第3話 お先にシャンプーしますね~


「それでは、お先にシャンプーしますね~。

 こちらへどうぞ~」


(奥の方へ移動。椅子とシャンプー台が三台設置されている)

(主人公は左側へと案内される)

「段差がありますので、お足元にお気を付けて……って、あら~?」


(かつっと、段差でつまずく音)

(どさっと、倒れ込む音が続けて起きる)


「……あ、あらあら~。ごめんなさいね~。

 私が気を付けなきゃ駄目ね~」


「……え? 昔から目が離せない? ひどいわ~。そんなに転んでなんか……ええ? 一日に一回転ぶって、さすがにそんなに多くはなかったわよ~」


「それに、あなたもよく走って地面に転んでいたじゃない~。

 ……え? 昔の話? 私だって昔の話よ~。……って、あら」


(また、かつっとつまずく音)

(抱き合ったまま衣擦れが起きる音)


「……嫌ね~。私、緊張しているみたい」


「どうしてって……だって、見習いになってから初めてなんだもの~。人を相手にするのって」


「あなたは構わないって言ってくれるけど、やっぱり切るからにはカッコ良くしたいじゃない?

 だって、あなたはとってもカッコ良いんだから~」


「……え? いきなり何、って?

 だから、元がカッコ良いから、髪型で台無しにするわけにはいかないわよね、って話よ~」


「……さっさと続きを? もう、せっかちね~。

 わかったわ~。……って、あらあら? 顔が赤いわよ~。もしかして、体の調子が悪いの?」


「え? 違う? 早くやろう、って……そんなに楽しみにしてくれていたなんて……これは、期待に応えなきゃ駄目ね~」


「うん、ありがとう。ここから挽回するわね~」


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