幽鬼は想い人に出会う

第1話:目覚め

 これは明超から聞いた話だが――白老人は仙薬を求めて西域の一座の天幕に単独で忍び込んだ。そこで西域の一座の者たちは、踊り手でありながら暗殺者でもあることに気づいたらしい。遠き異国の地よりやってきた彼らは、高価な金銀の装飾品を売りさばき、貴族たちと繋がりを持ち、やがて彼らから高値で暗殺を請け負う。白老人が見た不思議な鳥もその一つ。

 これは由々しきことだと思い、引き返そうとしたところ――槐黄かいおうに見つかり気絶させられてしまったというわけだ。さしもの白角狐ばっかくこも、寄る年波には勝てなかったということか。

 それでもまだ、出会ったのが彼らだったことが幸いだったといえよう。


    * * *


 長らく誰も住んでいなかったためか、この別邸には使用人がほとんどいない。いるのは以前より別邸の管理を任されていたという徐老人の他に家事全般の担当の彼の孫娘、釉児ゆうじの二人だけ。代わりに屋敷の警備は極端に厳重で、見舞いにやってきた景王ですら屋敷に入るまでにずいぶんと苦労をしたようだ。


「全く……厳重なのは良いことだが屋敷の主人くらいは、煩雑な確認手続きをどうにかできんのか」


 部屋で寝ていると、外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。――景王の声だ。


「二殿下!」


 高雲を連れ立ってやってきた景王に明超は慌てて立ち上がり、揖礼をとる。そんな明超に景王は「よい」と片手で合図し、部屋の中を見回したあと、誰にともなく呟く。


「ふむ。少し埃っぽいが、長いこと屋敷の管理すらしていなかった割には、綺麗な方だな」

「にもかかわらず、急ぎ屋敷の警備を揃え、桑縁を休ませる環境を作ってくださったこと、感謝しております」


 明超の様子が、気怠そうな普段の姿とは全く違うことに、内心で桑縁は驚いた。


「いやあ。屋敷のあるじが屋敷に入るために、何度も証拠を求められるのはどうなんだろうな?」

「……それを命じたのは二殿下じゃねえか」


 ……が、すぐに元の口調に戻ってしまった。こちらのほうが、やはり明超らしい。桑縁が目覚めてそう時間が経たないうちに景王がやってきたことを鑑みると、どうやら桑縁が目覚めてすぐに明超が連絡を飛ばしたようだ。


「二殿下が別邸を貸してくださった上に、庚央府随一の名医を連れてきてくださったと聞きました。ご迷惑をおかけして申しわけありません」

「桑縁、お前なあ……」


 呆れたような声を景王が出す。


「死にかけたときまで謝るのは、お前の本当に悪い癖だぞ」

「え、ええと……」


 ならばなんと言えばよかったのか。そう思っていると、明超がそっと横から耳打ちした。


「ありがとうございます、って言えばいいんだよ」


 言われてみればその通りだ。申し訳なさばかり感じていて、感謝することを忘れていた。


「済みませ……じゃない、ありがとうございます。二殿下には感謝しても感謝しきれません」


 傷のせいで頭を下げることはできないが、精一杯の気持ちを込めて桑縁は言った。金の無い桑縁が、このように十分な治療を受けることなど本来は不可能だ。こうして命を繋ぐことができたのも、ひとえに明超や景王のお陰。


「お前と私とは幼馴染みなんだ。遠慮などするな。夫君をはやくに亡くし祖父上も亡くなって、お前まで死んでしまったら、母君になんと謝罪をしていいか分からないからな」

「はい。あの、母はこのことを……?」

「いまは伝えていない。しかしその傷では誤魔化すことなどできぬだろうよ。もう少し回復したら伝えるつもりだが……怒られることも泣かれることも、いまのうちから覚悟した方がいいぞ」

「は、はい……」


 明超も景王も母がどれほど悲しむのか理解していたのだ。理解しているつもりで、いつも脇に置いていたのは桑縁だけだった。


「それから――。お前が生きながらえることができたのは、まず一番に天殿のお陰。天殿が迅速に止血していなければ、命はなかったのだぞ。一生分くらいは感謝しても足りないと思うぞ」

「一生分……」


 桑縁は思わず明超の顔を見る。振り向いた明超と目が合った瞬間に、夢の中での出来事が蘇った。


 初めて見せた、明超の涙。

 忘れ難い口付け。

 『絶対に離れない』と言った、彼の言葉――。


 ほんのわずかなあいだに様々な想いが駆け巡り、なんだかずっと明超の顔をまともに見られない。


「あ、あ、ありがとうございますっ!」


 急に気恥ずかしくなって、桑縁は目を逸らしてしまった。


(本当はもっと、ちゃんとお礼を言いたい、それに謝りたいのに……)


