偶然助けた女の子がヤンデレで付きまとわれる事になったけど、ふわふわ天然の先輩にヨシヨシされながらも、引きこもりの妹を人気Vtuberに押し上げるハーレムラブコメ。
第5話 あー……あ……? あっ……んん……あっ……!
第5話 あー……あ……? あっ……んん……あっ……!
白百合さんが転校してきてすぐの休み時間、今朝も見たお嬢様高の制服姿で座る彼女は、早速クラスの女子達に囲まれていた。
そして、その他のクラスメイトも外野から白百合さんの様子を伺っているような現状で、一年生の頃からの女友達である『
「転校生、すごい可愛いな。ありゃ絶対モテるね。なんか愛が重そうな雰囲気出てるけど」
「失礼だぞ、もしかしたら普通の人かもしれないだろ」
「それはない、あのタイプは絶っっったいに重い女だね。アタシの経験がそう言ってる」
「じゃあ聞くけど、今まで付き合った人数は?」
「一人」
「出直してこい」
そんな風に、いつも通り軽口を叩き合っていると、彼女はニヤニヤした表情を浮かべながら話題を変えた。
「ま、お前には例の『ルリ姉』が居るもんな。あんな美人の彼女がいたら、他の女は目に入らないか」
「……毎回言ってるけど、ルリ姉とはただの幼馴染であって、別にそんなんじゃないって言ってるだろ?」
「ま、仮にお前がそうでも向こうは絶対お前に気があるから、その気がないなら早めにそう伝えた方が良いぞ」
「なんでそんな事が分かるんだよ、そっちはルリ姉と話した事すらないはずだろ」
「いやいや……お前さん、毎日一緒に朝食たべて、一緒に登校して、一緒に昼飯食べて、一緒に下校して、たまに夕飯も一緒に食べてるんだろ? こんなの男同士だったとしてもカップルだろ」
「そんなわけないだろ……いや、そんなわけあるか……あるかも?」
「ま、少なくともアタシがお前の立場だったら間違いなく手を出してるね。今は彼女いるから別だけどさ」
そんな事を言う彼女は、どちらの性別もイケる口らしく、今は後輩の女の子と付き合っているらしい。
そして、アリサとの会話を通して俺は、ほとんど面識はない彼女の恋人の事を思い出した。
「なんだっけ……確か『
「アタシの彼女を勝手に名前呼びするな!!! 殺すぞ!!!」
「そんな急にキレる事ある?」
基本的に態度が軽い彼女だが、この通り恋人大好きマシーンなので、こういうところを見ると良いやつなんだと思う……多分。
なんて思ったと同時、突然背後から声をかけられた。
「晴様、少々よろしいでしょうか?」
そして、その声を聞いて後ろを振り返ると、いつの間にか俺の背後には白百合さんが立っていた。
そうして、俺が白百合さんに目を向けたその瞬間、彼女は俺を見つめながら顔をこちらに近づけてくると同時に、まくしたてるような早口で質問を投げかけてきた。
「わたくしの席からお話がうっすらとだけ聞こえていましたが……『美波ちゃん』とは、どなたですか? 女性ですよね? わたくし、存じ上げませんわ。このクラスの方ですか? それとも、別のクラスの方? もしくは、別の学年の方なのでしょうか。いえ、それよりもまずは、晴様とどのようなご関係なのか、教えていただけますか?」
「え、いや、別に俺とは知り合いじゃないんだけど……」
その時俺は、色々な意味でドキドキしていた。
(顔が近い…! まつ毛長い、肌綺麗、なんか良い匂いする……でもなんかすげぇ怖い! 目にハイライトがないよ、てか、どうやって消してるのそれ……!)
