薬草採取クエストなんだよ【3】
「デコ、これも収納お願い!」
デコは受け取った薬草を自慢の尻尾にしまう。因みにこれ、既に2桁ぐらい繰り返された行動。容量どうなってんの?聞いてみるか。
「シルビア、デコの収納量ってどうなってるの?」
「わからないし。でも、デコより3倍以上の大きさは収納無理ポイ。」
デコの3倍と言うと、大体90cmぐらいか…いや十分なサイズである。
「すごいなデコ。」
「そうだし!うちの自慢の相棒なんだー♪正直うちにはもったいないぐらいだし」
「そうは言うけど、シルビアの矢もすごかったぞ。あれも魔道具?」
「そうだし!まあ、これは劣化品で利用できるのは専用の魔石の魔力だけなんだけなんだけどね。オリジナルは自身の魔力を消費していくらでも矢を作れるんだけど、うちリアルタイムでの魔力変換の機構を作るの下手で大型化しちゃうから分けてみたし☆まだまだ未熟だねー」
お前それ本気で言ってるか?あ、言ってますね!?
「シルビア、一応確認するけど、それは魔道具を使用した上で、魔力を消費する感じ?」
「うん?魔道具を起動するのに魔力が少し必要で慣れないと使えないけど、ほとんどは魔石の魔力を使用するよ。だから、魔道具なのに使用回数を気にしなくちゃいけないんだ~」
「…シルビア、それ劣化じゃやくて、汎用化というんだ。例えば、そのオリジナルの自身の魔力で行っているってことは使える回数に個人差があるんじゃないか?」
「確かにそうかも?でも魔道弓は本来そういうものだし。何よりたくさんの機能を小型でたくさんつけられてこその技術者じゃん?」
「確かにそこにロマンはあると思う。でも、必要な機能を誰でも使いやすくして提供することを俺は劣化とは思わない。むしろ、大切なことだと思うよう?」
「…へーえ。アルっちはそう思ってくれるんだ。素直に嬉しいかも(ボソ)」
やめろ、聞こえてるから。てか今の俺試されてる?試されてますよね!?
「なんか言ったか?」
正解がわからなかったので、放置だ、放置。声量は少なかったし、シルビアも気づかれるなんて思ってないはずだ!
(チキン)
だまらっしゃいドラゴン。
「ううん!何でもないし☆でも、アルっちのおかげで元気出たし!あ、あっちにも薬草あるっぽい!」
「ちょっと置いてかないでく…シルビア下がれ!」
「え!?」
進んだシルビアの側面から四足の獣がとびかかる。俺は咄嗟にシルビアへと手を伸ばしたが、少し距離が足りない。まずい!完全に油断してた。
「シュルル!」
そんな無能な俺に変わり、アイリスが魔法で一番前にいた魔物を迎撃してくれる。流石アイリス!お陰でシルビアの手をつかむことに成功した俺は、セクハラ覚悟でその手を引っ張る。
「きゃあ!」
「すまん!緊急時故、許してくれ!」
結果シルビアをがきしめるような形になってしまった。これは後でしっかり詫びを入れようと心に誓いながら、俺は迫り来る狼の型の魔物を殴り飛ばしていく。
「フィリップ敵だ!」
隙を見て声を上げるが、反応はない。俺は一瞬だけ後方を確認すると、そこには見たことのない本を片手に魔法を放つフィリップと炎を纏ったコレット。
どう見ても本気状態の二人が背中に花を咲かせたクマのような魔物を相手取っている。
しかし、あれだけ派手に戦っているのに戦闘音だけは聞こえてこない。どうなってるんだ?
「シルビアこの状況わかる!?」
「多分サイレントバタフライだし。ほら、あそこ!」
確かに、二人の周りにふわふわと舞う何かが見える。恐らくあれがサイレントバタフライなんだろう。そしてこちらに音が届かないということは、あちらも音は聞こえないと思った方が良さそうだ。
「つまり、今は…」
「うん、うちらだけでこのアーミーウルフとそのボスの相手をするしかないし。」
「「「グルル!」」」
「ウォーーン!」
アーミーウルフを従えた、明らかにサイズがおかしい狼が開戦を知らせた。
「ちっ!しぶとい!」
強さ自体は健脚鶏より断然弱いけど、数が多い。それと!
「ウォン!」
「またか!行かせないって言ってんだろが!」
後方で指揮するデカイやつ。お前だお前!
お前が俺を無視するよう指示をするからシルビアの側を離れらることができないんだよ!
おかげで俺は防戦一方で、攻撃は完全にシルビアの弓が頼り。ただ、肝心のボスが魔道弓の攻撃範囲外にいるせいでジリ貧状態だよ、ちくしょう!
「アルっち!ディレイアローは後一回ぐらい!ブレイクアローとソニックアローも残り少なめだし!」
そして、どうやら悠長に構えてる暇もないようだ。仕方ない、切ろう。
「シルビア!俺が切り札を切るから、その後はよろしく!」
「良く分かんないけど、了解だし!」
ということでガイアさんやりましょうか。
「了解なんだよ!」
「え?ドラゴン!?てか今しゃべったし?」
「その辺の話は後で。巻き込むことはないと思うけど、それなりに驚くと思うから、後方待機で頼む!」
「うーん?なんかわからないけど、楽しそうだからOKだし!」
「それじゃあ、ガイア。殲滅の時間だ!」
「すべてを守るために、壊して、作り変えるんだよアル!」
「「【神装:
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