 心が妙にざわついて、いつも通りに答えられない。自分で自分が分からなくて、いったん話題を変えることにした。


「そ、そ、そうだ二殿下。蔡府はどうなったか知っていますか? 茗爛めいらんという娘さんと、片腕の侍衛がいたはずなんですが……」


 明超は彼らがどうなったのか、分からないと言っていた。明超から聞いて事情を知っているであろう景王ならば、分かるだろうと思ったのだ。

 しかし景王は桑縁の言葉にわずかに顔を曇らせた。


「蔡府は燃え落ちた」

「え……?」

「前の晩に、天殿が血相を変えて瑛月楼にやってきて、お前を助けるために力を貸して欲しいと頼まれた。私は夜を徹して各所に連絡を飛ばし、天殿が蔡府で時間を稼いでいるあいだにどうにか準備を整え、一気に蔡府に突入する予定だったのだ」

「えっ!? 時間を稼いで!? あんなド正面から乗り込んできたのは、そういうことだったんですか!?」


 忍ぶでもなく蔡府に堂々と乗り込んで来た明超を見て、無謀もいいところだと思っていたが、よもや彼が前の晩に景王に相談に行っていたなどとは思いもよらなかった。


「……お前の身代わりならいくらでも俺がなる。ただ、白爺のことを知られた可能性も捨てきれなかったし、お前を素直に返すとも思えなかった。俺一人じゃあいつらに上手く立ち回ることはできない。……だから、二殿下に頼るしかないって思ったんだ」

「時間を稼ぐって割には、すぐに両手足の筋切られそうになってたじゃないですか……」

「そりゃ……」


 言いかけて口を噤んだが、桑縁には明超が『死んでるんだから、筋くらい切られてもどうにでもなる』と言おうとしたのがすぐに分かった。


(それにしたって、交渉が下手すぎるんじゃないか?)


 考えてみれば、義鷹侠士が見事な交渉術を披露した話は、読んだことがないような気がする。


「ところが、死にかけのお前を抱えた天殿が戻ってきたものだから、それどころではなくなってしまってな。そうこうしているうちに、劉宰相が禁軍を率いて蔡府に押し寄せた」


 桑縁が予想していたこととは全く違う結末に、驚きを隠せない。


「なら、なら蔡家の人たちは……? 捕まったんですか?」


 景王は首を振る。


「蔡家に関わる者たちは、全てその場で殺され、炎に包まれた蔡府は灰塵と化した。やり過ぎではないかという声も上がったのだが、なんでも蔡天文官の子息がとある事件で命を絶ったとかで、陛下を呪詛しようとしていたそうだ。それで、断固たる対応が必要だったと劉宰相は主張した」


 茗爛めいらんの言っていた、彼女の父が息子の仇を討つという話。あれは真実であり、しかも復讐したい相手はあろうことか皇上だったのだ。


(しかし、あまりに都合が良すぎるんじゃないか?)


 確か茗爛めいらんは誰かと共に行動をしていると言っていた。蔡家だけが陰謀を企てたような主張は些か違和感を覚える。

 ……それに、劉宰相の迅速かつ非情な判断も。


「じゃあ、全員亡くなってしまったんですね……」

「いいや」

「はい?」


 桑縁が聞き返すと、景王は笑顔を見せる。「入ってきなさい」と扉の外に呼びかけると、扉の向こうから見知った顔が顔を出す。


茗爛めいらんさん! 槐黄かいおうさんも!?」


 姿を現したのは茗爛めいらん槐黄かいおうだった。桑縁の元にやってきた二人は「申しわけございません!」平伏して謝罪した。

 二人は父である蔡天文官に桑縁たちを逃がした罰として、離れに閉じ込めらえていた。それが功を奏して、劉宰相の襲撃の際に難を逃れたらしい。炎が放たれたことに気づき、脱出した二人は、あとからやってきた景王と出会い、全ての事情を話した上で保護されたそうだ。


「秦公子を巻き込んでしまった上に、大怪我まで負わせてしまって、合わせる顔がありません。三代目義鷹侠士がいなければ、貴方を死なせてしまったことでしょう。どれほど謝罪しても足りません」


