第6話 頭のマッサージをしていきますね~


「じゃあ、次はこのまま頭のマッサージをしていきますね~」


「え? 頼んでいない?

 この美容院は、サービスでやるのよ~。

 もちろん、時間をたっぷり使ったマッサージになると有料になるけどね~」


「じゃあ、いくわよ~」


(ぎゅ、ぎゅ、っと泡の音と共にゆっくり音が主人公の頭から聞こえる)

「力加減はいかがですか~?」


「大丈夫? 気持ちいい? 良かったわ~」


「え? ……そうよ~。

 これも、痛い痛い痛い痛い、とか、全然力が感じられない、とか色々言われたわ~」


「え? 昔も最初はそうだった?

 もう、いつの話よ~。それって、お互いに肩をマッサージし合ってた時のことよね~」


「あなただって、最初は私の肩を潰すんじゃないかっていうくらい力をこめていたじゃないの~」


「え? わざと?

 もう、昔から変わらないわね~。

 まあ、私もたくさん痛いって言われたからおあいこかしら~」


「……そうね。懐かしいわね~。

 あの頃は頭のマッサージとか知らなかったから、肩で練習して……」


「そういえば、こんな風にあなたにマッサージをするのは久しぶりね~。

 あれから、ちゃんと上達してるかしら~」


「……そう? ありがとう。

 あなたにそう言ってもらえるなら、間違いじゃないわね~」


(しばらく、泡と共に静かな音だけが二人の間に響く)


「そろそろ、終わるけれど……あら? 寝てるのかしら~」


(しゅわっと、泡が少しだけ消える様な音)


「そうよね~。お疲れよね~。

 休日まで付き合ってくれて……本当に優しいんだから~」


(少し、気配が主人公の方へと近付き、主人公の顔に影がかかる)

「ありがとう。

 ……昔からそんな風に変わらないから、私もついつい甘えちゃうのかも~(囁く様に)」


「……って、いけないわ~。今は練習が先よね~。

 じゃあ、寝てる間に流しちゃおうかしら~」


「……あら、起きたかしら~?」


「……え? 寝てない?

 あらあら~。嘘ばっかり。しばらく反応無かったわよ~」


「あらあ。ずっと起きてて、次にどうするか観察していた?

 ふふっ、そうね~。じゃあ、そういうことにしておいてあげるわね~」


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