14 お名前募集とアルバイト再開配信

「こんにちは。今日は新しい赤ちゃんモンスターの紹介と、お名前募集の配信です」


:こんちゃ

:こんちゃ

:こんちゃ

:なにその場所! 素敵じゃん

:いきなりのロマン砲にヤラレタ

:ゾウさんだー!

:綺麗な場所だね

:俺の居場所はありますか!!


 もう賑やかだね。こっちも賑やかだけど。

 花ちゃんにチーちゃんたちが乗って鳴いてるからね。

 ワッチャワチャです。


 ピングウィス2匹とダンジョンラット4匹がお名前募集する子たちで、ロータスエレファントの花ちゃんは紹介だけになる。


 3層の林ゾーンにある泉の側で撮影してるよ。花が咲いてるし、光が空から差し込んでるので神秘的な雰囲気になってるんだ。

 評判がよくて僕も嬉しい。


 撮影はレーナ姉ちゃんにお任せ。

 コメントもピックアップしてくれてるよ。


「じゃあまずは近くで見て! レーナ姉ちゃん、お願い」


「了解」


:当然のようにいるんだなあ。レーナ姉ちゃんとチーちゃん

:羨ましい職場ッ

:お混ざりしたいですわー


「まずはロータスエレファントの花ちゃんの紹介です。乗せてくれるし乗せるのも好きな子だよ。

 レーナ姉ちゃんもよく分かってないレア種だって。頭の花がアイテムになったりすんのかな?」


:最初から知らないモンスター

:なんという慈愛に満ちた眼差し

:子ゾウってカワイイんよな

:推しモンに追加


「それからぺんぺんくんとコロちゃん、夜月ちゃんたち。よちよち歩きの破壊力が高いモンスターだよ。

 でもモンスターとして戦えるのか、チョット謎だと思った」


 そしたらレーナ姉ちゃんから解説が入った。


「ピングウィスは戦闘するタイプではないモンスター」


 冒険者さんがパーティで行動してると、群れの仲間と判断するらしい。

 ソロで行動してると、はぐれた仲間と認識するらしい。

 サイズが同じくらいでも仲間と思うそうだよ


「もう全部仲間じゃん……」


「カワイイので付いて行く。するとダンジョンで迷う。そういうトラップ」


「そういうトラップ」


「そう。他のトラップにもかかりやすくなる。もしかしたら魅了効果があるのかも」


:俺も引っ掛かった

:ヤツらのトラップは強力だよ・・・

:彼らの仲間意識は俺たちの心をつかむのだッ

:一緒によちよち歩いてみた動画もあるしなw


 まさかのトラップ系モンスターだった。

 カテゴリー的にはミミックみたいなものなんだねえ。


 違うよ?


「ピングウィスの説明には、そんなこと書かれてないし」


「そんなはずはない」


「そんなはず、あるよ? だって説明に──」


「そんなはずは、ない。いい? 太一くん」


「……分かった」


:レーナ姉ちゃん、強引すぎ問題

:つよい

:太一くん諦めたw

:おつよい

:だがレーナ姉ちゃんに一票

:草

:www

:wwwwwwwwwww

:草w


「最後にダンジョンラットのハムハムとおもちたち。この子たちは可愛いだけの子だって。僕的には連れ歩いて魔力吸ってもらう候補なんだけど、チーちゃんがその座は譲らないっぽいんだ」


 チーちゃんは最初に頼んだ子だしね。

 僕の中でも特別だから、それでいいかなって思ってる。

 今も頭の上に乗ってるよ。


:花ちゃん、優しい目をしてカメラ目線 たすかる

:俺もチーちゃん欲しい

:今回の子たちもカワイイなあ

:ベイトリスザルのエケチェン愛でたい。来てくれー

:早く働きたいです!

:ハムハム おもち こっちむいてー!

:鹿園さんたちも参戦してきたー

:うおおおおお

:俺は早く働きたいです!

:早く働きたいです!

:早く働きたいです!


 働きたい人がズラーっと並んだ。


「働きたい人多い……そんなにいらないんですよねえ」


:ご無体なー

:もっと募集していいのよw

:むしろタダでもいい!

:太一くんそんなこと言わずに!