そんな感じで、彼女の放つ圧に押されていた時、ちょうど次の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
「……残念、時間ですね。では、今日のお昼休みにでも、じっくりとお話しを聞かせていただきます……お昼ご飯は一緒に食べましょうね?」
「わ、分かったよ……?」
「ふふ……今から楽しみです。それでは失礼いたします」
そうして、彼女は満足そうにしながら自分の席に戻っていった。
そしてその後、俺と一緒に面食らっていたアリサが話しかけてくる。
「……なんで『晴様』って呼ばれてるの? やばい知り合い?」
「部分的にそう……かも」
「返事アキネーターかよ。どういうことなのさ」
「なんか向こうは俺のこと知ってるっぽいんだけど、俺は覚えてないんだよ」
「へー。定番だけど、昔遊んだ事がある、とかどうよ?」
そう言われて俺は、過去の記憶をたどってみる。
「あー……あ……? あっ……んん……あっ……!」
すると、一つの回答にたどりついた。
しかし、それをアリサに伝えようとしたら、すぐに話の腰を折られてしまった。
「いやなに突然喘いでんの。やめてよ、こっちにはそんな気ないんだから」
「こっちにもないわ! そうじゃなくて、思い出したんだよ! そういえば昔、遊んでた子居たなって!」
「お、アニメあるある適当に言っただけなのにマジか、お前主人公じゃん、おめ」
「……正直俺も、あるあるーって思っちゃったのが、なんか嫌だな」
そんな会話をしてすぐ、教室に筋肉ムキムキのおじいさん数学教師が入ってきて、授業が始まった。
そして、いつも通りの日常に戻り授業に集中していると、すぐにお昼休みの時間となる。
すると、少し大きめのお弁当箱を持った白百合さんはこちらに歩いてきて、俺に話しかけてきた。
「晴様、約束通り、一緒にお昼ご飯を食べましょう? そして『美波さん』とやらの話も、聞かせてくださいね?」
そう言われて俺は、アリサに説明してもらうのが手っ取り早いと考えて、彼女に声をかける。
「そういう事なら、アリサも一緒に……」
「あ、アタシは恋人と食べるから、じゃあな」
「なら、せめてその恋人の名前だけでも伝えてから行ってくれ……って、待て! 頼むから待ってくれ! 行くな! 俺を置いて行くなあああっ!」
どうやら彼女は俺の事よりも、恋人と過ごす時間のほうが大切らしい……まあ、恋人より優先されてもそれはそれでなんか気持ち悪いから別にいいんだけども。
なんて思いながらも、白百合さんに目を向け直した。
(……なんかこの子、いつ見てもまばたきしてないし、そのうえ、ふと視界に入る度になぜか必ず目が合うから多分ずっとこっち見てるっぽいし、ちょっと怖いんだよな)
そうして、目の前の彼女の事を考えていると、当の本人は何故か頬を赤く染めながら俺から目を逸らして、小さな声で語りかけてきた。
「あ、あの、そんなに見つめられると……その、どうしていいか分からなくなってしまいます。晴様はいったい、なにをお望みなのですか……?」
「いや、してほしい事があるわけじゃなくてさ。なんかずっと目が合うし、もしかしたらさっきの会話で白百合さんを怒らせちゃったのかなって考えてたんだけど……」
「な、なるほど、そういう事でしたか。それは失礼いたしました。わたくし、怒っているわけではないのです……実は、先程のお話は全て聞こえていたのです。美波さんという方は、先ほど教室を出ていかれた浅野アリサさんの恋人さんなのですよね?」
そんな彼女の発言を聞いて、俺の頭にはふと一つの疑問が浮かんだ。
(なんでこの子、浅野のフルネームを覚えてるんだろ……? 今日転校してきたばかりだよな……?)
そして、そんな事を考えつつ俺は、彼女との話を続ける。
「……分かってくれてるなら助かるけど、じゃあなんでこっちを見てたの?」
「も、もう、わざわざそれを言わせたいのですか……? 晴様はいじわるですね……」
そう言って白百合さんは体をよじらせながら、チラチラとこちらを見てきた。
……彼女と会話していて唯一理解できるのは、なぜか俺がずっと好き好きアピールをされていると言う事だけだ。
勿論、こちらからすればそんな事をされる理由も思い浮かばないし、ましてや婚約者がどうとか言われても全くピンとこない。
ならば、詳しい事情を彼女に聞いてみるのが手っ取り早いだろう。
「……とりあえず、食堂行く?」
「ええ! 行きましょう……と、その前に、今朝のお礼の続きをさせていただきましょうか」
お礼ってもしかして、また胸を出すつもりのか……?
というか、教室でやる気……!?
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