第18話 和ノ国の伝説
さて、キャンプも作ったし遂に苗木を植えよう。ただ、その前に……
「【グリンウルフ】、【木こりマン】、【セレナリス】、来てくれ!!」
俺がそう言うと三体のエレモンが姿を現した。【グリンウルフ】、名前からして連想されるが緑色の狼である。
全長70センチ、緑色の毛並みが綺麗なのが印象だ。瞳は犬ように優しそうである。【A】ランクで強さも十分ある。
【グリンウルフ】は自然が豊かな場所を好んで生息すると言う特徴がある。自然の中に生きて、自然の中で生きてきたエレモン。
しかも、普通の森ではダメだ。【清らかな森】でないとダメらしい。生息する場所を見つけたら、それはどんなエレモンでも住める場所とすら言えるほどらしい、
なぜ、【グリンウルフ】を呼んだのか。
これから島を発展させる中で植物系のエレモンが過ごしやすい森を作りたいと思っている。
その為、グリンウルフを作っていく森の基準にしたいからだ。清らかな川の水でなければ飲まないと言う性質もあったりするグリンウルフ。
簡単に言うととんでもないグルメとも言えるかもしれない。だからこそ、彼を基準にして他の植物系のエレモンも過ごしやすい環境にしたい。
『グリンウルフはアンタがいるならどこでも住むって言ってるわよ』
「ありがとう! でも、過ごしやすい環境を用意したいと思うのもテイマーの性だ!!」
「ウル……」
『無理しない範囲で大丈夫と言ってるわね』
「無理しないとダメだろ! 無理するぞ俺は!!」
それにしてもクイーンのテレパシーは本当に便利だな。さて、二体目は……
【木こりマン】。植物系のエレモンで【B】ランク。見た目は木の人形みたいな感じだ、木の土を耕す道具を持っており、顔は緑の目、只管に長い鼻。身長は160センチメートル。
全身が綺麗な木目が見えている体つき。ふむ、綺麗だな
「おっす! 木こりマン!」
「……ぺこ」
「宜しくな! 俺も手伝うから!」
「……ぺこぺこ」
【木こりマン】は木々を育てるのに長けている。森に住み着いて森を育てながら果実などを食べて暮らすことが多いエレモンだ。
ファームモンとかと違って、木々を育てる森を大きくする性質があるらしい。
【木こりマン】はゲームでも沢山お世話になった。島の中に森を作ることができたので、高レベルの【木こりマン】を沢山用意することで森を広げることができた。
また、木材を作るにも役にたつ。木材を過去するエレモンはまた別に存在しているが今回は取り敢えず森を作る所から始まるので、今はいい。
「──【セレナリス】」
「セナ!」
植物系グラスエレモン系、喪失系ロストエレモン系の二つの系統を併せ持つエレモンだ。
喪失系、ロストエレモンとは非常に珍しいとされるエレモンだ。何らかの文献で名前があるが存在が確認できない、伝承でしか伝わっていないと言うのが定義だ。
この島を作った【テラゴラム】も喪失系でもあるエレモンだ。ただ、クイーンみたいなエレモンは少し違う。
クイーンは未知系、オメガエレモン系と言われる。伝承などでも存在が全く確認できない新たなる存在もいる。
名前や伝承があるのが【喪失系】、名前なども一切ない新たなるエレモンが【未知系】の違いだ。
『セナ!』
シルエットは人間に近い。手足があり、二足歩行だ。顔は大きな紫の瞳、綺麗な花や口がある。
手や足は人間とは違い、薄いピンク色で形状も違う。白いドレスのようなものを纏っていて、頭には花で作られた冠が置いてある。
大地の精霊と言われて神秘的な雰囲気がある。(ただ、俺には大分懐いているのでめっちゃ抱きついてくる)
前世だとかなりマニアに人気のあったエレモンだな。可愛らしい見た目とクールな雰囲気から、人気爆発した。男女ともに人気があったらしい。
一応、メスらしいのだが、男女ともに嫁や夫にしたいと人気があったのを覚えている。
「セナ!」
「おうセレナリス。お前の力を借りたい」
「セナセナ!」
めっちゃ、抱きついてくるんだけど。うむ、可愛いから許す。
【セレナリス】
自然を司るとされているエレモンだ。春夏秋冬、季節の変わり目に一度だけ現れて自然に力を与えて去っていく。一度の力で一つの自然が安泰になる。
と言われている。
ゲームだと一応は力は使えた。ただ、次回作主人公の島でだけど。一応効果は置いておくだけで全体的に自然が育ちやすいみたいな感じだった。
「セナ!」
「お、おう」
ただ、あまりに力を極端に使いすぎると逆に自然が滅ぶとか言う設定もあった。果実とかはちゃんと育てないと味が出ないとか。だから、ちゃんと育てないといけない。
しかし、居るだけで自然が活性化する性質は変わりないからな。力を借りよう!!
