第25話 回答

【エレモン仮面のオールナイト】と言うチャンネル名でネットに動画を投稿した。お悩み相談ラジオしながらご飯を食べる。ゲストにエレモンを一体呼ぶスタンスでいこうと思っている。



基本的に話す時間帯は夜だろう。夜空が浮かんでいる中で俺は動画を撮影している。




「おおおおおお!!! チャンネル登録者が一人増えてるー!!! うああああああ!! これもクイーンの可愛さのおかげだな」

『当然よね! アタシの魅力があれば朝飯前ね』




 クイーンは俺の頭の上に乗りながら、そのように自信満々に言い放つ。確かにすごいことだ! たった一人と言えるが、されど一人。



 やるじゃないか!! 俺は感動したぜ!!




「よーし! しかもコメントが来ている。これに対してはちゃんと回答をしてあげよう!!」

『ふーん。レベル上げるにはどうするべきかって? そんな疑問アンタなら簡単に解決できるわね』




 俺のチャンネルではお悩み相談をしていきたいと思っていた。正直、自分で何を話せば相手が喜ぶかわからないからだ。前世からの筋金入りのボッチに相手が面白いと思ってくれる会話などわからない。






【最近、中々【エレモンバーサス】で勝てなくて……どうやったら勝てるようになりますか? エレモン全体的にレベルが上がりづらくなってて伸び悩みも感じています】





 レベル上げるのって道具を使う方法と戦って経験値を貯める方法、あとは折衷案みたなのが色々あるんだよねぇ。






『今回、回答はどうするのよ。ほら、【レベルアップする木の実】があったじゃない。でも、あれって……手に入れるの難しいじゃない』

「沢山手に入る代物じゃないしな。後は単純に戦う方法あるけど、それじゃ上がりずらいってことだよな」

『戦う相手もそんなに居ないんじゃない? 丁度レベルが上がりずらい敵とかも』



 ゲームならゴッドリーグに入り浸るのも効率よくレベルを上げる方法ではあった。この世界じゃ、行くまでに時間かかるしなぁ。



「【黄金の剣】って言う装備を持たせて戦わせるのが良いなぁ。ただこれ入手できるか?」

『全部、気を使ってたらキリないわよ』

「そうだなぁ。装備も作ったエレモンによって、質が変わるんだけど。取り敢えずそう言うのは抜きで考えるか」




【黄金の剣】と言う装備が存在する。



 エレモンには【装備】を言って道具を一つ持たせることができて、それによってステータスを上昇、他にも副次効果を持たせることができる。



この【黄金の剣】は獲得する経験値を上げることができる。



 【装備】を入手する方法は大体三つ。一つは店で買う、二つ目はエレモンを倒してドロップする、三つ目はエレモンに作ってもらう。



 まぁ、一つ目に関しては売ってる店はゲームではなかった。かなりレアな装備と言う設定もあったしな。そして、三つ目エレモンに作って貰う方法も難しい。装備を作るには道具が必要だし。



 その道具もまぁまぁ入手は難しい。装備作れるエレモンは限られてるしな。失敗したら道具も無駄になるし。



 ──二つ目のエレモンドロップが1番確率が高いと言うことができるだろう。




「これを相談の答えとしよう。それと、そこそこのレベル上げができる場所も……」

『あ、ゲストエレモンはどうするの?』

「ホーリーマジックモンかな。【Sランク】だし、グレンも使ってたエレモンだから、気になる人はいるかも」

『ふむ。アタシも出るわ。でも、人間の姿だけど』

「あ、そうなんだ」

『基本、話さずその場に座ってテレパシーを繋ぐ役割ね。アムダと同じ、仮面を被るから誰にもわからないわ』




 なるほど、確かに居てもらった方がいいかもしれない。そういえば武者マルも、ゲストとして出たがっていたが武者マルは、原作主人公がグレンからもらえる特別な武者マル。


 だから、出すと違いに気づく奴がいるかもしれないから出せないんだよなぁ。出してあげたいけど。




『よーし、行くわよ!』

「はーい」







◾️◾️





『皆さん、こんにちは。本日も雑談をしながら食事をする動画番組【エレモン仮面のオールナイト】にようこそ。司会は俺、エレモン仮面が行います。そして、横に座っている女の子はエレモン仮面二号、話しませんがサポート役です』




 ワタクシはなんだかんだで、この動画投稿者が気になってしまっていた。前回送った疑問にも答えてくれると言っていたので、新規動画が投稿されたとお知らせが来たら早速開いて見た。




『今日のゲストエレモンを紹介します、【木こりマン】です。よろしく』

『……ぺこ』

『木こりマンは最近、木々の栽培に力を入れてるそうですね』

『……ぺこ』



 うん、こっちからすると何を言っているのか分からない。彼は【木こりマン】と適当に雑談をしながら、ご飯を食べている。美味しそうなお肉を食べてるから、気づかないうちに涎が出ていた。




『この無人島では木を育ててるんですけど、それが最近だいぶ育ってきてるんですよね。今度見せます』

『……ぺこ』

『そうそう、本当に伸びてね、7メートルくらいの木が沢山できてる。ちょっとした森みたいだよね。それを育ててるのがこの【木こりマン】なんだけど』





 ここ無人島でこの人の所有地なんだっけ? ワタクシもお父様とお母様から島は一つ貰ってるけど。折角だし、有効に使って行った方がいいのだろうか?





