第29話 遊びの約束

 井端と里内さんの交際報告で盛り上がった後は、この間の6人で遊んだ話になった。水崎さんの歌や太陽のボウリングが上手かったことなどだ。


「あー、でも楽しかったなあ。ね、文佳、来て良かったでしょ」


 里内さんが言う。


「まあ、そうね。私も2人のおかげで楽しめたわよ。ありがとう」


 上山が里内さんと水崎さんに頭を下げた。珍しい。


「わ、私は何もしてないよ」

「うん。私もだよ」


 2人が言う。


「そんなことないわよ。2人のおかげで私は『推し』とずっと2人で居れたから。こんなこと、もう二度と無いと思うし……」


 上山が言う。


「すぐそういうことを言う。また行けばいいだろ」


 太陽が言った。


「次行くときは太陽君も彼女連れてきそうだしね」


 上山が言い返す。


「そんなことないぞ。じゃあ、今度2人で遊びに行くか?」


 珍しく太陽がそんなことを言った。周りは静かになって上山の回答を待った。


「嫌よ。あんたと二人で行くと勘違いしちゃうし」


 行かないのかよ。


「じゃあ、二人じゃなかったら行くのか?」


 太陽の言葉に、上山は言った。


「そうね……それだったらいいかも」


「よし、決まりだ。来週日曜でいいか?」


「いいわよ。で、誰が行くの?」


「まず長月だな」


「俺かよ! 予定入ってたらどうするんだ」


「何か予定あるのか?」


「無い……」


 暇なことはバレてるか。


「あの……だったら私もいいかな」


 水崎さんが声を上げた。


 そうか。水崎さんも太陽狙いだ。この展開は当然見過ごせないよな。


「水崎さん、ありがとう。もちろんOKだ」


 太陽が言う。

 しかし、上山は水崎さんが来てもいいのだろうか?


「上山はいいのか?」


「私はいいわよ。弥生の味方だし」


 そう言って、水崎さんを見る。


「ありがとう、文佳」


「いいわよね、長月も」


 上山が俺に聞く。


「俺はいいよ、もちろん」


「そうよね」


 上山が言った。


「ま、私はまた『推し』に楽しませてもらうわ。ね、太陽君」


「おう、楽しもうぜ」


「えー、何か私たちも行きたくなってきたんだけど」


 里内さんが言う。


「いいけど、お前たちは2人でデートしたいんじゃないのか?」


「そうだけど……」


「付き合いだしたばかりだし、今は2人だけで楽しんどけ」


 俺は言った。


「う、うん。でも、また6人で遊ぼうよ」


 里内さんが言う。


「そうだな。再来週は6人で遊ぶか」


「うん!」


 太陽の言葉に、里内さんは嬉しそうだった。

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