薬草採取クエストなんだよ【1】

本日はコレットたちと薬草採取の依頼をする日だ。確か待ち合わせはギルドの中って話だけど。


(見当たらないね?早かったんじゃない?)


だな。まあ、少し朝食が少なかったし買い食いでもするか。お!あそこの串焼きとかうまそう!


「親父さん!ひとつ…いや、2つ頼む。」


「あいよ!暖めるから少し待ってろ!」


油が炭垂れる。同時に香ばしい香りが俺の食欲を刺激してくる。さらにそれをタレにつけて、再度火の上へ。うぅ…なんて暴力的な香りだ。


「できたぞ!熱いから気を付けてな!」


「サンキュウ!」


俺は手早く支払いを済ませて、適当なベンチへと移動。包紙を挟みながらも伝わる熱と香りに期待感が増していくのがわかる。


「シュルルー」ジュル


お、アイリスも興味あるか?でも、まずは一口食わせてくれ。


「いただきます!」


ああ、これは間違いなくアタリだ。しっかりと歯応えと豚特有の味わい。炭でじっくり焼かれたことで余分な油は流れ、その隙間を埋めるように少し濃いめのタレが染み渡ってる。


「うまい!」


「シュルルー!」


「あ、悪い悪い。ほら、アイリスと、ルミナスもな?」


「シュルル~♪」


「ピヨ!」


少し熱いが、かわいい2引きのために我慢して串から外していく。ばらしたものは貰った袋の上に乗せてから、2匹の前へ。それをアイリスは一口でパクり。対照的にルミナスは、チクチクと啄んで少しずつ食べている。


(アル!私の分も買うんだよ!)


なら、帰りにもう一回寄っていこうか。


(絶対なんだよ!)


俺はガイアと約束して、ギルドに戻るのだった。



「あ、アルさん!」


ギルドに到着するとルルを肩に乗せたコレットが既に到着していてる。


「お待たせしましたか?」


「いえ、まだフィリップ君も来てないですから。あ、この子が昨日の卵ちゃんですか!」


「はい。ピヨヨのルミナスです。これからは一緒に頑張っていきます!なあ!」


「ピヨ!」


「ぴー!」


「ピピ?」


「ぴー!」


「ピヨ!」


何か鳥同士伝わるものがあるのか、それともルルの面倒見がいいのか。多分後者かな?アイリスの時もこんな感じたったし。


「ルルもルミナスをよろしくな。」


「ぴー!」



「すまない、待たせてしまった。」


少しして、フィリップが謝りながら合流してきた。因みに遅れたと言ったが、集合時刻まで、まだ5分あるため、厳密には遅れてはいない。律儀な性格である。


「いつも10分前には来るフィリップ君がこの時間なのは珍しいね?何かあったの?」


「いや、少し立て込んでな。ついでに参加者が一人増えてもいいだろうか?。」


「やっほー!うちが遊びに来たし!」


そう言ってフィリップの背後からシルビアが顔を出す。まあ、十中八九フィリップの出発が遅れた原因は彼女だろうと、根拠はないが確信はある。


「あ、シルビアちゃんも来たんだ。」


「コレっち!うちも参加いい?」


「もちろんだよ!今日はたくさん採取するよ!」


盛り上がる女性陣。しかし、すごいなシルビア。一瞬で参加確定の雰囲気が作り上げたよ。とても俺にはできない芸当だ!


「…遊びではないといってるだろ。」


しかし、フィリップがここで最後の抵抗を試みた!ここからどうなるでしょうかガイアさん!


(みんな一緒の方が楽しんだよ!)


平和なコメントありがとう!


「それは言葉のあやだし。それに、今の森の状況的に人数は多い方が良さげだし?もし、逃げるって時もデコが荷物を持ってる方が安全だと思うなー?」


「そうだよフィリップ君!」


「ぐぬぬ…」


現状を理解した上での完璧な反論カウンターが決まったー!これにはフィリップ選手反論できない!


あ、ちなみに俺としてはどっちでもいいです。なんせ、誰がどのくらい強いとかよくわからないからね。


「ということでアルっちもよろ~☆あ、これが噂のルミナスちゃん!アルっちだっこしていい!」


「ルミナスが嫌がらなければどうぞ。」


「ピヨ!」


「兄貴のレイブンちゃんとは違った肌触り。色が薄くなるだけで、印象全然変わるし!」


「ルルちゃんとも違うよね。ねーフィリップ!レイブンちゃんも出してよ」


「遅れた俺が言うことではないが、早めに森にいくべきだろ。すまんなアル。うちの愚妹が来るとどうも空気が緩くなってな。」


「まあ、シルビアが言っていることも一理ありますから。」


「そう言ってくれると助かる。そうだ、一応アルもこれを持っておいてくれ。」


そういってフィリップは腰につけていたポーチより小さな小瓶を手渡してきた、ちなみに薄い緑の液体が入った物と、薄い黄色いものの2種類だ。


「これは?」


「ライフポーションとマジックポーションだ。使わないことが一番だが、もしもの時は気にせず使ってくれ。当然使用者にはアルも含まれてるから?」


「わかった。そのときは躊躇い無く使わせて貰うよ」


「そうしてくれ。それじゃあ、森に向かおう。二人もそろそろ落ち着いたらどうだ?」


「「は~い!」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る