僕らは厨二病じゃない

鈴木佐藤

プロローグ


何度も呼ばれるその名前を、自分の名前だと思っていないようだった。


「おい、田中!」


ジャージを着た教師は、その顔の前で手を叩いた。教壇を降りて一番後ろに座る彼女の前まで来て、何度も呼んでいた。


窓の外を見ていた彼女は、何度も呼ばれるその名を、まるで自分の名前だと思っていないかのようだった。

パン、と乾いた音でやっと、田中と呼ばれた彼女は我に帰ったようだった。


僕は教師に気付かれないよう席に座ったまま振り向いて、その動向を見守る。


「おっと」


その時点でやっと、呼ばれていたのは自分の名前だったと気付いたようだ。


「すまぬ」


それは田中と呼ばれた少女の見目には似つかぬ口調だった。

異国を思わせる顔立ちと金髪ブロンド

着ている制服はアンバランスで、裾から覗く長い手足には不似合いだった。

そんな彼女の返事を聞いた教師から、呆れるような溜息が聞こえた。


「……あのなあ、そういうキャラ作りばっかりしてるから馴染めなかったんだろ?」


それから、彼女の返事もリアクションも聞かず、教師は言葉を続けた。


「放課後の呼び出しなんだぞ、しっかり話を聞け」


彼女の視線を集めたことで、教壇を降りた目的は達成したようだった。彼女に背を向けて教壇に戻るジャージ姿の教師に、油断していた僕も慌てて居住まいを正す。


「お前らあ」


それから先の続きの言葉は彼女だけのための言葉ではなく、教室にいる僕ら五人全員にも向けるもののようだ。


「お前ら……さあ、今までは義務教育だからなんとかなってたけど、これからはもうそうはいかないんだぞ」


ジャージ姿で頭をかいて、溜息をつくのが人に話す態度なのだろうか。まるで雲の上からのように教壇の上から言葉を落としてくる。


「来年からは高校生なのに、協調性がないわ成績もろくでもないわ……」


教室にいる五人は、誰も返事をしなかった。

机が三十近く並ぶ教室で、隣り合わないよう席に座ってバラけて座る彼女、彼らは一見しただけでも協調性がないタイプだと分かる。

まあそうだけれど。

……僕はしょうがなくない?


