第53話 月曜の朝

 翌日の朝、俺と太陽、そして上山は初めて3人で登校していた。といっても、太陽と上山が2人で登校しているところに俺が付いてきた、という感じか。2人は手をつないでいるし。さすがに学校が近づくと離したが、2人の距離は近い。


「おはよう」


 俺たちは教室に入った。


「あ、おはよう。文佳、おめでとう!」


 メッセージで連絡をもらっていた里内さんが早速言う。


「ありがとう。葉子が譲ってくれたおかげよ」


「またそういうこと言う。素直に受けなきゃだめよ」


「そうだね、ありがとう」


「……でも素直な文佳も何か違うか」


「なんでよ」


 上山と太陽は自分の席に着く。太陽のところに里内と井端が来た。


「太陽君もおめでとう」

「おめでとう」


「ありがとう。応援してくれてありがとうな」


「うんうん、これでダブルデートまでは確定だね」


 そんなことを言っていると、周りの女子達が集まってきた。


「え、なになに? 太陽君に彼女できたの?」


「そうだよ、文佳とようやく付き合い始めたって」


「え!? 仲良かったもんね、おめでとう!」


 たくさんの女子達に太陽は囲まれて、いろいろ聞かれ出した。


 上山のところにも少しだが女子が来ている。あいつ、友達居なかったからちょっと焦ってるな。


「さてと、あとは……」


 里内さんと井端が俺を見る。


「なんだよ」


 俺は視線を感じて言った。


「昨日はどうだったんだ?」


 井端が俺に言う。


「あー、まあいろいろはあったかな」


「ほう」


「とりあえず――」


 そこに弥生が入ってきた。


「あ、光輝、おはよう」


「おはよう弥生」


「……なるほど、進展はあったようだな」


 井端が言った。名前で呼び合うようになったことに気がついたようだ。


「ちょっとな」


 俺は鞄から漫画を2冊取り出した。


「弥生、これ」


「あ、持ってきたんだ」


「うん。二巻までだけど」


「ありがとう。読んでみるね」


 弥生は『放課後ていぼう日誌』を借りて自分の席に向かった。


「うーん、悪くない感じだけどもう一押しかな」


 井端が言う。


「そうね。何か足りない」


 里内さんも言った。


「うーん……来週6人で遊ぶのは無しだな。長月君、来週は完全に2人でデートね」


「え?」


「まあ、そうだな。まずは2人で仲を深めなきゃ」


 里内さんと井端が言ってくる。


「そうだけど……」


「そうだ、少し遠出したら? 地元の八代やつしろに弥生を呼んだらいいよ」


「八代かあ……遊ぶところ無いんだよなあ」


「そっか。じゃあ、この一週間でどこか考えて」


「そうだな。考えてみる」


 俺は弥生とのデート先を考えることにした。


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