テイムするんだよ!

視界が晴れると、エテバードは焼き鳥になって消えていた。周辺環境には影響はなし。先ほどまであった白い拳銃はその役目を終えて崩壊していく。


っとそんなことよりちび助だ!


「ちび助!まだ生きてるか!?」


「シュル…」


ちび助は俺の手の中で、弱弱しく声を上げる。ガイアどうにかできないか!


「ちょっと待つんだよ!」


手袋が消えて、代わりに現れたガイアがちび助を観察する。長い長い数秒間。


「うん?君もしかして…アル!この子を助けられるかもなんだよ!」


「本当か!何をすればいい」


「テイムだよ!この子は今君と繋がろうとしている。だから、アルが受け入ればきっと全てうまくいくんだよ!」


それでどうにかなるんだな!わかった、直ぐにテイムを…待って?テイムってどうやるんだ!?


「ガイアさん。テイムってどうやるの?」


「えっと…わかんないだよ!」


(では、私がお答えしょう)


「母様!?」


(なんだかすごく強い力を感じたので来ちゃいました。)


そんな軽い感じで来るんですね。でも今は助かります。


(さすがにガイアちゃんみたいな眷属がいないと難しいですよ。さて、テイムについてですよね!いいですか、テイムとは即ち名づけです。その他にいろいろ条件はあるのですが、今の状況ならそれだけでいけるはずです。)


名づけ!?突然言われても困るんだが。えっと…


(あ、一度契約すると名前を変えるのは難しいのでその子のためにもいい名前にしてあげてくださいね♪)


そんなこと言われてもすぐにいい名前なんて…特徴、青…


「アル!急ぐんだよ」


「えっと…そうだアイリス。アイリスでどうだろう。」


「シュル…」


ちび助ことアイリスが頷くと、何かがつながったような感覚がした。同時に、安心した様に瞳を閉じるアイリス。多分成功したってことなんだと思う。


(成功してますから安心してください)


こうして生命の女神のお墨付きももらえたので安心だ。


(ではガイアちゃん、原因もわかりましたので私は戻りますね。あ、慣れないうちは神装は使いすぎないように注意してくださいね。では~)


最後に聞きなれない言葉を残してデミレアとの会話が終了。その後は、エテバードを倒した場に残っていた謎の卵と魔石、後なぜか包装された肉があったので回収してギルドに返るのだった。



「えっと?アルさんはゴブリン討伐に行ったんですよね?」


「はい…」


「では、この魔石は?」


「えっと…エテバード?」


「エペバードですね。討伐ランクはDぐらいで、今のアル様が倒すような相手ではございません。」


「はい…」


「それにそちらは、リトルスネークの色付きですね。それをテイムされたと。」


「色付きがなんのことかわからないが、そうです…」


「シュルルーー♪」


「あ、かわいい…じゃなくて!はあぁ~、わざとではないのですよね?」


「それはもちろんです。」


「そうですよね。それに狙ってできるような事でもないでしょう…わかりました。一応ギルドマスターに確認しますが、今回は問題ないとして処理されると思います。ただ、今後は自身のランク以上の相手がいた場合は挑まないようにしてくださいね。」


「わかりました。気を付けます。」


そう言い残して、対応してくれていた女性は席を外す。


(ごめんねアル?半分ぐらいは私のせいでもあるのに…)


いやそこは気にするな。助ける判断を下したのも、アイリスを守る選択したのも結局は俺だ。むしろ、その選択を下せたのはガイアが傍にいてくれたからなんだから感謝しかない。ありがとうな。


(えへへ。そういってくれるアルが私は大好きだよ。)


へいへい。


(あ、照れてるんだよ。かわいい)


少し待っていると、確認に言ってくれていた受付女がギルドマスターを連れて戻ってきた。ただ、やらかした自覚はありますが、マスターが直接来ないといけない程のことだったんでしょうか?


「お前さんは期待以上に楽しませてくれな!」


あ、違うは。これは仕事を放棄してからかいに来ただけだわ。よく見れば、横に立つ受付所さんも苦笑いしてらっしゃる。仕事しろ仕事!


「そう露骨にいやな顔をされると傷つくだけどな~。いいのかな~?折角金欠のお前さんのため、発行されていたエテバードの依頼を持ってきてやったのに。」ピラピラ


クッソ!しっかりこっちの利益を準備して反抗できないようにしてやがる。いや、金欠の今、大変助かるんですが!絶対にこの後、碌な目に合わない…

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