:俺、頑張るからッ


「うーん……」


「セキュリティの問題もある。一気に大勢は無理よ」


「なんとかする案を考える? でもお給料がムリな気がするなあ」


:働きたいんですッ

:きちゃ!?

:なんとかするガチ?

:入り口側で写真撮影だけのご褒美でもいいから

:きちゃー!

:ボランティアで魔力チャージのみとか?

:おもちくんとかならBランクじゃなくてもッ

:ボランティアでいいから!


 なるほどー?


「ダンジョン庁とギルドと協議してみる」


「いいの? レーナ姉ちゃん」


「ピングウィスとダンジョンラットなら問題ないと思う」


 魔力チャージと、ぺんぺんくんたちとハムハムたちのお世話。

 それをする部屋作りか……ギルドへの階段近く?

 うーん、グランピング施設に追加がいいかな?


:おお 神か!

:俺も働ける可能性が出たーーー!!

:なんと俺たちが立ち上がってぺんぺんの仲間になりたそうにそっちを見てる!


「人数増えるならバーベキューセットとかもあったらいいよね!」


:レッツパーリィしちゃうかい?

:BBQいいね

:太一くんは経験なさそうだから、やるなら派手にやろうぜ

:願望で予定が組まれていくのは鉄板です。BBQだけになw

:レーナ姉ちゃんはどう思ってんだ?

:BBQだけになニキは反省したほうがいい

:BBQは網だろw

:全く恥知らずな奴め

:冒険者の風上にも置けない

:ヤツは冒険者を辱しめし者


「大丈夫です。冒険者さんがお調子者って教わってるから!」


 誰からwwっていっぱい流れてるみたいで、レーナ姉ちゃんが答えた。


「犯人は私。太一くんの脳に変なものを入れるわけにはいかない」


:ぐうの音も出ねぇ

:クソォッ

:大人しくしますのでボランティアセットとして実行してください!


 今度はお願いコメントがいっぱい流れてるけど、これはさすがに僕らだけで決められることじゃないからなあ。

 レーナ姉ちゃんの報告待ちだね。


「バーベキューはやったことないから、僕はやりたいかな」


 レーナ姉ちゃんはエリートだもんね?

 いい感じに報告してくれるんじゃないかと。

 そんなことを伝えたら、関係者も見てるって言われた。


「許可が出るまで、時間は掛からないと思う」


「じゃあバーベキューの設備、作っちゃおーっと」


:冒険者の魔力で作っちゃうのがいいのでは?

:作っちゃおーっとキター

:BBQ! BBQ!

:ボランティアなら俺にも可能性が!

:モンスターちゃんも増やしてプリーズ!


 グランピング施設の辺りにも小っちゃい遊技場を追加かな。

 だって赤ちゃんモンスターは増える予定だもんね。


「そういえば僕んちのダンジョンってさ、赤ちゃんモンスターになる可能性が高いんだって」


:ダンジョン7不思議がまた1つ追加されたなw

:だがそれがいい

:赤ちゃんモンスターってだけでも謎なのにw

:エケチェン王国は夢の国

:なんでだ?


「理由ははっきり分かってない。階層が関係しているのか、脅威度なのか。太一くんのスキル熟練度は無関係のはずだけど」


「そうなんだ?」


「うん。私は他のダンジョンマスターの報告書も見てるから」


:分かんなくていい。カワイイは正義って偉い人も言ってた

:ダンジョンマスター自体、謎が多いしなw

:太一くんだけよ? 自ら発信していくスタイルなのはww


「それとここの子たちは、この姿が成体の可能性もある。内包された魔力の質が子供のものではない」


:だがそれがいい

:それがいいんだッ!

:だがそれがいい!

:だがそれがいいッ


「分かるー、可愛いからいいよね!」


「最高の職場。アルバイト募集は近々再開するのでお待ちを」


「お名前のほうは専用フォームから送ってください」


 今日はこんなところかな?

 伝え忘れは……。


「あ、アルバイトはあんまり応募しなくていいです。じゃあ今日はありがとうございました!」


:募集しといて!?

:www

:応募すんなはさすがに草w

:たすからせてよ太一くんww

:太一くんww

:分からなくもないがww

:草w

:今日は募集の配信だよね?w

:さすがメンドクサクなっちゃったで止めた実績ありの男の娘

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