「まず田中」


金髪の彼女が呼ばれる。

一人一人に言葉をかけていくシーンらしい。

そんなの卒業式だけで充分だろう。

教師の視線は険しいから、かけられる言葉がいいものではないと安易に想像がつく。自分の番を想像するも気が重い。


「お前なあ、そもそも髪を黒く染めろって言っただろ、これから高校の入試で──」


「地毛じゃからなあ、これ」


すかさず彼女が言い返した。

先ほど同じ、おばあちゃん口調。

……ギャップすごいな。

膝をついて顎を乗せていた手が滑り落ちた。


そんなもん分かってる、と彼女はすぐに教師に一蹴される。


「周りに合わせるということが重要なんだ。校則で生徒は黒髪だって決まってるだろ」


こういうの、言い返しても無駄なんだよなあ。

返事は頷くだけなのか、声は聞こえない。

まあ確かに、長く伸びる金髪は、中学校という場所で明らかな異端だった。


「……田中。日本語を覚える教材が悪かったのか知らんが、そのおばあちゃん口調もおかしい。早く直せ」


だからお前は友達がいないんだ。

続け様にそう言う。

彼女のことは知らないが、まあ教師の言い方は酷いなあとは思った。他人事。


返事をしない彼女をこれで説き伏せたつもりなのだろう。教師は視線を外した。次に視線を刺したのは、別の女生徒だった。


「次はお前だ、九五川くごかわ


それは一番前の席に座っている、ツインテールの生徒だった。突っ伏してた背中が名前を呼ばれてにゅるりと伸びた。


「にゃー」


なんだその返事は。


「……なんだその返事は」


さすがに教師と同じことを思った。


「お前はいつもふざけてるな」


低くなったその声に、ツインテールの彼女は首を傾げた。それだけだった。


「大体なんだその眼帯は! 二年生の春休み明けからずっと着けてるって聞いたぞ!」


九五川くごかわ

それがツインテールの彼女の名前らしい。

クラスが違うので名前は知らなかった。

まあ、そもそも……他の生徒の名前をほとんど知らないんだけど。


返事をしない彼女に、小さく教師が口を開いた。返事は、と強要する声はいっそう低い。


「だって二年生の時に覚醒したんだにゃ」


「にゃ、じゃないだろ。キャラ作りが過ぎる。だからお前は浮いてるんだ」


先ほどから、視線だけじゃなくて刺すような言葉まで放ってくる。ツインテールの彼女は……九五川さんの肩はそれでも縮まなかった。


「親御さんはいつ連絡しても出ねえしなあ。はあ、困ったもんだよ」


独白にしては毒が過ぎる。

みんなの前で溜息をつくのをやめてほしい。


……とりあえず九五川さんへの言葉はそれで終わりなようだった。


「で、次。……あー、蛇頭じゃとう!」


「は、はい」


男子の声だった。

俺の斜め前に座る、制服のワイシャツを着る少し髪の長い男子生徒。


「お前は〜……」


ここまでまともに返事もなかったので、返事があることには一応満足したのだろう。しかし続きの言葉に悩んでいるように、教師は頭を抱えて唸った。


それから沈黙は、一行分。


「その両腕の包帯と腰の鎖なんなんだっていつも言ってるだろう!!」


「ククク……」


言葉の矛先になった男子生徒は──蛇頭と呼ばれた生徒は、顔に手を添えて喉を鳴らすように笑った。その立ち方やめろ。


「これは右腕にドラゴンが封印されているんですよ、先生……」


まじか。


教師は返事ができないようだった。

他の生徒も何も言わない。

一番後ろに座る彼も──何も言えない。


「この鎖はドラゴンが逃げ出したときに……封印するためのものです」


沈黙は言葉を促すものではなかったのに、その生徒は──無造作な黒髪の男子生徒は、眼帯をした左目を抑えて笑いながらそう言った。


「左目は邪眼です」


わお。


「…………蛇頭」


その生徒の長袖のワイシャツから伸びる手の甲が、包帯を巻いていたのが後ろに座る彼にも見えた。


「中学三年生にもなってそんな幼稚なことを言うな! アホか!」


大きな声に、蛇頭はびくりと肩を震わせた。


「ドラゴンの封印が解かれたら困るとか言って水泳にも参加せず! 授業は寝てばかりでしょっちゅう遅刻して!」


教室中に響く声は過剰に大きくて、彼はさすがに顔を顰めた。


「寝坊なのはバレバレだ!」


矢継ぎ早に言ってくる教師に、蛇頭は返事をしない。無言で見ているだけだった。


「成績も内申も悪い! 進路希望も出されない! 進学できんぞ!」


「ククク……ドラゴンを封印するこの身が普通の学校になど収まるわけがない……」


「ふざけるな! お前は世間の大変さが分かってない!」


大人は大変なんだぞ、と。教壇は教師の独壇場。


「辛いことがあっても頑張らなきゃならん。そんな現実逃避はもう許されん。親御さんがお前を食わせてくれて学校に通わせてくれてるというのにお前は……」


蛇頭は答えない。

竜が封印されていると言った腕を抑えている。

……うん、ドラゴンが暴れているのだろうな。


喋っているうちに興奮したらしい、教卓を叩いて教師は大声で言った。


「まったくここにいるお前らはふざけすぎだ!」


……僕まで巻き添えだ。心外だな。

蛇頭な大声に驚いて肩をびくっと震わせると、そのズボンに繋げられている鎖が小さく音を立てた。

田中は顔を顰めて、九五川は両耳を塞いでいる。


もう一人は──


「ああ、印旛いんば、すまない。驚かせたな」


教室の隅。

一番前の、一番出入り口に近い場所。


僕の視界の端に座る生徒は、男子とも女子とも取れない小柄な生徒。なぜか制服を着ておらず、パーカー姿。

よく見えないが、その目は長い前髪で覆われているようだ。

斜め後ろから見える座る姿は、ベリーショートの女子生徒とも男子生徒ともどちらともとれる。


……いや、僕だって驚いたんだけどなあ。

僕にも謝ってくれていいのでは?

