臨時募集を受けたんだよ
「あ、ははは。テッド君のところは相変わらずですねー」
(物を)捨てる神あれば(俺を)救う神あり。ということで、偶然通りかかったコレットが手伝ってくれてどうにか移動を開始できた。
「なんか、会うたびに助けてもらってないか?」
「気にしなくていいですよ。それに始めてあったときは助けたって訳ではないですから。」
まあ、確かに初対面は剣を抜かれたけど、そのお陰でホリーさんたちに会えたしね。それに、聞いた話ではあの時はギルドで村の巡回のクエストを受けていたそうだし。そう思うと、俺の口車に乗りそうになった事実の方がマイナスなまである。
「うん?なんかついてる?」
「いや、今日も村の巡回クエストなのかと思って。」
ほら、こんなこと考えててもホリーさん見たいに当ててこない。なんと言うか…普通の子だ。
(アルは結構変わってるよりだよね。)
「シュルル~」
ガイアさん?あと、なんかタイミングよく鳴いたアイリスさん?
「あ、その子がテイムした子ですね!」
ポケットに隠れていたアイリスに気がついてコレットが声を上げる。アイリス、どこでも大人気である。
「そうそう。かわいいでしょ。」
「はい!うちのルルちゃんもかわいいんですけど、他の魔獣にもそれぞれよさがあって!」
「ルルって言うのは以前連れていた鳥ですかね?」
「あ、まだちゃんと紹介してませんでしたね!ルルちゃん!」
そう名前を呼ぶと、彼女のつけていたネックレスから、同じ色をした赤い小鳥が現れた。間違いなく、あのときの小鳥である。
「この子はメラードのルルちゃんです。種族は妖精種で、魔装形態は双剣なんです。」
「そうなんですね。でも、恥ずかしながら、その辺不勉強でして。」
「あ、知ってる前提で話しちゃいました。すいません。妖精種っていうのは魔物や魔獣が特定の条件を満たすとそう呼ばれます。」
(私も一応神獣種なんだよ!)
それは良く存じております。
「それで、魔装形態というのは特殊な効果のあ武器に姿を変えることです。まあ、正しくは私との同化した結果、私たちの魔力で作る武器なんですけどね。なので、形状はある程度変えれますし、他にも肉体が強化されたりするんです。」
(神獣種は他の種族の特徴は全部できるんだよ!やったことないけどね!)
いや、それこないだのグローブ形態では?確か、神装形態ってやつ。
(はぁ!)
気がついてなかったのか…まあ、そんなお馬鹿は置いておいてっと。
「つまりかわいいだけでなく、とても有能ってことですね。」
「はい!ルルちゃんはどっちも金揃えたエリートちゃんです。」
「ぴー!」
「シュルル~♪」
「では、戻りましょう!」
想定外の帰宅を終えて再度村へとんぼ返りである。
「ぴー!ぴー!」
「シュルルーシュル?」
「ぴー!」
それにしても、この2匹はかなり仲がよい。今もコレットさんの肩にアイリスがお邪魔して、可愛らしい会話を続けている。ずるいぞコレットさん!
「そういえば、アルさんは近々冒険者ギルドにきますか?」
冒険者ギルドか…卵の件はこれから相談するとして、
「明日からは定期的に顔を出すと思います。ちょっと要りようでして。」
「ああ、アルさん一文無しでしたもんね…」
「いや、さすがに一文無しは脱却してますよ。ホリーさんへの借金は残ってますが…。」
「そちらは本当に返さなくて大丈夫ですよ?」
「本当にそう思ってます?」
「あはは、それはそれとして、明日ギルドに来られるなら手伝って欲しい依頼があるんです!」
依頼ねー。正直金が必要な今、大変ありがたい提案ではあるんだけど…
「因みに依頼内容は?」
「内容はただの薬草採取なんです。ただ、アルさんが森で剣脚鳥と戦ったでしょ?あのレベルの魔物っていつもなら現れないのですよ。なので、森のどこかで魔力溜まりができてる可能性があるってなって。森の依頼をうける場合、3人以上で受けるよう指示が出ちゃったんです。」
「なるほどそれで。俺として薬草採取は経験ないけどそれでもよければ問題ないよ。」
「本当ですか!」
「むしろ、薬草採取の経験が積めるから助かるぐらいです。集合は何時ごろ?」
「大体8時ぐらいにギルドで落ち合いましょう!」
「OK」
「あ、私はこっちですのでこれで失礼します!明日はよろしくお願いしますねー!!」
そういって後退しながら手を振ってくれるコレット。ここは振り返すのがマナーだろう。
「コレットさんも巡回頑張ってください。」
そう一言残して、俺たちは分かれたのだった。
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