偶然助けた女の子がヤンデレで付きまとわれる事になったけど、ふわふわ天然の先輩にヨシヨシされながらも、引きこもりの妹を人気Vtuberに押し上げるハーレムラブコメ。
第19話 妹のパンツ洗浄マシンお兄ちゃん号、発進!
第19話 妹のパンツ洗浄マシンお兄ちゃん号、発進!
「結衣、ほら、これ」
俺は結衣の耳元でそう呟きながら、三万円が入っている財布を彼女に差し出す。
彼女はキョトンという顔をしながら、俺に問いかけてくる。
「……お財布? どうかしたの?」
「なんかほら、買いたいものとか色々あるだろ……? 買ってきなよ、俺は待ってるからさ」
「……特にないよ? というか買うものがあるならお兄も一緒に来てよ、私、店員さんに話しかけられたら気絶しちゃうよ?」
……察して欲しかったからこそなるべく濁して伝えようとしたのだが、仕方がない。
これなら、ストレートに言ってしまった方が早いだろう。
「でもさ……ほら、そろそろ新しい下着とか欲しいだろ? もう年単位で買ってないしさ」
「……へぇー、なるほどぉ。さてはお兄、妹の下着買うのに照れてるのー? ざぁこざぁこ」
「そんなわけないだろ。なんなら今ここで結衣が今履いてるパンツの色と柄を叫んでやろうか」
「えー? お兄、そんなの知らないでしょー? 本当にそんなことできるんですかぁー?」
「水色に白い水玉模様がついてるやつだろ」
俺が結衣の耳元でそう言った瞬間、ジュババっと音が聞こえてくるような速さで彼女は俺の耳元から離れつつ、スカートを押さえながらこちらに問いを投げかけてきた。
「なっ、ななっ、なんで知ってるのさっ! 私の着替え覗いたの!?」
「違うよ。今結衣が履いてるパンツ、誰が洗濯して干してると思ってんだよ、脱衣カゴに入れられてる順番でなんとなく分かるわ」
俺がそれを伝えると結衣は顔を赤くしながら、何やら悶々とした表情を浮かべていた。
そして彼女は、俺に話しかけてくる。
「……今日のコラボ終わったら、洗濯のやり方教えて下さい」
「はいよ。で、新しいの買う?」
「…‥買う。ありがと」
「ん、じゃあお金だけ渡しとくから、一時間後に一階の休憩所で集合な」
そうして俺は結衣と一旦別れて、一階の休憩所に向かった。
そして、俺以外には誰もいない空間で椅子に座ると、俺はふと考えてしまう。
(やっぱ、結衣のためにもルリ姉を連れてくるべきだったかな……でも、せっかく休みの日なのに早起きさせなきゃいけないし、その割には午後からコラボ配信だから早く帰らなきゃいけないし、呼び出すのも悪いよなぁ)
うちは二人暮らしで親がいないので女の子特有の悩みは、ルリ姉に相談相手になってもらっている。
しかし、下着に関しては結衣の体格も全くと言っていいほどに変わっていないという事もあり、昨日の今日まではなんとかなるだろうと思ってしまっていた。
(買い替える必要性がある事は理解してたけど、伝え方が分からなくて棚上げにしてたのが良くなかったか。もう少し結衣の尊厳を守る形でお金だけ渡せればよかったけど、やっぱ難しいよなぁ)
お小遣いとか言ってお金渡して、インターネットで買わせればよかったのだろうか。
初めてだから要領がわからん。結衣を傷つけてなきゃいいけど……
(でも洗濯の件もあるし、いつかは言わなきゃいけない事だから軽口の中に混ぜて伝えたけど、これで正解だったのかな……俺はちゃんと兄をやれているのだろうか……)
そうして俺が、一人で休憩室の椅子に座ってうなだれていると、背後から何者かが話しかけてきた。
「お、晴じゃん、一人でなに暗い顔してんの? ちんこでも取れたか?」
そんな声を受けて振り返るとそこに居たのは、おととい学校で会ってるはずなのになんだか久々に会った気がする、グレーのパーカーを着ている友人『浅野アリサ』だった。
そして俺は、いつも通りのノリで言葉を返す。
「だったら今頃大騒ぎだろ、休んでる暇あったら救急車呼ぶわ」
「そりゃそうだわな……そういや男の棒って、もし切れたらまた生えてくんの?」
「生えてこないわ! 一生もんだよこれは!」
「なるほど、ちんこは男の宝ってわけだな。つまり、珍宝ってことか!」
「今は近くに誰も居ないとはいえ、一応ここは公共の施設だぞ。声を落としなさいよ、はしたない」
そう言った後で俺は、さらに言葉を続ける。
「で、今日は一人で何してんの? 万引き?」
「そんなわけねぇだろが。今日はデートだよ、彼女とな」
「ん? じゃあなんで一人で居るの? 浮気でもして振られたん?」
「違うわ! 美波は買い物してるよ、下着買いたいけど見られるのは恥ずかしいから待っててくれって。可愛いよなー、アタシの彼女」
「はいはい。美波ちゃんね、可愛い可愛い」
「だからアタシの彼女を名前呼びするなって言ってるだろうがっ!! あとお前が美波を可愛いって言うな!!!」
「せっかく乗ってやったのに……」
そんな感じで、俺は結衣が来るのを待つ時間、そして、アリサは恋人が来るのを待つ時間で、学校の休み時間の延長戦がデパートの休憩室にて開催された。
〜一方その頃、結衣視点〜
(恥ずかしい……恥ずかしいっ……!)
下着売り場にて私は、兄とのやりとりを思い出していた。
(なんで今まで洗濯で見られてる事に気が付かなかったんだろ……! お兄も複雑な気持ちだったはずなのにずっと言わないで、今まで気を使ってくれてたんだ……てか家事全般、というか下着を洗うのまで押し付けていた事に気が付かなかったのも恥ずかしい!)
……大人になろう、今日から。
そうして決意をした私は改めて、辺りを見渡しながら考える。
(私にはこだわりとかないけど、お兄はどんなのが好きなのかな。やっぱり白とかピンクとか、女の子っぽいのがいいのかな……? でも、お兄ってだいぶ変わってるし、スポーツブラとかの方が好きかもしれないかも……)
この場所には、明らかに子供用と分かるものから大人っぽいのまで、色とりどりの下着が揃っている。
それに、特に値段も指定されてないし、お兄は値段の上限がある時にはちゃんと教えてくれる人だから、今回は選び放題である。
(もちろん、無駄遣いするわけにはいかないし……あと、急に体が成長する可能性も全然あるから、今回買うのは二つくらいにしておこうかな)
そう考えて私は、スポーティな白の上下セットの下着と、可愛いピンク色のこれまた上下セットの下着を手に取って、なるべく店員さんと目を合わせないようにする事で、いかにも『会話したくないです』という雰囲気を醸し出しながら、ささっと購入した。
そうして、兄の元へと帰ろうとした時、ふと視界の端にある試着室が視界に入った。
(あれ……? あの試着室、女の子が入ってるのにカーテンが締まりきってない……?)
私は気づいてしまった。試着室のカーテンの隙間から、私と同じくらいの年齢に見える綺麗な金髪の女の子が、試着室の中で着替えている様子が外からも見えてしまっているということに。
そして、試着室の中の彼女はどうやらブラジャーのサイズを確認しているようで、ちょうど着ている灰色のスポーツブラを脱ごうとしているところだった。
(お、教えてあげなきゃ……!)
そうして私は、試着室へと駆けだした。
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