 涙ながらに茗爛めいらんは何度も桑縁に謝罪を繰り返し、止めたいのに動けない桑縁は困ってしまって明超に視線で訴える。


「好きなだけ謝らせておけよ。その方がお互いすっきりするしさ」

「そんなぁ」

「こいつらの事情も理解はしている。でも俺は怒ってるからな」

「怒ってる? どうして?」


 むっとした表情を見せ、明超は桑縁を睨む。


「あ・の・な。……俺は、こいつらが、お前が死にかける原因を作ったことに怒っているんだ。薄明のことだってある」

「そ、そうでした……」

「それが謝罪を繰り返すだけでいったん忘れてもらえるんだから、安いもんだろ。俺も落ち度がなかったとは言わないが、そいつらが謝罪しない理由にはならないんだからな」


 なんと暴論な。

 そう思ったが、明超の言うことも分からないでもなかった。彼にとって薄明は大切な仲間。彼女たちのお陰で助かったとはいえ、本をただせば西域の一座の噂が発端でもあるのだ。


「そうだ、二殿下! 丁度二人もいることですから、西域の一座のことを質問させていただけませんか?」

「お前なあ……死ぬ寸前の大怪我をしてるんだぞ。動くこともままならないのに、いま急いで話すことが必要なのか?」

「必要です」


 桑縁はきっぱりと言い切った。目線で景王に『却下』と訴える明超。そして、そんな明超にばつの悪そうな顔で詫びた景王は、苦い顔で唸る。


「……私とて天殿と同じ意見なのだがな。……だが、お前はこうと決めたら絶対に譲らない男だ。仕方ないから聞いてやる」

「ありがとうございます、二殿下。実は、二殿下も気にされていた西域の一座に纏わる噂の正体が、分かったんです」

「なんだと!?」

「鳳凰の噂と仙薬の噂。二つは西域の一座の連れてきた鳥と、彼らが蔡天文官と取り引きをしようとしていた毒薬のことを表しています。おそらく西域の一座が連れている鳥を見た白先生は『噂は本当だった』と思ったのではないでしょうか」

「そうだ。あいつ……薄明のやつ、『見たことも無いような鳥を一座の天幕で見た』って言ってたな。桑縁の予想は、当たっている」


 同意するように、明超があとから言葉を続けた。珍しい鳥を見た白老人は、もしかしたら不死の仙薬が手に入るのでは――そう思い、一人で極秘に調査を進めようとした。なぜなら……もし景王や仲間たちにこのことを報せれば、仙薬が手に入っても彼の手元には残らないだろうからだ。

 それほどまでに彼が仙薬に焦がれたのは、明超の存在があればこそ。幼い頃を共に過ごし、彼のために剣を探し、老いてもなお、彼を慕って止まない白老人の想いの強さ。桑縁には、彼の真っ直ぐな想いが羨ましく思えた。


「なら、その鳥と毒って、いったい何なんだ?」

茗爛めいらんさんと槐黄かいおうさんはご存じですよね。…………ちんの毒」


 茗爛めいらんが驚き、すぐに「仰る通りです」と肯定した。


ちん毒は無味無臭、高貴な人間を暗殺するために多く用いられる毒です」

「そうか! だから皇后娘々の犀角さいかく杯を盗み出そうとしたのか……」

「天大侠にいさんの言う通り、です。ちん毒を防ぐには犀角さいかく杯が必要不可欠ですから」

「なるほどなあ、二つの件がそんなところで繋がっていたとはな」


 しかし、そうなると犀角さいかく杯はどこにあるのかが気がかりだ。皇后娘々の元にあるのか、紹玲が盗み出したのか、それとも失くしたのか。それとも……。


茗爛めいらんさん。お父上は犀角さいかく杯を手に入れましたか?」


 少し考えたあと茗爛めいらんは「分かりません」と首を振った。ちん毒のことは知っていたのだが、犀角さいかく杯までは思い至らなかったという。


「彼らがちんを持ち込んでいると知ったのは、父の指示で品物の受け取りに出向いたときが初めてです」


 蔡天文官は彼女に何を受け取るのかは伝えなかった。実際に交渉を行っていたのは、付き添いという名目で共にやってきた彼女の叔父であったし、槐黄かいおうも侍衛ではあるものの、詳しい事情は知らされていなかったのだ。

 ところが、予想外のことが起きた。


「一座の天幕を訪れたとき、運悪く一座の楽師がちん毒で死んでしまったのです。しかし楽師がいなければ、踊り子たちは舞うことができません。それで、取り引きを行う見返りとして、私は死んだ楽師の代わりに一座の演奏役としてしばらく滞在することになりました」


 一座は貴重な黄金の装飾品などを金持ちや妃賓たちに売りつけ取り入ることのみならず、邪魔な存在の排除や脅しに人攫いなど、あらゆる裏の依頼を引き受けているのだという。彼らは同じ場所に長くとどまることはしないため、多少目を付けられることがあっても捕まる前に逃げてしまうこともできる。実際そうやって彼らは旅先の地で幾度も物騒な仕事を行ってきたのだ。

