偶然助けた女の子がヤンデレで付きまとわれる事になったけど、ふわふわ天然の先輩にヨシヨシされながらも、引きこもりの妹を人気Vtuberに押し上げるハーレムラブコメ。
第20話 やったね結衣ちゃん! 友達が増えるよ!
第20話 やったね結衣ちゃん! 友達が増えるよ!
金髪の美少女が試着室で着替えている様子が外から見えてしまっている事に気がついた私は、急いで彼女がいる試着室の前に向かう。
その瞬間、私の頭の中にとある疑問が浮かぶ。
(こ、これ、なんて声かければいいの……? お兄とルリ姉以外の人に話しかけたことなんて、ここ何年もないよ……お兄助けてぇ)
しかし、私がこんな事を考えている際にも試着室の中の彼女は、いまにも身につけているスポーツブラに手をかけようとしている。
これは私が止めなければ、彼女の心にダメージが残ってしまうだろう。
そんな事を考えた私は精一杯の勇気を絞り出して、中にいた女の子に声をかける。
「あ、あっ、あの、あのぅ……」
そうして、私に話しかけられた彼女は当然、驚いたような反応を見せた。
「……えっ!? な、なんで見てるんですか!?」
「ち、ちが、違いますっ、空いてた、空いてましたからっ! 隙間がっ!」
「へっ……? あ、ほんとだ……」
そして、いよいよ緊張により酸素が薄くなってきたので私は、脱出を試みる。
「そ、それじゃあ私はここでっ……!」
「ま、待って下さいっ!」
そう彼女に言われてもなお私は、走り出した。
(私は良くやった……! 私頑張ったよ、お兄っ!)
そんな事を思いながら私は、精一杯褒めてもらうべく兄の元へと向かった。
〜そして、晴視点へと戻る〜
休憩室にて、結衣の帰還を待っていた俺は、偶然出会った友人である浅野アリサと雑談していた。
「いやさ、アタシ昔から思ってたんだけど、マッチ棒って過小評価されてると思うんだよね」
「そうかぁ? あいつすぐ折れるし軟弱者じゃない? 筋肉が足りないよ筋肉が」
「いやいやあれって実は、爪楊枝の代わりとしても使えるんだよ。歯に食べ物のカスが詰まった時とか便利でさ」
「お前……自分の口でタン焼いてんの? 人間のタンなんて味薄いだろ、ちゃんと味付けしてる?」
「大丈夫、アタシ最強だから」
「あー、つまり真実の口ってことね? 知ってる知ってる」
そんな風に、お互い何も考えずに適当なおしゃべり合戦を繰り広げて暇を潰していると不思議と、自分はちゃんと兄をやれているのだろうかという不安も薄れてきて、今はとにかくやれる事をしっかりとやろうと思えるようになってきた。
(アリサに感謝だな。マッチ棒の件はわけわかんないけど)
そうして、冷静さを取り戻した俺に向かって、結衣がこちらに向かって走って来るのが見えた。
そして俺は結衣が戻ってきた事をアリサに伝えるため、その事を口に出す。
「お、結衣帰ってきた」
「……もしかして彼女? ルリ姉と白百合さんに加えて三人目か。晴さんさぁ……さすがに節操がなさすぎませんかねェ……」
「そんなんじゃないわ! 妹だよ! というか、ルリ姉はもちろん白百合さんとも付き合ってないわ!」
「は!? お前妹いんの!? えー、めっちゃ可愛いじゃん。いいなー、アタシにくれよ!」
「殺すぞ!!!!!!!!!!!」
「おうおう、落ち着けやブラザーよぉ。ここ、公共施設だぜ?」
そうして、彼女の発言に思わず手が出そうになっていた時、結衣すでにこちらにたどり着いていたようで、彼女は俺に向かって話しかけてくる。
「お、お兄……?」
「ごめん、いつものノリで会話してた。結衣は気にしないでいいよ」
「いつも学校だとそんな感じなんだ……楽しそうなのはいいけど、あんまりお友達に迷惑かけちゃダメだよ?」
そんな風にして、俺と結衣が会話をしていた時、それを聞いていたアリサは不思議な提案をしてきた。
「……なんか、妹ちゃんはアタシの彼女と相性良さそうだな。この後時間ある?」
「だそうだけど、結衣、どうする?」
そうして結衣に問うと、彼女は小さく首を横に振っていた。
どうやら彼女は早く帰りたいようだ。
「悪い、午後から用事あるから早く帰らないといけないんだ」
「そっか……ま、しょうがないわな」
「兄妹共々、働き者ですまんな。じゃ、また明日」
「おう。結衣ちゃんも元気でな」
そうして、結衣と共に帰ろうとした矢先、結衣くらいの年齢と思われる金髪の女の子がこちらに向かって駆け寄ってきて、声をかけてきた。
「まっ、待ってくださいっ!」
そんな発言を受けて俺と結衣は、足を止める。
すると、突然キメ顔に変わったアリサが、金髪の女の子に話かけた。
「お帰り美波、一人で大丈夫だった? 荷物重くない?」
「そ、そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ。ワタシ、そんなに弱くないっ」
「そう? 疲れたらいつでも言うんだよ?」
……誰だこいつ!?
