偶然助けた女の子がヤンデレで付きまとわれる事になったけど、ふわふわ天然の先輩にヨシヨシされながらも、引きこもりの妹を人気Vtuberに押し上げるハーレムラブコメ。
第17話 初夜かっ!? はたして本当に初夜なのかっ!?
第17話 初夜かっ!? はたして本当に初夜なのかっ!?
俺は白百合さんをベッドに押し倒したあと、彼女スカートの中に手を入れて、そのまま下着の端に指を引っ掛けた。
その時の白百合さんはもはや、まともに発音もすることもできなくなっていた。
「わ、わたくしにはまだ早いです、ですから、それだけは……」
「可愛いよ、春乃」
「あぅぁ……」
「誘ってきたのは春乃なんだから、覚悟してよ」
「………………」
そして、俺がそう言った時、ひたすら身悶えていたはずの彼女は何故か、ぴくりとも動かなくなった。
「……え? もしかして気絶した? おーい、白百合さーん?」
「うぅ、いけませんわ。はるさま……これ以上、はしたない姿のわたくしを見ないで下さいまし……」
「夢の中で続きしてる……」
そうして、俺が放ったカウンターは思いの他効果があったようで、誘惑をしたけてきた白百合さんをノックダウンさせることに成功した。
その後で俺は、白百合さんの下着から指を離して、彼女の服を軽く整える。
(……本当に、これで良かったのだろうか)
正直、この俺がドS王子様ごっこをしていたと考えるとだいぶ寒気がするけど、きっと彼女から見た俺はかっこよく見えているのだろう。
だからこそ効果があったわけだし、まあ、今日が終わるまで時間を稼ぐという目標は達成したわけだから、とりあえずは良しとしよう。
「さて、なにして時間を潰そうか。やっぱ筋トレかな……?」
結衣の兄たるもの、やはり日々の体力作りは欠かせない。
(昨日も今日も、日課にしている朝のランニングができていない、ならば補填をする必要があるだろう。まずはスクワットから始めるか)
なんて考えていた時、突然ノックの音が聞こえてきた。
(……!? この家、他に誰か居たのか……? 廊下を歩いてる時には気配を感じなかったけど)
そうして、俺が若干警戒しつつ様子を見ているとすぐに扉は開かれて、そこからメイド服を着た鋭い目つきの、俺と同い年くらいと思われる女の子が入ってきた。
そして俺は、彼女に問いかける。
「えっと、貴女は……?」
「失礼いたします。わたくし、お嬢様さまのお世話係を勤めている『倉持芽依』と申します。以後、お見知り置きを」
そう言うと彼女は、こちらにむけて頭を深々と下げてくる。
それに対して俺も、反射的にお辞儀を返した。
(すっかり誰もいないものだと思ってたけど、まさかメイドさんがいるとは。しかし、メイドの芽依さんか……メイドになるべくしてなったみたいな名前だな)
と、俺がそんな事を考えていたら彼女の方から話を続けてきた。
「先ほど、お嬢様様の心拍数に異常が発生したのを確認いたしましたので、様子を見にきた次第です。お嬢様は……ああ、気絶しているようですね」
そうして、白百合さんの状況を確認したあと、メイドさんは寝ている彼女に近づいて膝を折りたたむ。
すると突然、メイドさんは白百合さんの頬をペチペチと叩き始めた。
「お嬢様、起きてください」
「んぅ……? あら? 晴様は何処へ……」
「こちらにいらっしゃいますよ」
そう言われた白百合さんは、起き上がりながらもこちらを向く。
すると、彼女は驚いたような表情を浮かべながら、俺に話しかけてきた。
「こ、これはまさか……今から初夜が始まるのですか!?」
「違うよ」
「で、では、もうすでに終わってしまったのでしょうかっ!?」
「もっと違うよ、一旦冷静になろうか。はい、深呼吸して」
「はいっ……ひっ、ひっ、ふー」
「それ出産の時の息遣いでしょ、産まれたらどうするよ」
「うふふ……幸せな家庭をつくりましょうね」
