゃうよ」
「はいはい。どーせ私は貧相な体の持ち主ですよ……結衣ポイントマイナス5億点ね」
「理不尽な……」
そんな会話のあとで俺は、リビングで手洗いうがいを済ませて自分の部屋に戻り、俺が普段寝巻きとして使用している特に面白みのないグレーのスウェットを取り出して結衣に手渡した。
その後、俺は自室にて次の行動について考える。
(今は特にできる事はないし……とりあえず、アニメでも見ながら筋トレするか)
そうして俺は、スマホで動画共有サイトである『ニッコニコ動画』を開いてアニメを流し見しつつ、筋トレに励む。
そして、そこから数分経った後、なんだかソワソワしている様子で俺のスウェットを着ているルリ姉が俺の部屋にやってきた。
「ハルくん……お風呂、お借りしました」
「おかえり。じゃあ、俺も入ってくるね……って、なんかソワソワしてない? どうかした?」
「えっ!? な、なんでもないよ!?」
「……そう? じゃあ行ってくるね」
そんな風に会話を終えて、俺はルリ姉の雰囲気に違和感を感じながらも、風呂場へと向かい扉を開けた。
〜風呂場〜
風呂場の扉を開けたその瞬間、俺の目の前に、乾かす為に吊るされているであろう女子生徒用の制服と下着が堂々と干されている光景が目に入ってきた。
それを受けて俺は、驚きつつも頭を回転させる。
(水色に白の刺繍がついてる下着……これルリ姉のだよな。さっきは気をつけるって言ってたのに、全く防御力上がってないじゃん……! くっ、下着の存在に気づかなければ意識しなくてすんだのに……!)
そして、この光景を目撃したと同時に俺は、ルリ姉のソワソワした態度の意味を理解した。
(ルリ姉、下着無しで俺の服を直に着てるからソワソワしてたのか……)
ルリ姉の事だから、油断して俺がこの後に入る事が頭から抜けていたのだろうか。
とにかく、俺がやるべき事はただ一つ、ルリ姉にバレないように気をつける事だ。
そうして俺は、シャワーを浴びてあったまりつつ、下半身が落ち着くのを待って部屋に戻った。
〜晴の部屋〜
俺が部屋に戻ると、なぜかルリ姉は俺のベッドに座って、布団にくるまっていた。
当然、それを見た俺は彼女に声をかける。
「る、ルリ姉……なにしてるの? 寒かった?」
「あ、おかえりハルくん。寒いんじゃなくて、なんだかハルくんのお布団からいい匂いがするなぁって思ったから包まれてみたの。一緒にする?」
「いや……遠慮しておくよ」
そうして、俺が自分の布団を嗅がれている景色を眺めて、なんだかむず痒くなっていると、ルリ姉に話しかけられた。
「これ、ハルくんの匂いなのかな?」
「どうだろうね……?」
「……あ、そっか。確かめてみればいいんだ」
「えっと、どういうこと?」
「ハルくん、ちょっと腕を広げてもらっていい?」
そう言いながらルリ姉は、こちらに近づいてくる。
そして、俺が彼女を受け入れる態勢を作ると、やはりというべきかルリ姉は俺を抱きしめてきた。
(なんか、細身なのに柔らかくて、そのうえなんだかいい匂いもするし……なんというか、ものすごく女の子って感じだ……)
そんな感じで、ルリ姉のスキンシップを断ることもできないので、俺は高鳴っている心臓を抑えつつ、彼女が満足するのを待つ。
そして、そこから体感では結構な時間が進んで、ルリ姉の匂いや感触にクラクラしてきた頃、部屋の扉が開いた。
「お兄、ルリねぇ、一緒に映画見よ……って、何してるの!?」
そうして、俺がルリ姉に抱きしめられていた時、扉を開けた結衣と目があった。
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