第57話 エピローグ
月曜日の朝、俺はいつものように太陽と上山と一緒にJRに乗った。
「ようやくね。おめでとう」
上山が俺に言う。俺は弥生と付き合うことになったことはもうみんなに報告していた。
「ありがとう。やっと俺にも彼女が出来たよ」
「よかったな、光輝」
「ああ。今までお前のそばでいろいろあったけど、やっと報われたよ」
「ん? 何かあったか?」
「お前なあ……。まあ、いいか」
「それにしても気を付けろよ。水崎さんは学園を代表するアイドルみたいなもんだろ。大変だぞ」
そうだった。里内さんも居るが水崎さんの人気は抜群だ。男子の視線が集中する女子だ。その彼氏が俺って事が知られたらかなり大変かも。
「これからは俺より光輝の方がトラブル多いかもな」
「マジかよ……」
「そうね。だから弥生と付き合っていることはあんまり広めない方がいいかもよ」
上山が言う。確かにそうかもしれない。
そして、俺たちは学校に着いた。
「おはよう」
「おはよう、長月君。良かったね」
里内さんが言ってきた。
「ありがとう」
「ようやくだな、これでトリプルだ」
井端も言ってきた。
「まあ、そうだな。近いうちに行くか、トリプルデート」
「おう!」
「ちょっと2人に相談なんだが……」
「ん?」
「何?」
「弥生と付き合っていることはあんまり大きな声では言わない方がいいかなと……」
そこに声がした。
「おはよう! 光輝、みんな」
弥生が入ってきた。
「あ、おはよう。弥生。何か明るいね」
「そりゃそうだよ。だってやっと光輝と付き合えたんだもん!」
「え?」
俺が驚くまもなく弥生が俺の腕に抱きついてきた。
「はぁ。会いたかった」
弥生が顔を俺の腕にすり寄せる。
クラス中の視線が俺たちに向いていた。
「……長月君、これは隠すのは無理だね」
「そ、そうだな」
俺たちが付き合っていることはすぐに学校中に広まってしまった。
◇◇◇
昼休み、俺たちは付き合い始めたが席は隣同士だったし変わりは無い。と思っていたのだが、弥生が妙に俺に近い位置に座った。
「光輝、食べさせてあげようか」
「え、いいよ」
「遠慮しないで、はい、あーん」
弥生が俺の弁当を食べさせようとする。
「弥生って付き合うとこうなるのね」
上山が言った。
「私も知らなかった。こんな弥生初めて見た……」
里内さんも驚いている。
「いいでしょ、初めての彼氏だし」
弥生は二人に言った。
「私も初めての彼氏だけどそこまではしないわよ」
上山が言う。
「いや、文佳も似たようなもんだったでしょ」
里内さんが言う。
「そうだよ。私にも甘えさせてよ。ね、光輝」
弥生が俺の腕にまた顔をすりすりとした。
「うわー、バカップル」
里内さんが言う。
「あんた、クラスのアイドルなんだからもう少し大人しくしたら」
上山も言った。
「そんなの知らないよ。私は光輝だけのアイドルでいいから」
そう言って上目遣いで俺を見た。
「ありがとう。いいのかな、こんなに幸せで……」
俺は言った。
「ま、いいんじゃない。イチャイチャなんてそんなに長く続かないんだから」
上山が言う。
「お前なあ……」
「でも、そうでしょ。そんな時期を過ぎても、ちゃんと一緒に居られるかどうかが大事よ」
「お前らもな」
「分かってるわよ。負けないから。じゃ、生徒会行ってくるね。太陽君、行こうか」
「おう、行くか!」
上山と太陽は生徒会に向かった。
「まったく……」
「でも、私はずっと一緒だよ」
弥生が俺に言う。
「ありがとう、弥生。ずっと一緒に居ような」
いろいろあって、こんな遠くの学校に来ることになったけど、おかげでこんな宝物を手に入れられたんだ。俺は弥生をずっと大事にしていくと誓った。
(完)
―――
※最後まで読んでいただきありがとうございました。本作品は予定通りこの57話で終了となります。たくさんの方にお読みいただき、本当にありがとうございました。
本作はさまざまな数字がこれまでに無く伸びたため、驚きました。ありがとうございました。
次作は前作終了後ぐらいから書き出した新作の「秘密の関係」ものになります。11月1日に公開予定です。
※「声が大きい元気系美少女が陰キャの俺を好きらしい」は引き続き並行して連載を行っています。
https://kakuyomu.jp/works/16818093076780722449
※追記:新作ラブコメ(秘密の関係もの)を公開しました。
アリスとたっくん。ときどき黒猫 ~公園で偶然出会った女子に猫のなで方を教えたら~
https://kakuyomu.jp/works/16818093087542087803
俺の周りの女子はみんな親友を好きになる、はずだった uruu @leapday
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