そう思って一つ溜息をついた。

自分でも思ったより大きな溜息になって、しまった、と思った時にはもう遅かった。


教師と目が合った。


「自分は違う、みたいな顔してるけどお前〜……」


息を呑んだ時には、もう遅かった。


「制服の下に隠してる十字架のネックレスは校則違反だぞ! 朝田!」


「うげ」


開けていたワイシャツの第一ボタンを胸元で抑えた。

見つかったか、と頬をかいて、それから口を開く。


「いや、これ……お告げでずっと肌見離しちゃいけなくて……」


「いやいやいや体育の時間に邪魔だなって取ってたの知ってるんだからな!」


教師が僕を指差した。

そんなの一年生の頃の話のはずだ。


「修学旅行のお土産とかサービスエリアで売ってるあのストラップだろ!」


「いえ、これは代々伝わる偉大な剣で……」


「ほうほうお前は大層なご出身のご家庭なんだなあ」


そういうわけじゃないけど。

教師が腕を組んで意味深に頷く。

この地域では平均的な家賃のごく一般的なマンションに住んでいる──と教師だって僕の家庭をよく分かっているはずだ。嫌味だ。


「…………はあ」


黙っていたら、教師の方が溜息で口を開いた。


「……まあ、お前は一年、入院してたからしょうがないがなあ」


教師の言った言葉はそのとおりなのだが、言われるとそれはそれで腑に落ちない。

理解を求める前に配慮をされると、それはそれで気が重くなる。


何も答えずにいると、教師は視線を戻した。

僕の前に話そうとしていた──その中世的なパーカー姿の生徒に。


「うるさくて悪かったなあ、印旛」


はい。

その返事は小さくて──髪を耳にかける音にさえかき消されるようなボリュームだった。


教師の顔は分かりやすい。参ったなあ……扱いづらいなあ。

視線を集める教壇で、あからさまな顔だった。


「まあ、うんうん、お前は来てくれるだけでえらいからなあ」


その言葉に、印旛と呼ばれた小柄な生徒は頷かず、よりいっそう身を縮めた。

かけられる言葉に警戒している──気持ちは分かる。


「担任の先生が面会に行っても中々会えないしなあ、こうして来てくれるなんて先生すごく嬉しいぞ!」


わざとらしい笑顔。

さっきまでの雰囲気のせいで、まったく温かい笑顔だと思うことができない。


「嫌なことからずっと目を瞑ってちゃダメだからなあ! こうして学校に来れたのは偉大な一歩だな!」


水のように浴びせられる言葉に、印旛さんの肩がびくりと震えた。

教師はその小動物のような様子を見て満足げに頷いた。


「印旛。二学期からでも頑張らないと、逃げ癖がつくからな、気をつけろよ」


「………………はい」


やっと聞こえたその声は、声変わり前の男子とも、低めの女子の声ともとれる声だった。

小さい返事だったが、教師はやっぱりまた頷いた。


「口答えせずに話を聞いて偉いな! お前ら四人も印旛を見習え!」


そう言われて他の生徒も、印旛を見ないわけにはいなかった。

四人の視線を一気に浴びて、印旛さんはもうそれ以上小さくならないであろう肩をさらに縮こませようとした。前髪で覆われて見えづらい顔を俯いてさらに隠した。

……あーあ。そりゃそうだよなあ。


「で」


印旛さんを見ていた僕らの視線が教師に映って、印旛さんも慌てて顔を上げる。


「三年生になりこの一学期中お前らを学年主任として見てきましたが、協調性もなく校則違反ばかりでとてもじゃないですが卒業させられません」


義務教育。ご大層な説教されがち。


「今まで体育祭、文化祭にも合唱コンクールにも……普段の体育にさえろくに参加せず、内申点はゼロです! ゼロ」


その評価をしたら評価をした本人の力量が疑われるって分からんのか。

……分からんよなあ、大卒後ストレートにきたこの教師に、一般企業の経験はなさそうだ。

僕は今度こそ溜息をつかないように、口の端をキュッと閉じた。


「このままじゃお前らをこの中学の卒業生として送り出せません。はっきり言って恥です」


気持ちよく送り出そうとする気概もないのだろう。

そんなこと言えるほどご立派な中学校だったのか。田舎の公立中だぞ。


「内申に書けることが悪いことばっかりになってしまうのでチャンスをあげます」


教師の顔は得意げだ。下にいる生徒たちを顎で指すような顔だ。


ですので。

そう続けられる声に、生徒たちはいい予感はしない。


笑顔なのは教師だけだ。


「二学期の秋の文化祭で何か成果を見せてください。劇や合唱、研究展示など──ここにいる皆で一丸となって発表をしてください」


「はあ!?」


それは腕に包帯を巻いた男子の──蛇頭の声だった。


「いやいや一丸で……ってクラスも違うし今までもクラス被らず接点なかったし……」


蛇頭の言う事は人間関係に繊細な中学生としてもっともだ。

……意外とまともじゃん。

しかしそんな思いは、大人の決定事項には響かない。ヒビすらはいらない。


「そういう人間関係を築いていくのが目的です。ここにいるみんな、人と協力して何かを達成したことがありますか? ないでしょう?」


中学生にだって遡れる過去はあるのに、若いというだけでそんなものは薄くて見えないと決めつけてくる。


「自分を見つめ直して成長する夏にしてください。文化祭で良い物を見せてくれればしっかりそれを評価します!」


おかしな話じゃないか。

二年分のゼロ点に、一つの行事だけでしっかり評価を加えるだなんて。そういうのって、地道な積み重ねと普段の態度なんじゃないの?


