まさかの真実なんだよ
あー痛い!完全に固まった!!
「大丈夫なんだよ?」
「だめかもしれん。とりあえず早めに布団が買うことを当面の目標としたい所存。」
「だいぶダメそうなんだよ…」
人が去って長いこの家に、家具なんて上等なものはない。それでも迫る睡魔に抗えず、気が付けば床の上で寝ていたさ。ただ、こちとら日本の育ちの現代っ子!ご覧の有り様だよ!
「落ち着くんだよ?そんなことより、今日はどうするんだよ?」
そんなこと扱い!まあ、言ってても仕方ないことか~よし!切り替え完了!
「今日は村の方に行こうと思うんだ。ほら、ホリーさんにギルド登録した方が言いと言われてたし。」
この世界、例によって例のごとくギルドなるものが存在した。種類も結構もあるらしいが、おすすめされたのは冒険者ギルドと商業ギルド。
これを聞いたとき、牧場をメインとする俺は、商業ギルドだけでも良い気がしたんだけど、場合によっては冒険者ギルドの方が、高価買取をしてくれることがあると登録を進められた。さらにはダンジョンに入るためにも登録が必要になるとのことだったので、本日まとめて登録する予定だ。
「なら、ちゃんと村の人にも挨拶するんだよ!」
「わかってるって。」
これも忘れちゃいけないことだよな。やっぱり挨拶大事。全員は無理でもこれからお世話になりそうな場所には早めに顔を出すようにしなければ。
そうやって、今日やることを纏めながら、俺とガイアは出掛ける準備を進めるのだった。
始めに訪れたのは商人ギルドだ。
「では、こちらの書類にご記入をお願い致します。」
「わかりました。」
受け取った書類には小難しくいろいろ記載されている。まあ、要約すると仲介はするけど基本的には自己責任で商売しろよってことが書いてある訳だが。ふむ…
「すいません、少し確認をいいでしょうか?」
「なんでしょうか?」
「こちらの書類は、こちらで全てなのでしょうか?どうも、注意事項しか記載がないように感じまして。あとは…」
俺は署名欄の少し上を指差して言葉を続ける。
「この場所に記載されている、『署名を以て、そのものをギルドのメンバーとする。署名したものは以降ギルドの指示に従うこと。』とありますが、この部分だけ他の記載と大きく矛盾しています。ここについても説明いただけますでしょうか?」
「…どうやらこちらの不手際があったよです。改めて書類を準備致しますのでこちらにお越しください。」
そういって、先ほどの書類を棚に戻す受付女。つまりそういうことなのだろう。見た感じ他の受付担当も慌てることなく対応しているので、これを仕組んだのは、ギルドの方でも上の役職ぽい。
(時々アルが賢く見えるんだよ?)
それは普段は賢くなさ。そう言いたいのでしょうかガイアさん?
(うーん、普段は賢いと言うか…せこい?)
ダイレクト!たとえすぐに剥がれるとしても、オブラートで包む文化は大切だと俺は思うな!
(すぐに剥がれるって理解してる時点で包む価値はないと思うだよ?)
確かに!
「こちらでお待ちください。」
そう言って受付所は扉を開いてくれた。そこで待っていたのは…
「来よったねアル。どうやらテストは合格のようだね。」
ホリーさん、その人であった。え?俺はこれから上司に当たる方に恩を受けてたってことですか?どうしよう、見なかったことにしてこの扉を閉めたい。
…いや、今現実逃避しても後で利子つけて、苛めてくるよな絶対。仕方ない腹を括るか!
因みにこの間0.1秒の。次の瞬間には薄っぺらい笑顔を張り付けて俺は口を開いた。
「ホリーさん。1日ぶりですね。お元気そうで何よりです。」
「そう言うアルはだいぶ肩に力が入ってるね…なんだい?ヤバイところに貸しでも作ったかい?」
「ええ、どうやらそのようです。ただより高いものはないとは良く言ったものですね。」
お互い、顔は笑顔のまま、無言の空間が完成する。
「ふっ…あはは!その反応を見るだけで黙ってたかいがあったさね!」
そして、笑い出すホリーさん。本当にこの人は良い性格をしているよ。
「ああ、安心し。別に恩に着せて無理は言わんよ。まあ、アル坊が勝手に思うのは自由だけね。」クスクス
いや、本当と良い性格してやがるな!そうだよ!俺が個人的に恩を感じてるだけだからな!その結果、ホリーさんが有利になるように俺が動こうがそれは俺の責任!
「ええ、ギルド長と言えど、人の心までは縛る権利は持ち得ないでしょうね。それで、正しい契約書はいただけますでしょうか?」
「ギルド入会にそんなもんは必要ないよ。まあ、それだと無知なもんが入会して勝手に破滅すからこんなテストをしてるがね。本当に必要なのは…」
ホリーさんは自信の目の前に置かれた、水晶を叩きながら言葉を続ける。
「こいつさね。ほらアル坊こっちに来て、水晶に触れな!」
俺は言われるままに移動して、水晶に触れる。うわ、なんか吸われてる感じがする!
(吸われてるのは魔力だから、へいきなんだよ?むしろ魔法を使う際にその感覚は大事がら覚えるんだよ!)
なるほど!なら…「もう大丈夫だよ。手を放しな。」あ、はい。
ホリーさんはその機械に刺さっていたカードを取り出して俺に渡してくれる。そこには、俺の名前と、謎の文字列…ごめん嘘ついた。俺多分この文字列が何かは知ってる。
「そこに書いてあるのが今のあんたのスキルさね。」
でたな、ある意味異世界名物!謎の親切設計!
(そんなんじゃないんだよ!スキルは頑張ってる人間へのご褒美なんだよ!)
そうじゃん!こいつこれでも運営側じゃん!正直忘れてた。
(忘れないで欲しいんだよ!私は神龍なんだよ!?)
荒ぶる神龍は置いておいて、俺はスキルスキルを確認する。なになに?武術、詐術、錬金術、テイマーがそれぞれ1と。おそらく、武術は地球で学生ごろに護身術を学んでいたから。テイマーはうちの家族が動物好きだったからで、錬金は…多分理系だったから。詐術は…ちょっと心当たりないですね?
「なんのスキルがあるかは知らないけど、詐術は上げときな。まあ、あんたには不要な助言かもだがね。」
(私もそう思うんだよ!)
あ~聞こえない聞こえない!何か目の前でレベルが2になった気がしたけどきっと気のせいだ。
その後、ホリーさんから現在の相場について簡単に教えてもらった。感覚として大体地球と同じぐらいって感じだな。で、その確認が完了したところで、
「さて、今日はまだやることがあるんだろ?年寄りの長話が始まる前に次に行きな!」
と、ホリーさんから実質的な退室指示が出たので、俺たちは追い出されるように商業ギルドを後にするのだった。
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