「セナセナ!」
「あ、うん、ちょっと、そろそろ、苗木を」
「セナ!」
ずっと抱きつかれているんだけど……
『ちょっと、そろそろ退きなさい! 王に対して無礼よ! それにクイーンであるアタシの前なんだから引き下がりなさい』
「セナセナ!」
「あ、えと、そろそろ苗木を植える……」
『退け!』
クイーンも怒り出してるし、そろそろ離れて欲しい所だ。うん、ようやく離れてくれた。
そして、苗木を全員で植える作業に移った。
【グリンウルフ】1体、【木こりマン】20体、【セレナリス】1体で買ってきた苗木を植えた。
ふむ、大体50本ほどの苗木だ。それが並んでいるだけで森のイメージはない。苗木と言っても土から10センチほど木の枝が生えているようなものだからだ。
「セナセナ!」
するとセレナリスが手を大地に落として、発光する。大地に自身のエネルギーを与えているのだろう。
発光した光が大地を通じて辺りに広がっていく。すると苗木が10センチから30センチほどに一気に成長した。
「セナ、セナー!」
『これ以上今やると、成長させすぎて逆に苗木がダメになるってさ。ただ、少しずつ私が力を与えていけば通常より遥かに速く木々を成長させられるって』
「おおう! そうか!」
「セナ!」
確かにこれは凄いな……【木こりマン】が世話をしてくれるから心配はいらないだろうし。
育ったら森の状態は【グリンウルフ】に細かく聞いて【セレナリス】に大地に力を少しずつ与えてもらって……これで植物系のエレモン全てが心地よく過ごせる場所を作る!!
他の系統のエレモンの住む場所も作っていけないといけないけどね。ただ、これは大きな一歩だろう。
しかし、これで満足はできない。苗木も割と高いからお金が必要だし、今植えただけでは足りないし。
「セナセナ!」
「……ぺこぺこ」
「ウル……」
セレナリス、木こりマン、グリンウルフは懐いてくれてるのか駆け寄ってくる。頑張ったこいつらに何か作ってあげよう。うーむ、木こりマンが多いからとんでもない集団みたいになってる!
「早速、キャンプ用品が役にたつぜ!!」
実はこっそり肉を持ってきていた。エレ市場で買ったやつだけどね。結構いいのが売っていたのでちゃんと美味しそうで新鮮なやつを選んでいた。
えっと、買ったキャンプ用品にはフライパンにコンロも入ってる。よし、これで焼いて食わせてやるぜ!!!
「セナ!」
「あ、セレナリス。抱きつかれると動けない、料理できないから……」
「セナ……」
「あ、ごめん! 抱きつかれても料理はできるから!!」
「セナセナ!」
うーむ、少し料理はやりづらいけどやるしかないか。ただ焼いても美味しくないので味付けをしないとな。
家から大きいクーラーボックスは持ってきている。そこに水系統のエレモンに作ってもらった氷を入れて冷やしておいている。
「よし、肉焼きパーティーだな!!」
こう言うのでいいんだよ!! みたいな美味しいのを作ってやろう!!!
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