……と思うが、その地道な積み重ねがなく普段の態度も評価されにくい側としては、何も言えない。


五人全員が辛酸を舐めるような──苦虫を噛み潰すようなまずさを感じているように口を噤んでいる。


「…………何すればいいんだにゃー?」


揺れたツインテール。

眼帯をつけた女子生徒の──九五川さん。


教師はやっぱりその語尾が気になるのだろう。まるで猫の尾を踏んだ……いや猫の死体を見たかのような顔をして、それから死体に触れるのも野暮かと結論づけるように数拍置いて、返事をした。


「まあー、定番なのだと劇とか合唱? 漫才する奴らもいれば近くの遺跡の歴史を発表する奴らもいるな」


近くの遺跡って、あの貝塚かとしょぼい看板が立ってるだけの遺跡公園のことか。

すでに掘り返されまくっている場所の何を発表することがあるのだろう、と、朝田はぼんやり考えた。


「まあとにかく夏休みの間頑張って準備して、他のみんなを感動させること! 先生からの呼び出しは以上!」


言い放り投げてもうリアクションを見る必要も、求める必要もないのだろう──ジャージの教師は教師の扉に手をかけた。


「厨二病ども! せいぜい頑張れ──解散!」


解散!

と、言葉ともに拘束から放たれる。


「…………」


誰のものでもない、全員の沈黙。

取り残された僕ら五人。

──悩む。

一番に発言をしたらこれから責任を取らなきゃいけないような──重い沈黙。


他の四人も固まっている。


「……ここは年長者の功でいこうかのう」


立ち上がる椅子の音は、後ろからだった。


立ち上がると長い髪の毛が彼女の腰まで垂れる。

染めろと言われても染められなかった髪は、くすみのない見事な金髪。

同じ色のまつ毛に縁取られた目は大きい。


「田中レテじゃ」


前の方に座る彼女は、全員の顔を見るように向き直って言った。

──うわ、美人だ。

けど、なんで。さっきから気になっていた。

……なんでおばあちゃん口調?


僕の視線はあからさまな困惑に染まっていたが、彼女はそんな視線も受け止めて穏やかに笑った。


「三組じゃ、よろしくのう」


「噂通りの美女だにゃー」


反応したのは一人。ツインテールに眼帯をつけた生徒だった。


「ハーフ?」


「生まれがこっちではなくてなあ」


ふうん、と頷く様は猫のようだった。


「可愛い語尾じゃの。……きみは猫かの?」


「残念ながら猫じゃないにゃあ」


「そうか! ヒトなのは残念かあ!」


美しい顔をもったいぶることなく、田中レテは破顔した。

かっかっか、と笑う様は豪快で中学生らしくない。


「で、猫ちゃんや、きみの名前は何ぞ?」


仁亜にあ。仁亜って呼んでにゃあ」


ツインテールに、眼帯。

同じ学年にいたら嫌でも覚えられそうな特徴の生徒だが、やっぱり知らない。……覚えてない。


「二組だにゃ。よろしくにゃあ」


「ククク……その右目からは邪気が感じられるなあ!」


全員が一斉に彼を見た。

椅子の脚を鳴らして立ち上がった生徒は──顔に手を添えてそう言った。

J○JOかよ。


「俺は蛇頭大地じゃとうだいち。時々疼く右腕を抑えるため消えることがあるが……よろしくな」


……うわあー。

あっちゃあ。溜息をつきそうになって口元を手で覆った。


「人間たちが平和に暮らせるのも俺のおかげってわけさ……一組だ」


同じクラスなんだ。

なんか嫌だな。手の隙間から溜息が漏れた。


「これも何かの縁だ。大地と呼んでくれて構わないぞ。クックック……」


他の四人は静かにその自己紹介を聞いていた。

誰も返事をしないのに、さすがに狼狽えたようになり──見ていた僕と目が合った。


うわ。


「えーっと、朝田……さん、は同じクラスだよな?」


うわ、覚えてんだ。

さん付けされたし……え、意外と常識人?

