第4話 モンブラン失言
「モンブランって高いよな」
「本当ですよね」
近所のカフェを思い浮かべた呟きに、隣の斎藤がため息をついた。
「お。わかる? でも言えない雰囲気じゃんね」
「完全に同意です」
斎藤は金持ちでいけ好かない奴だと思っていたが親近感が湧いた。
「今度彼女と一緒に行くことになってさ」
確か860円だった。ドリンクも頼まないとだし、その金で牛丼が何杯食えるのか。
「俺も後輩と一緒に行く約束しちゃったんですよね。奢らないとだし本当は嫌なのに」
その声は俺より数段重い。最高級店だと1500円超えると聞く。金持ちと思っていたが、案外価値観は擦り合うかもしれない。
「高いからって、本人の前では言えないよな」
「本当です、断るのも難しくて。折角ですしもっと安いとこ、今度行きませんか」
「いいよ」
甘味自体は好きなんだ。思ったよりいい奴かもしれん。
「山自体は好きなんです。マッキンリーなら半額で50万位みたいですよ」
安易な同意に後悔した。斎藤がケーキの金額で悩むはずがないのだ。
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