私たちの家なんだよ

あの後ホリーさんの家にご招待された。因みに、お出しされた、野菜スープは、野菜の甘さと、ほどよい塩味でかなり美味しかったです。


で、コレットが自室に移動したタイミングを狙って、これまでの経緯をじいさんこと、アンバーさんとホリーさんに説明。当然ここでは、ガイアのことや、転生したことを含めて全てを説明した。その結果…


「じゃあ、今日からこの場所は自由に使ってくれや。」


「何から何までありがとうございます。」


「なーに!この場所は使われなくなって長いくてな!村からも離れてて、正直扱いに困ってたから気にすんな!むしろ、誰かが管理してくれるってんなら魔獣が発生する可能性が低くなって助かるってもんだぜ。」


ご覧の通り、無事、ガイアがまつわれていた牧場の土地を借りることができました!


いやー、どうせホリーさんには隠し事はできないからと、素直に全部話したが、まさかこんなに都合よく行くとは思わなかったぜ!


それはそうと、まさかガイアを認知している人がいるとはな?


(アルひどいんだよ!そこまで無名ってわけではないんだよ!)


そうなんですね。ちなみにホリーさんから助言として、『ガイアの名前は若者には伝わらない可能性が高いね。信頼関係ができるまでは話したところで不振がられるだけだよ』とありがたい助言を頂いたわけだが、そこのことはどう思う?


(アル!まずは掃除をするんだよ)


露骨に話を変えやがりましたよこいつ。まあ、この会話はどこまで行っても不毛なのでここまでにしてやりましょうか。


さて、この牧場の敷地内には前の住人が使っていた小屋が存在する。まあ、だいぶボロボロなのだが。ただ、それでも屋根も壁がある分、野宿よりかは何倍もマシだ。


「それじゃあ、ガイアの言うとおり掃除を始めますかね?」


そういいながら俺は長年開かれていなかった扉が開く。瞬間、室内の空気が対流した。当然その対流は積りに積もった埃が舞い上げるわけで、愚かにも口を開いていた俺は盛大に吸い込むことになる。


「ケッホ!ゴッホ!ウウッ…バルス!」


ダメだ、咳きが止まらない。ついでに目にも追い打ちが!!


(大丈夫なんだよ?)


撤収!一旦撤収!でも目を開けられないからどこに行けばいいかわからない!


「アル本当に大丈夫かなんだよ?とりあえず私が安全なところまで手を引くんだよ!」


ガイア…お前ってやつはなんて良いやつなんだ!


「でも、間違って家の奥につれていったとしてもそれは、ポンコツな私だから仕方ないんだよ?」


訂正!こいつわりと根に持ってやがる!


「ふふ、冗談なんだよ!とりあえず、ほらこっちなんだよ。」



そういって俺を誘導してくれるガイアさん。おかげで無事外に出ることができた。これであとは休めば…


「【リバースケイオス】これで、アルの体内に入った埃は消えたんだよ?」


え?あ、ほんとだ肺の違和感も、目の異物感も消えてる。スゲー。スゲーんだけどけど…


「あの?今のは一体?」


「魔法なんだよ!今のは特定のものを原初(混沌)へと戻す、私オリジナル魔法なんだよ!」


ガイアさんは胸を張ってそうおっしゃります。でも、それってかなりヤバイ代物なのでは?


…いや、正直こいつがその気ならワンアクションで俺は殺される訳だし、今更そんなこと考えるのも無駄だか。なのでこの話しはここまで。そうここまで!


埃も落ち着いた頃。改めて家の内部へと入る。当然今回は服の裾で口許を被い、目も細めて厳戒態勢で。


「めっちゃびびってるんだよ?」


うっせい!こちとら、この世界にきて一番ダメージを受けるたんだよ!…そうだガイアさん?


「どうしたんだよ?」


さっきの魔法でまとめて埃をなくすことできないですか?


「やってもいいけど、家ごと消えるんだよ?」


曰く、範囲内の対象を消し去る魔法らしく、先ほどは俺の体内を対象に契約した相手以外で絞って発動したらしい。


「つまり、埃はもともとは家の一部も含んでいるから消えると言うことだな?」


「そうなんだよ。だから、あきらめて掃除なんだよ!」


やはり手抜きはできないか。


俺は諦めてホリーさんから借り受けた掃除道具を使って掃除を始めた。

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