目が合ったらさすがに無視できない。返事に悩んで──ああ、うんと返事をして立ち上がった。


「一学期は入院してて、ろくに学校に来られなかったけど……えーっと、大地? は、よく覚えてるな」


「そのネックレスはとてもいいセンスだからなあ!」


あ、これダサいんだ。

立ち上がる時に音を立てたネックレスに、少し自信がなくなった。

僕と入れ替わりに大地が座った。

うん、このネックレスのことに触れるのはやめよう。


「えーっと、朝田あさだヨウです。一組ですが……随分久しぶりに学校にきました」


これでいいかな。

こんなもんだろ、と言葉を止めたが──多分まだ説明した方が良さそうだな、と他の四人の表情を見て判断した。


……多分これは、説明が必要だ。


「一年生の終わりに原因不明で倒れて、二年生の間ずっと入院していました。最近目が覚めて……それで今日は……まあ放課後からだけど、久しぶりの登校になりました」


もうすぐ夏休み。

三年生の一学期は──残り一週間で終わる。

そんな日。


「まあ、朝田って気軽に呼んで。……よろしくお願いします」


「はっはっは!」


大袈裟に手を叩いて笑うのは──田中レテだった。


「素敵なネックレスだなあ、朝田くん」


うわ。

声をかけられて、座ろうとしたタイミングを見失う。


「……それはどうも。田中さん」


「レテでいいぞ、朝田くん。わしとぬしとの仲じゃないかあ」


どんな仲だよ。むしろ健全な男子ならお願いしたいよ。まあ、そんな口調じゃなかったらだけど。


「……二年生で一緒だった? ごめん、登校してなかったから」


「ははは! いいとも、いいとも。これから覚えてくれたまえ──わしを、この子らを」


そう言って田中レテは手を広げる。

自己紹介していないのは、残り一人。


僕たちの視線に──彼だか彼女だかが気がついた。

教室の一番端の席は、四人の顔がよく見えるだろう。僕もよく見えた。

厚く一直線に切られた前髪は目の下まで伸びていて、その顔は鼻先と口元しか見えない。


僕が席に座ると、恐る恐るといった様子でその小さな唇が開いた。


「……印旛いんばみち……二組です……」


声も小さい。

ただ身長は低そうだから、女子だろうか。パーカーとジーパンの色合いからは分かりにくいし、学校指定の上靴は白くて、足元でやけに目を引く。


「あー、ずっと空いてる席がきみだったのかにゃあ」


そう言ったのは、九五川さんだった。


印旛さんの肩がビクリと震えた。

その様子でなんとなく察する。

不登校、という一言で片付けるのは失礼かもしれないが──まあ、教室には行ってないようだ。


「いつ教室くるにゃ?」


「……それは……」


九五川さんの遠慮のない質問に、印旛さんは俯いてしまう。空気が読めなさそうな大地も黙って、言葉を待つ。


「……えっと──」


「はっはっは!」


口ごもる印旛さんに注がれる視線を攫った笑い声。


「これこれ、にゃあ」


すまないなあ、と。

重い空気を割ったのは、田中レテ。


「すまないな、みっちゃん」


みっちゃん。

そして九五川さんに愛称をつけてる。にゃあ、って。


「無垢が故とは無礼じゃった、不躾じゃぞ、にゃあ」


「え、あ…………はい」


九五川が首を傾げつつも視線を田中に映した様子に、印旛さんは少し安堵したようだ。

みっちゃんと言う愛称を受け入れてたし──女子なのだろう。


「クックック……」


軽くなった空気に、大地が喉を鳴らした。

やっぱりお前以外と常識人だろ。


「これがこの夏を共に戦うメンバーってわけか」


そしてなんか仕切られてる。


「ではこの組織の名前を決めようか……そうだなあ、五人……部活動未満……」


嫌な予感がする。


「S○S団?」


「何に助けを求めるんじゃ?」


田中が首を傾げた。うん、まあ知らないとそうだよな!


せめて最後のアルファベット変えろよ。

こういうやつかお前は。

喋らせないほうが良さそうだ。しょうがなく口を挟む。


「……あのさ、名前の前にさ、活動内容とか決めてからにしない?」


しょうがないから喋るしかなかった。


「隣人部だってまず内容ありきだったじゃん」


「確かに……!」


やっぱりお前はこの例えが分かるんかい。

言ってて嫌だったけどやっぱり通じたな。


「じゃあー、まあ、まず内容でも決めてこうよ」


僕が黒板にまとめてくよ、と言って、しょうがなく立ち上がる。


「おー、真面目ノアじゃのう、朝田」


「え……なんだって?」


真面目ノアじゃのうって」


まったく意味が分からない。

頭上にクエスチョンマークを浮かべる僕に、田中はやっぱり──美しい顔を、口の端を歪めて笑って見せた。


「まあそう急ぐことでもあるまい。夏休みまで一週間ある。どうじゃ、今日は一度各々家で考えてまた後日集まるということで」


「まあ、確かにそれで……」


僕はチラリと印旛さんの様子を伺った。

私服姿なのは、放課後になって学校に来たからなのだろう。来てくれるだろうか。


「来られんかったら手紙でもよい。皆で案を持ち寄ろう」


印旛さんに向けて、とは言わなかったが、それは明らかに彼女のための言葉だった。

印旛さんから返事は聞こえないし表情も見えないが、わかったのだろうか?


「いつでもいいにゃ」


すぐに頷いたのは九五川だけだった。


「それなら、まあ……」


大地は少し考える様子をしている。

田中が僕を見るので、いつでもいいと肩をすくめて示してみせる。


「あんまり放課後に連日集まるのもあれじゃからのう……」


「その通りだな」


今度は大地がすぐに頷いた。

やっぱり意外と常識人なのか。


「明後日の金曜にしようかのお、どれ、よいか?」


「いつでもいいにゃ」


「賛成だ」


「僕も大丈夫。……よろしく」


返事をした九五川と大地と僕と目を合わせて、田中が頷いた。


「よいのう。よろしく頼むぞ」


「では諸君、金曜日終末にまた会おう……」


クックックと笑いながら、腰につけた鎖をチャラチャラと鳴らして蛇頭が一番先に教室を出て行った。


教室の扉が閉まった途端、足音は慌てて走り出す音になった。

なんだ、あいつ、用事でもあったのか?


