強制魔力訓練なんだよ!?
静かで涼しい図書館で本を捲る。でもまさか魔法のためではなく、魔物卵の孵化のために魔力の扱いを学ぶことになるとは思わなかった。
「アルっち、なんかわかないとこある感じ?よかったら説明するよ☆」
「ちょっとシルビー!図書館では静かにだよ」ボソ
「えー!ナタリー硬ーい☆他に人いないしよくない?」
「よくないよー」ボソ
仲良く俺の横で会話するのはギャルエルフのシルビアと、
で、図書館につくなりシルビアがナタリーを捕まえてきて今に至ると言うわけだ。
「それで、アルっちどうよ☆」
「大分知りたかったことは理解できたと思うよ。」
「マジマジ!もしかしてアルっちって天才ってやつ?」
「いや、そんなん大それたもんじゃないって。ナタリーさんが選んでくれた本がわかりやすいかっただけだよ」
「あ、ありがとうございます。」ボソ
いや、まじで冗談向きでわかりやすかった。おかげで知識は十分。後は実践だけなんだけど…
「ただ、魔力を動かす感じだけがつかめないんだよね。コツとかある?」
「あー、そこは難しいですよね…」ボソ
「なら、うちの出番じゃん!デコ」
「チュー?」
アイリスと戯れていた、尻尾の大きなリスが反応する。因みに正式名称はコレクトアットロというらしい。
「デコ、あれだして☆」
「ちゅちゅ」
その言葉にデコは自慢の尻尾に顔を埋める。しばらく中でダサダサとしていると、明らかに尻尾には収まらない、なぞの箱が出てきた。
「サンキュねデコ☆」
「ちゅー♪」
シルビアはデコの頬を軽く撫でる。それが羨ましかったのがアイリスも俺の手元にやってきて、自身の顔を俺の指へと押し付けてくる。愛いやつめ。ここか?ここがいいのか?
「シュルル~♪」
(かわいいんだよ!)
すごくわかるぞガイアさん。結局、俺とシルビアはお互いの相棒を可愛がりながら話の続きをする。
「これはうちが最近作った魔力出力機だし☆簡単にいうならギルドの登録機の位置パーツのにせもん☆」
「シルビーちゃん。それ普通にすごいやつだよー」
「いやいや、これはまだ試作品だし。本物にはまだまだ届かないんだー」
こうはいっているが、実際シルビアはこと魔道具を作ることに関しては天才と聞いている。まあ、好奇心とノリで作ることも多いらしいので3割ぐらいの確率で爆発するらしいが…
3割なら大丈夫だろ。某有名なゲームでも、3割は半分ぐらい当たらないし…
「あ、アルさんもし使用されるなら外でお願いします。ここだと掃除が大変ですから。あ、デコちゃんとアイリスちゃんは危険ですから私が面倒見ておきますね。」
あ、ナタリーさん的には爆発確定なのね。あと、保護と言う名目で楽園を作ろうとする手腕!何て抜け目のない!
その後、シルビアの道具のお陰で魔力を流すことはできるようになったが、変わりにHPが2割ぐらい持ってかれたと残しておく。あと、アイリスのおかげで火災も起きなかったとも。
「マジでごめん!アルっち!」
「いや、いろいろあったけど魔力が使えるようになったし、むしろ感謝してるって。」
謝ってくるシルビアに気にしてないよと回答する。因みにこれ既に3回目である。言動と見た目に騙されそうになるが、本質は他の村人と変わずよ良いのようだ。
「いや、そういう話じゃないっしょ!爆発に巻き込まれたんだよ。ヤバイッショ!」
「大袈裟な、少しやけどしただけだって。それもナタリーが直してくれたから、実質無傷!」
「いや!それとこれは別だし!」
うーん…この口論は終わらないぞ?ならしたかない。ここは俺の好奇心に従うか!
「ならさ、今度は魔道具の作り方教えてくれよ?」
「…そんなんでいいの?欲しい魔道具あるならうちが作ってプレゼントするよ?」
「いや、作り方を知りたいんだって。俺、地味に錬金術のスキル持ってるから、魔道具作成は相性良さそうだし。」
「マジで!?錬金術は魔道具のパーツを作るのに必須だし!それが自分で作れるとか最強じゃん!」
おお、そんな感じなんだ。
「マジかよ。なら最強目指すか!これからよろしくな師匠」
「し、師匠ははずいっしょ!普通にシルビって呼ぶし!」
普通はニックネームなのかレベルが高いな。
「じゃあ、これまで通りシルビアで。」
「仕方ないからそれで許してやるし!あ!兄貴じゃん!おーい兄貴!コレットさんとはうまく行ったー?」
「シルビア。別に彼女とは冒険者仲間だと何度も行ってるだろ。」
「そんなこと言って、本当はどうなんだし?むしろ恋ばな提供しろし!あ、アルっちここまでで大丈夫だよ!今度は魔道具の時にヨロシク!」
「ああ、アルもいたのか。今日は悪かったな。うちの妹は面倒はかけなかっただろうか?」
「いえ、むしろシルビアのお陰で今日中に魔力を扱えるようになりました。」
「そうか。なら、次は魔術だな。」
「ああ、わからない時は頼むよ。」
「今回の埋め合わせもある。任せてくれ。では、またな。」
「ああ、またな。」
そうして、俺は二人とわかれたのだった。
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