 毒の売買はその手段の一つであり、一座の大半の踊り子は踊るよりも裏の依頼を請け負うことのほうが主要な仕事なのだ。

 誰を殺すつもりなのかは分からないが、ちん毒を使うほどの相手となれば、高貴な身分であることは間違いない。父がとてつもないことをしようとしているのではないか――そう思った茗爛めいらんは、それとなく『鳳凰』『仙薬』の噂を流し、注意を向けさせようとしたのだ。


「でも、まさか皇后娘々を狙おうだなんて……!」


 わっと泣き崩れた茗爛めいらん槐黄かいおうが支える。


「旦那様はもうおりません。全て炎の中に消えたのです。ですから、もうちん毒で誰かが死ぬようなこともありませんから……」


 蔡府で二人だけが生き残り、茗爛めいらんはもはや蔡府の小姐おじょうさまではない。いままで二人のあいだにあった身分という差は既に無く、彼らがそのことに気づけるのはいつだろうか。


「あの、お二人に聞くのは心苦しいのですが……蔡天文官の御子息は同じ翰林院の仲間の妬みによって、起草した昭勅をすり替えられてしまったそうですが……そこまで判明しているということは、犯人は処罰されたのですよね?」


 以前より気になっていたことだったが、あのときは明日も分からぬ身の上であったため、あまり突っ込んだことは聞くことができなかった。けれど、このようになってしまったあとだからこそ、聞いておきたかった。

 茗爛めいらんが答えようとすると、槐黄かいおうが進み出る。


「旦那様の御子息……蔡公子が亡くなったあとで真実が判明し、公子を陥れた者たちは厳しく処罰されました。当人を含めた一族が処刑されたそうです。その人数は相当数であったと聞いております」

「ちょっと待て。犯人は処罰されたのに……どうして蔡天文官は自分の娘を復讐のための駒にしたんだ? ちん毒まで取り寄せて、なんで皇后娘々を狙う必要があるんだ?」


 驚いた明超は槐黄かいおうに叫ぶ。槐黄かいおうは静かに首を振った。


「――犯人が処罰されたことは少なくとも良いことです。けれど御子息は……、死んだ者は戻ってこないのです。期待をかけていた自慢の息子の死ほど、旦那様にとって悲しいものはなかったでしょうから」


 唯一無二の息子を失った蔡天文官の悲しみは深く、犯人だけに留まらず息子が死を選ぶきっかけとなった存在に恨みの矛先が向く。

 もしも、そのきっかけを誰かが与えたとしたら……?

 人の心は不安定なときほど御しやすい。

 もしも、誰かが彼を利用するために唆したのだとしたら――。


「二殿下」

「どうした」


 先ほどからずっと考えていたことを、桑縁は口にする。


ちん毒の受け渡しが行われたということは、計画は止まっていないのだと思います。劉宰相は蔡府との繋がりを全て絶ったつもりでいるのですから……恐らく、彼らは犀角さいかく杯は娘々の元にないと踏んで、を起こすつもりなのではないでしょうか」

「そうだな……。いままで以上に注意を払うことにする」


 茗爛めいらん槐黄かいおうの二人は、景王たちと共に景王府へと帰っていった。彼らは蔡家唯一の生き残りであり、貴重な証人でもあり……同時に蔡天文官の命令で動いていた一味でもある。拘束こそされてはいないが、全てが落ち着くまでは、罪を償うまでは、自由の身になることはできないのだ。


『旦那様はもうおりません。全て炎の中に消えたのです。ですから、もうちん毒で誰かが死ぬようなこともありませんから……』


 何気なく槐黄かいおうが言った言葉だったが、それは桑縁の心に引っ掛かりを残した。

 帰り際、使用人が少なすぎることを案じた高雲が、


「あまりに突然のことでしたので、身の回りの世話をする者がおらず、さぞや不便でしょう。明日までには医者、料理人、掃除係、それに秦公子のお世話をする者を連れて参ります」


 と言ってくれたのだが、明超はすぐには返事をしなかった。


「身の回りの世話は俺がやる。……ただ手伝いはいた方が助かるな。それから……一つ、頼みがある」


 高雲に何かを頼んでいるようなのだが、寝台に寝かされている桑縁には聞こえない。やがて高雲は二殿下にお伝えしておきましょう、と笑顔でうなずき景王の後を追い屋敷をあとにした。


「何を言ったんですか?」

「そのうち分かる」


 何度聞いても、そのうち分かると繰り返し、明超は高雲と話した内容を教えてはくれなかった。

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