第22話 6人で食事

 俺たちはパンケーキの店に入った。6人がけのテーブルに男子3人、女子3人で向かい合って座る。井端の前には里内葉子、太陽の前には上山文佳、そして、俺の前には水崎弥生だ。


 いつもなら6人でわいわい盛り上がるところだが、今日はどうも3組に別れるな。里内さんが井端にばかり話しかけるし、上山も太陽に話しかける。となると、俺は水崎さんだが、ほんとは水崎さんも太陽に話しかけたいだろう。


「何食べようか」


 水崎さんが俺に聞いてくる。わざわざ気を遣ってもらい申し訳ない。俺はさっさとハンバーガーセットを選んだ。


 他のカップルは盛り上がっているようだが俺と水崎さんは会話が無かった。まあ、俺が話しかけようとしないし、水崎さんも話しかけられずにもじもじしている。


「そういえば、あんた、弥生の私服が好きなんだって?」


 上山が俺に話しかけてきた。


「え?」


 俺は驚いて上山を見る。そして、水崎さんを見た。


「あ、違うの。この間、偶然会ってたことを少し文佳に話して……私服褒められたって言っただけ」


 水崎さんは俺に私服で会ったことは話したが、どういう服だったか詳細は話してないのだろう。


「で、今日の弥生の私服はどうよ」


 上山がニヤニヤしながら俺に言う。


「かわいいと思うぞ」


 俺はあっさり言った。


「ふーん」


 上山が俺を見て言う。


「なんだよ」


「2人、結構いい感じだなあって」


「はあ? 変なこと言うな。水崎さんに迷惑だろ。な?」


 俺は水崎さんに言った


「迷惑じゃないよ」


「ほら、迷惑だって……え? 迷惑だろ」


「迷惑じゃないから、もう……」


 水崎さんは頬を膨らませて言った。あらら、怒らせちゃったか……


「あんた、ほんとバカね」


 上山が俺に言う。


「なんでだよ。むしろファインプレイだろ」


「はあ? 今のはイエローカードよ」


「え!? そんなにひどかった?」


 俺は水崎さんを見るとやっぱり怒っているようだ。やってしまったか。確かに迷惑だろとしつこく言うのは良くなかったな。水崎さんが太陽が好きなことがバレてしまう。


「ごめん、水崎さん。俺が悪かった」


 俺は頭を下げた。


「え、いいよ。大丈夫……でも、ほんとに迷惑じゃないからね」


「わ、わかった」


「もう、そういうこと言わないでね」


「あ、ああ……」


 よく考えて話さなくては。


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