第2話 今日は、どうなさいますか~?


(案内されて、椅子に座る音)

(女性が主人公の後ろに立って、鏡越しに声をかけてくる)

「本日はよろしくお願いします。

 今日は、どうなさいますか~?」


「ええ? いつも通り?

 もう、常連さんみたいな言い方ね~」


「わかってるはず、って……そうだけど~。

 でも、あなたの髪を切るのは久々なのよ~。いつも他の人にカットしてもらってるんでしょ~?」


「……え? 自分で切ってた?

 そうなの~? 確かに、少しがたがたに見えるけど……」


(女性が主人公の後ろ髪をそろっと触る)

「でも、見た目はそんなに変じゃないわ~。切るの、上手なのね~」


「負けてられないわ~。今日は、満足して帰ってもらうんだから~」


「でも、どうして自分で?」


「え? 特に理由はない? 教えてくれてもいいのに~。

 ……そんなに大事な理由なのかしら~」


(ぎしっと、主人公が身じろぎをして椅子の音が鳴る)

「はいはい。もう聞かないわ~。そんなに大切なことなのね~」


「もう、わかったわよ~。

 じゃあ、昔と同じ髪型にしますからね~」


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