第2話 《SAN》チェック発生
しばらく歩いていると、他と比べてきれいな建物を見つけた。他がボロボロすぎるのか、この建物が特別被害をまぬがれたのかわからないが、そろそろお腹も空いていた。もしかしたら食べ物もあるかもしれない、その建物に入ることにした。
中は普通の家だった。外から見るより広いが、明らかに家に空洞ができるような作りである。隠し扉でもあるのだろうか。
隠し扉を探していると、何やら物音がした。そちらの方向を向くと、すぐ近くに少女がナイフを構えてこちらを睨みつけていた。
「誰!?」
少女が叫ぶ。そんな事言われてもお前こそ誰だよ、と言おうとしたところで気がつく。声が出ないのだ。そしてこの場においてそれは致命的である。なんせこの世界に来てからナイフなどの武器を見たのは今が初めてであり、武器など持ちようもない、加えて今は無実を証明するかこの少女をどうにかしなければおそらく殺される状況なのである。
困ったのでとりあえず両腕を上げてみた。敵意ありませんよー。武器なんて使いませんよー。
しかしどうやらその少女はそれを威嚇ととったらしく、ナイフを放り投げて逃げてしまった。危ねッいま横かすめたんだけど。仕方ないので捕まえる。
「!?」
後ろから抱きつくような姿勢で捕まえると、ジタバタ暴れ出し、必死に逃れようとする。しかし私だって大人。見たところまだ5歳児くらいだし、捕まえられるでしょ。
そう思っていた時期が私にもありました。
どうやら私はその5歳児のジタバタに負けころび、その拍子に頭を打ったらしい。しかも瓦礫の角。頭から血ィだっくだく。5歳児ギャンギャン泣く。うるせえよ死ぬときくらい静かに寝かせろと。
そこまで考えてふと気づく。
出血が収まった。
まだ出血してから1分もたってないし、触った感じ結構えぐれてる。肉が露出してる感触がある。触っても痛くないし、異常だな。そう思っていると、怪我の感触が変わった。
怪我が治っていく。
明らかに人間の再生スピードじゃない。おかしい。
《SAN》?→80(失敗)
?→?
まずい、意識が遠のく、あ。
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