第17話 6人で計画

 昼休み。いつもの6人が集まっていた。


「少し先だけど、ゴールデンウィーク、みんなで集まろうよ」


 里内葉子が言った。うーむ、また俺は逃げた方がいいかな。


「私はパスかな」


 上山文佳が言う。


「文佳。この間、そう言いながら長月と会ってたでしょ」


「だから、それは偶然だって」


「怪しい」


「わ、わかったわよ。今度は参加するから」


 葉子に言い負かされて上山さんは参加することになった。


「俺も参加するぜ」


 井端が言う。


「なんだ、お前、江口さんと予定は無いのか?」


 前回は隣のクラスの江口さんとデートで行けなかったはずだ。


「もう終わったよ」


「え、そうなのか?」


「うん。だから暇だし、参加な」


「そうか……」


 そうなると、俺が参加しないというわけにもいかないか。


「じゃあ、俺も行くか」


「今度はちゃんと来るのよ」


 上山が言う。


「分かってるよ」


「よし、じゃあ全員参加だな。日程考えないと」


 太陽が言った。

 まあ、井端が居るなら俺も居場所はあるか。


「でも、どこ行こうか。井端君は行きたいところある?」


 里内さんが井端に聞く。


「うーん、俺はどこでもいいな」


「それが一番困るんだけど。何か無いの?」


「そうだな。美味しいもの食べたいな」


「わかった。で、どういうの?」


「うーん、ハンバーガーとか」


「うんうん、調べとく」


 里内さんと井端の会話が進んでいく。


「あんたたち、何か今までと違うわね」


 上山文佳が言った。


「え? そう?」


「うん。前はもっと険悪な感じじゃ無かった?」


「え、そんなことないよね、井端君」


「そ、そうだな……」


「怪しいわね。何かあったんでしょ」


 上山が言う。


「え、何にも無いよね、井端君……」


「う、うん。まあ、たいしたことはない……」


「たいしたことはないけどあったのね」


 上山が井端をにらむ。


「あーもう言うよ。里内さんの元カレが絡んできたのを助けたんだよ」


「へぇー、やるじゃん」


「うん、そうなんだ。井端君が『これ以上何か言うようなら、俺も容赦しない』って言ってくれて……」


 あらら、里内さんが乙女の表情になってる。


「ふーん、まあ、そういうことならいいけど……」


 上山は言った。


 それにしても、今まで太陽狙いだった里内さんが井端にね……。太陽は楽になるからいいか。まあ、うちのグループだけでもあと2人も太陽狙いが居るけど。


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