(さっきまで『ちんこは男の宝、つまり珍宝である』みたいな話してたやつと同一人物とは思えん。これは流石にカッコつけすぎだろ)
そして、俺がそんな事を考えていた頃、どうやら結衣は彼女に思い当たる節があるようで、驚いたような表情を浮かべながら一言。
「あっ、さっきの……」
と、そう呟いた結衣に、美波と呼ばれた女の子は元気よく返答を返す。
「ハイっ! 先ほどはありがとうございました! おかげで誰にも見られずにすみました!」
「いっ、いぇ……それはなによりですぅ……で、では、私はこれで……」
そうして、なんとしても退却しようとする結衣を彼女は引き留めるようにして、結衣が持っていた鞄についているストラップを指差す。
「ま、まってください! カバンにつけてるそのストラップ『◯音ミク』ちゃんですよねっ!」
「えっと……そうだけど『初◯ミク』知ってるの?」
「ワタシ『初音◯ク』大好きなんですっ! 可愛いですよねっ!」
「う、うんっ! いいよね『初音ミ◯』!」
どうやら二人は趣味が合うようで、結衣に関しては同族を見つけた喜びで目が輝いていた。
(しかし……様子を見る限り結衣は彼女を知っているようだが、下着を買いに行った時に何かあったのだろうか。あとで事情を聞いてみよう)
なんて俺が考えていると、二人の様子を観察していたアリサが口を開いた。
「美波、今日は二人とも時間がないらしいし、一旦連絡先だけ交換したら?」
そんな提案を聞いた二人は改めて顔を見合わせた。
そして、美波ちゃんは結衣に向けて口を開く。
「あ、そうなんだ。じゃあ……交換してもらっていいですか?」
「も、もちろん! こちらこそよろしくお願いしますっ!」
そうして二人はスマホを取りして連絡先を交換したようで、二人とも嬉しそうな表情を浮かべていた。
その後、予定通りに解散することとなり、俺と結衣は並んで帰路につく。
そして、家についてもなお気分良さげな結衣と共に軽く昼ご飯を済ませた後、結衣は先ほど購入した白のワンピースに着替えて準備を済ませる。
「結衣、準備はいい?」
「だ、大丈夫、お兄がいればなんとかなるはずだからっ!」
そんな会話をしつつも、俺たちはコラボ相手である『ミナミ・ナミ」さんに指定された場所まで向かう。
すると、その指定先は想像していたよりも我が家に近く、歩いて五分程度で到着した。
「さて、指定された場所に着いたけど、普通の民家みたいだな……そうだ、せっかくの機会だし、結衣がインターホン押す?」
「…………」
「結衣? どうした?」
「……あのさ、やっぱ帰らない? 私どうせ喋れないしさ、今からでも断った方がいいかなって思うんだけど……」
そして俺は、ガチガチに緊張している結衣の代わりにインターホンを押す。
「なんでっ! なんで押したのっ!?」
「妹の背中を押してやるのが兄の役割だから」
「それ背中じゃなくてインターホンだよっ! ぜんぜん違う!」
そんな会話をしつつも待っていると、すぐに扉が開いた。
そして、家の中から出てきたのは……
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