恩が溜まっていくんだよ

掃除を始めて、日が暮れて。朝食も昼食も全部忘れて、俺たちは掃除を続けた。結果、どうにか人が暮らせるラインまできたよ。俺、かなり頑張った…


「お疲れなんだよ!」


「ガイアも高いところの掃除ありがとうな!」


「私はこういうの始めてで結構楽しかったんだよ!」


そうやってお互いを褒めあっていると忘れていた空腹が襲ってくる。ただ、当然この家に食えるものはない。一応ホリーさんが準備金にしな!と半ば無理やり分けていただいたお金(この世界では円ではなくGらしい)はあるにはあるが…疲れたので村まで行きたくないなー


コンコン


そんな、若干怠惰なことを考えていると扉がノックされる。誰だろう?


(とりあえず私は消えるんだよ?)


了解っと。


「はーいどちら様でしょうか?」


「コレットです。おばあちゃんに言われてお夕飯持ってきました。」


「ぴよ~♪」


ホリーさんあなたは神か!このご恩はどこかできっちりお返しします!それにこんな時間にわざわざ持って来てくれたコレットさん!いくら感謝してしたりないです。


ぐぅー


しかし、現金な俺の体は感謝よりも先に食欲らしい。さすがにこれは立つ瀬がないな…


「ふふふ、その様子ですとおばあちゃんが言っていたとおり、本当になにも食べてないんですね。」


「あはは、お恥ずかしながら。それにホリーさんからと聞きまして、昨日の美味しかった料理の記憶が甦ってしまいました。」


「わかります。おばあちゃんのご飯はあんなに適当に作ってるのにすごく美味しいですよね!」


「ぴよぴよ?」


「あ、そうですね。あんまり遅いと心配かけますよね。アルさん、私はそろそろ帰りますね!あ、籠は今度村に来るときに返してくれれば大丈夫ですから!」


「おっと、こちらも引き留めてしまってしまって申し訳ない。もしあれだったら送りましょうか?見たところ今日は武器も持ってないみようですし…」


「あ、それは今もちゃんと隣にいてくれますから大丈夫です!」


それは、先ほどからコレットの回りを飛んでいる赤い小鳥のことでいいのだろうか?他に隣にいる存在なんていないし…


正直かなり気になるが、今聞いてコレットの足を止めさせてしまうのは避けるべきだよな。


「なら安心ですね。」


「はい!安心です!では、また後日会いましょう!」


そういって手を振りながら駆け出すコレット。俺それを見送って、そっと扉を閉めた。


頂いた籠の中身は、野菜たっぷりのサンドイッチでした。因みに食パンではなく、バケットタイプ。なので結構食いでがありそうだ。


「そういえばガイアは食事はしないの?」


「必須じゃないんだよ!でも、美味しいものは食べるんだよ。」


「なら、ガイアも一緒に食べようぜ!」


「ても…アルの分が減るから悪いんだよ…」


そういってるくせに目線はサンドイッチに向いている。なら…


「ほれ!ガイアの分」


「アル!さすがにサンドイッチのパンだけはひどいんだよ!それをするぐらいなら全部よこすんだよ!」


かかったな阿呆が!貴様は突っ込みをした時点で敗けなんだよ!


「なら、これがガイアの分な!ほら持ったからにちゃんと食べなされ」


「あ…本当にいいの?」


「良いの良いの。そもそも食事はみんなでするもんだぜ相棒!」


「…ありがとうなんだよアル!」


そういってガイアは俺からサンドイッチを受け取った。


「それじゃあ、改めて」


「「頂きます」なんだよ!」


ああ、バケットに塗られたバターのおかげでバケットは野菜の水分を吸うことなく、カリカリ、モチモチ触感。具材はさまざまな野菜が入ったコールスコーンで、隠し味で入れられたハーブがいいアクセントになっている。


「うまい!」


「すごい!すご~くおいしんだよ!」


どうやら相棒も気に入ったようだ。まあ、俺としてはマヨネーズで金策はできないと知って少し残念なところもあるが。まあ、裏を返せばそれだけ料理が進んでいるということなのでよし!


そうして楽しい食事は続くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る