「……じゃあ、失礼しました……」


「おお、みっちゃんも帰るかや」


立ち上がった印旛さんに、レテが声をかけた。


「どれ、だろう」


なんか意地悪だな。

印旛さんがレテの言葉を確認するように見た。

レテは笑っている。綺麗な顔で。


「金曜日の放課後、来てくれたら嬉しいのう。……待っておるぞ」


印旛さんは、頷くだけだった。

僕に小さく会釈をして、それから教室を出て行った。

来るか分からない曖昧な返事だと思ったが、田中は満足げだった。


「さあて、わしらも帰ろうぞ」


「ああ、じゃあな……田中と九五川」


「レテで良いと言っておる」


「仁亜でいいにゃあ」


女子の下の名前呼びに躊躇っていたが……まあここまで話したら抵抗するのも格好悪いな。


「おっけー、それはどうも」


僕は二人に返事をする。

田中は──レテは金髪でスラリと細長い美少女だし、九五川──仁亜も眼帯のない片目はまつ毛の長い二重で、可愛い顔をしている。


「じゃあ、またな」


僕は二人を残して、教室を出た。

……二人とも、口調が変じゃなきゃクラスのカーストは上だろうに……。



学校から自宅までは、わりと近い。

平均的な住宅街の、平均的な家賃のマンションだが、2LDKという家族住まいには少し狭い間取りだ。

玄関に他に靴はない。僕一人みたいだ。

僕は自分の部屋に入り、壁に掛けられていたハンガーに脱いだ制服のワイシャツを掛けていく。


胸元のネックレスに当たって、耳障りのいい音が鳴った。……かっこいいと思うんだけどなあ。

サービスエリアで買えるとか旅行先で買えるあの剣のネックレスとか言われたけど。


その上から部屋着のティーシャツに着替え終わると、インターホンが鳴った。


「はーい」


こんな夕方に誰だろうか。

他に出てくれる人もいないのでしょうがなく玄関に向かう。サムターン錠を回して扉を開くと──


「朝田、すまんのう」


「はあ!?」


そこには制服姿の田中レテがいた。目を疑う。


「なんで?」


「ああ、お前の目が覚めたら海外の仕事に戻るから面倒見てやってくれって──お前のお母さんたちに頼まれておったのじゃ」


「はあ!?」


なんで!?

俺の知らないところで!? そんなことある!?

中学生だぞ!?


ラノベの同居だって大体高校生になってからだぞ。……ひげを剃るくらいになってからとか。


「本当じゃぞ。ほれ鍵も持っておる」


「本当? だ……」


レテが手の中に握っていた鍵を見せてくれるが、平均的なマンションの平均的な鍵なんて、そうそう見分けがつくわけもないが……まあこうやって見せてくるということはそういうことなのか。