『木こりマンは本当に木々とかを育てるのに適してます。土をふかふかにしてくれたり、他のエレモンが歩きやすいように道を作ったりもしてくれるんです』



 へぇー、そうなんだ。木こりマンは森によく生息していて、自然を守るとかそれくらいしか知らなかった。



 森の道とかも作っていたのか。




『さて、雑談も済んだ所で、本日は初めてのお悩み相談をしていきましょう。現在はチャンネル登録が一人を突破しました! すごいですね! その初めての登録をした方から質問が届いております』



 あ、ワタクシのことだ




『はい、読ませてもらいますね。【最近、中々【エレモンバーサス】で勝てなくて……どうやったら勝てるようになりますか? エレモン全体的にレベルが上がりづらくなってて伸び悩みも感じています】でした」




 そう、最近はガイア大将、コードバトラーにも負けて負けが続いている。それにエレモンも少しレベルが上がりづらくてどうすればいいのか分からない。


 正直、お父様に聞いたけど『誰でもそう言う時期はある。それにお前は他のテイマーよりも遥かに強い』と言う返答だった。確かに他の一般的なテイマーに比べたらワタクシは強い。


 でも、ワタクシが目指してるのは……お父様や……お父様にすら勝った【イヴ】みたいなテイマーだ。



 お父様が言っていた『悩みがあるなら、俺よりも強いテイマーに聞け。イブという名のテイマーだ。知っているのだろう? 俺も完敗した』





 ──あり得ない。お父様が負ける、しかも【完敗】だなんて




 イヴの連絡先は知らない。どこに居るかも分からないし。だから、答えをワタクシは持ち合わせていない。



 なんでもいいから、答えが欲しい……





『ずばりお答えします。レベリングのコツは【黄金の剣】を入手してください。エレモンに持たせると獲得経験値が上がります』




【黄金の剣】……名前だけは聞いたことありますけど実物は見たことありませんわ。ネットオークションで偶に見るけど、それも高値で本物かどうか分からないし。




『そんなの入手できないって思ったと思います。それが違うんですよ。【螺旋の地下洞窟】に行ってください。ここの【22階】の特定エリアに、稀ですが【グレール】と言うエレモンが居ますのでこれを倒すとドロップします』




 ……そんなの聞いたことないけど、本当?




『しかも、【21階】には【メタモルフォーゼ】が居ます。これを倒すと大量経験値です。【黄金の剣】を手に入れたら、すぐさま倒しにいきましょう。【メタモルフォーゼ】は出現低確率ですが【メタルあんこ餅】をばら撒くと出現確率アップします』




 ……本当だろうか。





『おさらいしましょう。【螺旋の地下洞窟】の【22階】の【グレール】を倒して【黄金の剣】をゲットする。その後、【21階】にて【メタモルフォーゼ】を狩る。低確率出現なので【メタルあんこ餅】を持って行ってばら撒く。以上です』

『……ぺこ』

『あ、そうだね、ありがと木こりマン。言い忘れてた。【メタルあんこ餅】はエレ市場で安く買えますね。はい、以上ー。それでは、また! 動画の最後に出現率が高い特定エリアとか載せときますねー』






 ……嘘っぽい。ネットに書いてあるデマ情報とも思えるような感じだ。こんなの信じる奴がいるのだろうか?





──着替えをして、外に出た

 



「あらー、モエちゃん、出かけるのねー。少し、立ち直れたのかしら」

「えぇ、お母様」




 お母様がワタクシに話しかけてきた




「どこ行くのー?」

「【螺旋の地下洞窟】に……」








◾️◾️







「あ、動画にコメントがついてる」




【回答ありがとうございます! 次の動画も楽しみにしてますね! せっかくなので、信じて【螺旋の地下洞窟】行ってみようと思います!】




 ふふ、律儀な子のようだ。ゲームだと中盤より少し前くらいならこのレベル上げ方法がいい感じだ。ぶっちゃけ、ゲームストーリークリアならここでのレベル上げで問題なく終われるくらいだろう。




 


 せっかくだし、俺も行ってみようかな。もしかしたら、この子と会えるかもしれないし。


 サインとか、練習しておこうかな?

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