「……まぁ、落ち着いてくれたようで何よりだよ」
そうして、白百合さんが落ち着きを取り戻した頃、メイドさんは彼女に語りかける。
「お嬢様さま。残念ですが、お嬢様につけている心拍数メーターが異常値を示したので、本日はこれにて終了とさせていただきます」
「……!? なぜ芽依さんがここに!? 本日は一日中、晴様と二人っきりの予定では!?」
「私の存在に気づいておられなかったのですね、お嬢様を起こした際に会話をしたはずでは……こほん。それはともかく、予定変更です。これほど激しい緊張状態を続けるとせっかく体調が良くなっているというのに、今度こそ死んでしまいますよ」
そして、そう言われた白百合さんはメイドさんに反論する。
「で、ですが……ようやく、ようやく晴様と出会えたのですよ……! こればかりは譲れませんわ!」
「……はっきり申し上げます。お嬢様は恋愛に関しては雑魚でいらっしゃるのですから、まずは手を握る事から始めたりして、異性との触れ合いに対して慣れていくべきであると考えます」
「は、はっきり言いますわね。ですがわたくし、晴様に恋をして十年は経過しておりますし、その点では経験も豊富であるといえますけどね」
「ですが、自分から誘惑したくせに下着を見られたというだけで羞恥に耐えきれなくなり気絶するなんて、初めて聞きましたよ。しかも、あれだけ毎日晴様晴様とおっしゃっていたのに、いざ本番となったらこのザマです。つまり、お嬢様に溜まっていた経験値は所詮、その程度だったということでしょう」
「あ、貴女だって恋愛経験はないでしょう!? 一度脱がされてみれば、どれだけわたくしが恥ずかしい思いをしたのかがわかりますわ!」
「でしたら、私が恋愛する時間を確保する為にもお嬢様はしっかりとお休みになって、健康体を維持して下さい」
「うぐぐぐ……」
そうして、舌戦に敗北した白百合さんは、とても悔しそうな顔をしていた。
(この態度を見るに、主人と従会と言う関係でありながらも……きっと仲が良いのだろう。二人は年齢も近く見えるしもしかしたら、病気と戦っていた幼い白百合さんを唯一近くにいる同年代の女の子として支えていた……そんなドラマがあるのかもしれない。ないのかもしれないけど)
そして、俺が一人そんな事を考えていた頃、メイドさんは俺に話しかけてきた。
「さて、お嬢様様は一度、本邸へと帰っていただきますので、晴様はご自宅までお送りいたします……それで問題はありませんか?」
「ありがとうございます。お願いします」
そんな会話の中で俺は、家まで送ってもらえるって事は、部下の人にまでうちの住所が共有されてるんだなぁ……なんて思いながらも、二人に導かれるままに玄関へと向かい外に出た。
そして、あらかじめ庭に用意されていた車に案内されて、それに乗り込もうとしたその時、白百合さんは俺に向かって口を開いた。
「晴様っ、わたくしは必ず貴女の元へと帰りますわっ!」
そう言われて俺は、明後日また学校で会うのに……なんて思いながら、なぜか悲劇のヒロインみたいな顔をしている白百合さんと別れて、帰宅することとなった。
そして、帰り道の途中で、昨日結衣にアイスを買って行くと約束した事を思い出したので、自宅付近のコンビニに寄ってもらった後で俺は、自分と結衣とルリ姉の分のバニラアイスを購入する。
そうして、そこからすぐに自宅へと着いたので、運転してくれていたおそらくベテランだと思われる、スーツから浮き出る程の筋肉を身にまとった強そうな老執事にお礼を告げて、車を降りた。
「ただいまー」
そして俺は、帰りの挨拶をしつつ、玄関の扉を開ける。
するとその時。
「お兄助けてぇ!!!」
最愛の妹が、泣きっ面でしがみついてきた。
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