「嘘だろ……」


「はっはっは。ピノキオなわけがあるまいよ」


レテはいつの間にやら靴を脱ぐと、玄関で立ち尽くす僕の横をするりと抜けて室内に入ってきた。


「朝田、よろしく頼むぞ」


「いやいやいや……」


玄関に並べることなく脱ぎ散らかされた彼女の靴を直しながら、まじかよ、と僕は呟いた。


金髪の同級生といきなり同居とか、どこのライトノベルだよ。今どきウェブ小説でだってこんなん流行らねえぞ──と思いながら。



***



九五川仁亜の家は学校から少し遠い。

夕方の日差しは、一日を終えた仁亜の足をいっそう重くさせる。


一階部分がスナックと麻雀屋になっている二階建てのアパートの真ん中が仁亜の住んでいる部屋だ。


ギザギザの古いシリンダーキーを差し回す音は、まるで動物の歯軋りを聞いているようで嫌いだ。

仁亜は鍵を抜くと、所々色の禿げた古い玄関の扉を開けて中に入る。


窓が少ない室内は、夕方だというのに、夜を先取りしたように薄暗い。

ぼんやりと部屋の真ん中を明るく照らす──点けられたままの分厚い古いテレビ。


玄関内に倒れたままのヒールやブーツの上に、履いていた靴を脱ぎ落として室内に入る。

明るい方に行こうとごみの山を踏みながら進むと、足の裏が濡れた感覚に気付く。

穴の空いた靴下の底から、ゴミ袋の結び口からカップラーメンの汁が漏れていたらしい。


──立てて置いたはずなんだがにゃあ。


その近くの、空のペットボトルやティッシュなどゴミで膨らんだコンビニの袋を手に取って、それを支えに大きなゴミ袋を立たせた。


──うん、これで倒れないにゃあ。


ゴミ袋の結び口から垂れた汁は、まだ良い匂いがする。下の方に一緒に入っているはカビているが、まだ香るその汁は仁亜の空腹を刺激した。


何か食べられるものはないか。

そろそろお金が置かれていないかと、ごみに囲まれたちゃぶ台を見るが──そのちゃぶ台の上には中身のないテッシュ箱が置かれているだけだった。


『やったあー! にゃあの大好きご飯だにゃあ!』


液晶のテレビ画面からは、いつもの声。

分厚いテレビが置かれた木製のテレビ台。割れたガラスの扉の中には、DVDデッキがあり、一秒一秒時間を刻んでいる。


百十五分二十六──七秒。

その数字が百二十になると停止することを仁亜は知っている。


テレビ画面の猫のキャラクターは大好物だというご飯を食べている。粘土アニメの猫のキャラクターはいつもと同じ笑った顔。嬉しそうに粘土細工のご飯を持っている。


『にゃあは幸せだにゃあ! みんな、まったにゃ〜!』


デッキの数字が百二十になった瞬間、テレビの画面が暗くなる。いつのまにか夕日も沈んでしまったらしい。部屋の中が暗くなる。

そしてまた──デッキの数字が一秒を数え始めて、明るくなる。


『テレビの前のみんな〜! 今日もにゃあ太郎と遊ぼうにゃ〜!』


いつもと同じ挨拶。いつも通りのテレビ画面が仁亜の瞳に映る。いつも通りの無限再生。


仁亜は足の底のベタベタが気になり、シャワーで流そうと風呂場に行くためごみの山を跨ぐ。


露わになった数少ない床板にベタつく足が触れたその時、仁亜の嫌いな音がした。

獣の歯軋りのような、玄関錠が回る音。

がしゃんと勢いよく扉が引かれるけれど、今ので閉められたせいで扉は開かない。


開けたままだった。

と、仁亜はその音で気がつく。

今鍵を回されて、閉まってしまった。


玄関錠がもう一度鍵が回される。自分が立てる以外でその音を聞くのは一ヶ月ぶりだった。


がちゃんと音を立てて──今度こそ扉が開く。


「お、おかえりにゃ」


「うるさい!」


──しまった。

部屋に入ってきた髪の長い細い人影は、玄関先に落ちていたゴミ袋を無造作に掴むと勢いよく仁亜に投げつけた。


仁亜は声を出さないようにぐっと口を締める。

衝撃音は柔らかい。

ビニール袋の音が少し痛々しいだけだ。


咄嗟に腕で庇おうとしたが、間に合わなかった。

足元を見ると、仁亜の顔にぶつかったゴミ袋の中身は、ペットボトルや紙屑が殆どだった。


投げた人物が咄嗟に持ち上げられる重さだったのだから──軽いのは当たり前か。


仁亜はまだ顔の前にかばうように掲げた腕をそのままにしている。眼帯がついた顔を足元に向けたまま──を見ないようにする。


けど、それでも言わないと。

言わないといけない──仁亜は意を決して口を開いた。


「もうそろそろ、ご飯買うお金がないにゃ……置いてってほいしにゃ……」


「うるさい!」


今度飛んできたのは、ペットボトルだった。

顔の前に手をやっていたから、制服を着たままの腹に当たる。

音は軽い。中身が一口分程度しか入っていないペットボトル。


「それでも飲んでれば!?」


ペットボトルを投げた母親が部屋に入ってくる。

ポシェットを肩にかけ、華やかな服装をしている。

ヒールの踵に踏まれたゴミ袋に穴が開く。中からした匂いは、風呂場の排水口に似ている匂い。


「にゃあにゃあにゃあにゃあ! 寂しいと思ってつけておいたテレビで変に言葉を覚えやがって!」


顔の前に掲げていた手が、ネイルをした細い腕に叩かれる。

仁亜は口を開かない。漏らさないように、固く引き結ぶ。


「良かれと思ってアニメのDVDにしてやったのに! その変な言葉で喋るから! あたしまで変な親だと思われてる!」


「ご、ごめんなさ……」


「あたしは放っておいただけなのに!」


ぐい、と引っ張られたのは、仁亜の髪の毛。


「にゃっ!?」


ツインテールの片方を引っ張られて、思わず顔の前から手が退けられる。

対峙する母親の顔は──少し上。

仁亜は痛みに顔を顰めて目線を上げる。


隠されていない片方の目で、母親を見る。

目の縁が少し黒い。滲んでいるのはマスカラか、アイラインか。

……いいなあ、メイク道具。欲しいなあ。

置かれていくお金だけじゃ、毎日のパンぐらいしか買えないけれど。


「……眼帯、いつまでつけてんの?」


──そんなことを考えていたから、仁亜は返事が遅れた。

待たれたのは、一拍。

放たれたのは、一発。


「にゃっ!?」


叩かれたと同時に肩を押されて、床に──ゴミ袋の上に手をついた。

叩かれた頬が熱い。頬に手を添える。


「いつまでそんな眼帯つけてるの!? 嫌味ったらしい! 陰湿な子ね!」


「ちが、そんな──」


「顔に当たったゴミ袋に割れたコップを入れてたのはアンタじゃない!」


顔に当たったのは投げられたからだ。

割れたガラスのコップの捨て方なんて知らなかったから──いつも通りにゴミ袋に入れただけだ。



仁亜の母親は、たまに帰ってきて机の上にお金を置いて行く。

顔を見れば衝突してしまうのに── 生存確認なのか、死亡確認なのか──仁亜のいる時間帯に見計らって帰ってくる。

そもそもあまりこの家にくることがない人物に、帰ってきたと言っていいのか、遊びにきたと思っていいのか仁亜には分からない。


その日はたまたま機嫌が悪かったのか、どんなことことがあったのか、仁亜には分からない。

いつものように仁亜の姿を見て足元のゴミ袋を投げようとする。たまたま掴んだそのゴミ袋は、たまたま割れたコップが入っていて──

防御が遅れた仁亜の顔に当たって、目元から血を流させた。



「もう一年以上前のことでとっくに傷は治ってるくせに! 嫌味ったらしく! この子は!」


座り込んだ仁亜に、ゴミ袋が次から次へと投げられる。

何も言うまい。

仁亜は固く口を引き結ぶ。

言わない方が、いい。


仁亜は思い出す。


さすがに多かった出血量に驚いて、タクシーを捕まえて母親が皮膚科に連れて行ってくれたことを。

──眼球には傷もついてないし大丈夫でしょう。買った場所の皮膚が薄くて、血が多く出ただけです。


そう言った医者に、母親はほっとしたような顔をして、この子がコップを持って転んだんですと涙ながらに説明した。


切れた場所は左目の眉下だった。

流れる血のせいで見えにくくなったその片目に、確かに仁亜は変なものが見えた気がしたのだ。

──先生、変なものが見えるにゃ……。


そう言った仁亜に、医者は看護師に言った。

診察室を出る際の小声だったが、聞こえていた。

──ストレスのせいだろう……心療内科を紹介した方がいい。

場合によっては、児童相談所も。


それは仁亜だけでなく母親にも聞かれて──以降医者には行かなくなった。


清潔を保たれなくなった患部は、軽い切り傷をケロイドに残る傷跡になった。

周りの皮膚が突っ張るせいで、目を閉じている方が楽だった。

傷跡を見ると怒られるのもあって眼帯をつけているが──つけていても怒られる。


「ああ! もう! 子育てなんて楽しくなかった!」


投げられたゴミ袋はどれも軽い。痛くなんてない。音が痛々しいだけだ。耳につくものが痛いだけだ。


声を出さないように口を閉じていると──不意に顔が濡れた。水が飛んできた、と目を開く。

頬に触れて指先でその水滴を確認すると茶色かった。

ラーメンの汁だった。


「きったな!」


母親が持ち上げたのは、ラーメンの汁が入っていたゴミ袋のようだった。

仁亜が先ほど立たせたゴミ袋が落とされ倒れ──横になった結び目から中の汁が溢れて広がっていく。


「…………ああもう!」


母親は汚れていない方の手でポシェット中に手を入れる。探るような動作を、下から仁亜は見ている。開いている右目だけで。


「これ今月分!」


落ちてきたお札は、まだ仁亜が見たことないお札だったから──おもちゃかと思って目を凝らしてしまった。

落とされた二枚のお札。

ゼロが四つ並ぶそのお札に、よく知る彼が太ったかと考えてしまった。

新一万円札。渋沢栄一。


「お礼ぐらいすぐに言いなさいよ!」


「ごめんにゃさい!」


そう言えば社会の授業でお札が切り替わると言ってたっけ、と仁亜は思い出した。


仁亜は慌てて一万円札を拾う。

──知り合ってすぐだけど、すぐにお別れだにゃ。


俯いてお札の顔を見る仁亜に、何も言うことなく母親は玄関に戻る。


あ、やばい。

仁亜が顔を上げた時には母親はもう玄関のドアノブに手をかけていた。


──電気代とガス代を払ったら、ほとんど足りない。


今月は水道代が。

そう言おうと口を開いた時には、玄関の扉は開いて、母親は部屋から出てしまった。


『にゃあはご飯が大好き! お友達と一緒に食べるともっと美味しくなるにゃあ!』


テレビからいつもの声が聞こえる。

節電しなきゃな、と。

暗くなったその部屋で、テレビの明かりだけを頼りに、ベタつく手で触ってシミのできたお札をテーブルに置いた。


それから汚れていない場所に制服を脱いで、眼帯を取って、シャワーを浴びに浴室に向かった。

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僕らは厨二病じゃない 鈴木佐藤 @suzuki_amai

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