11 ダンジョン改造案
みんなを紹介したときに、レーナ姉ちゃんはモンスターたちの魔力測定をしてたみたい。その結果、赤ちゃんモンスターのままの可能性が高いっていう判断をした。
内包されている魔力が大人モンスターと同質なんだって。
「そっかあ。見たかった恐竜系とかも赤ちゃんになっちゃうね」
「赤ちゃんドラゴン、楽しみ」
おぉー? そういえばファンタジーには欠かせないじゃん。でもレーナ姉ちゃんが言うには、カッコいいタイプのドラゴンは100層以降らしい。
そうなると恐竜系も深いほうがカッコよくなるかもしれないなあ。
カッコイイ恐竜系というか爬虫類系は、深層から出るそうで。
ダンジョンを育てる理由が1つ増えたってことだね。
「浅い階層だと?」
「カメレオンとかヘビみたいなのが多い」
育てなくちゃだね、ダンジョン。
でも赤ちゃんヘビはチョット欲しいかも。
「まずはダンジョンの出入り口かな」
「魔力のチャージには何日くらい必要?」
「明後日には余裕が……あれ? 凄い貯まってる?」
ダンジョンスマホを見たみたら、急に増えてた。
「……感情の高まりで魔力が渦巻くこともある。その、さっきの恥ずかしいとき貯まった可能性あり」
「は……っ」
充分に余裕があるのでダンジョン1層の拡張が可能になった。だからレーナ姉ちゃんが、冒険者ギルドへ出入り口を追加するための連絡を入れる。
「一度来て欲しいって。遊んでいたいというのに」
でもそれはダメな案だよね?
「行こっか」
「仕方ない。車を出す」
冒険者ギルドの受付で、ダンジョンへの入り口のことを伝える。そしたらすぐに奥へ案内されたよ。支部長との協議が開始っ。
偉い人と話すの、初めてだから緊張する。
って思ってたけど、レーナ姉ちゃんが全部やってくれた。
地下の一室を使わせてもらいたいこと。
これはダンジョン庁の要請と受け取ってもらっていいって説明してる。
「補填はあるはずですが、念のために上へ通しておきます」
「有難い話だ」
僕らが住んでるこの市には、有力なダンジョンはないからなあ。冒険者さんもそんなに多くないんだ。僕のダンジョンが成長したら、将来的に人気のダンジョンになるかもしれないね。
ダンジョン動物園とは別口で、冒険者さんが探索するようなのを作ればいいんだし。そしたらこの支部も、この市も儲かる未来が来るってことだよ!
「なるべく早めに使用可能にすると約束しよう。ところでポーションについては引き続き卸してもらえるのか?」
「あったほうがいいなら持ってきますね!」
「よろしく頼む。潤沢なのは助かるからな」
「地下室の準備ができたら呼んでください。作業はここでやることになりますので。そうよね? 太一くん」
「うん」
「分かった」
支部長と連絡先を交換して帰宅することに。
ここでの用事は終わったのです。
帰りながらなんとなしに、ダンジョンのことを話し合う。
「ギルドから来てもらうんだし、階段の場所は変更したほうがいいよね?」
ギルド地下室→1層→2層は近いほうがいい。でもウチ→1層→2層→3層の場所とは、別のところにするべきなんじゃないかって思ってさ。
「うん。そのほうが安全よ。念のため、というのは用意しておくべき」
「じゃあ階段も新しく追加ってことで」
でもさあ、1層にお店来てもらってもいいよねー。
お祭りみたいな露店というか。
楽しそうだし!
「どう?」
「ウキウキしてくる」
「ねっ」
だけど現実問題として、利用客が少ないから難しいっていうのは分かる。
大量に冒険者さんを雇うわけじゃないから、ギルドの人くらいしか利用しないだろうしさ。
「残念だなあ」
「本物のお祭りに行けばいいわ」
「あ、症状が出なくなったし、行けるようになったもんね」
「そう」
祭りが開催されたら一緒に回ろうってことになった。
家に帰ったらお昼のタイミング。丁度いいので、母さんや婆ちゃんも一緒に、1層の改造案を出し合いながら食べることに。
冒険者さん用の場所は、林のパーテーションで区切る。これは大樹の家のときと同じ感じにしたらいいので簡単。そして大樹の家は気分転換するときに、僕らが使うことになった。
冒険者には頻繁に来てもらうことになるから移動させてもいいんだけど、泊る場所にアタリとハズレがあったら不公平だしね。
色んな冒険者さんに来てもらうなら、2層に運動場作ったほうがいいかなあ。3層はコアもあるしさ。
セキュリティってヤツを学んだからね、僕は覚えてるよー。
宿泊施設はグランピング施設みたいなのを設置することに。
赤ちゃんモンスターのみんな早寝早起きだから、泊まらないと間に合わない人もいるかもしれないって理由。
「それでしたら1層も外と同じように朝昼晩のほうがよさそうですね」
「じゃあ畑の側に休憩所を設置するよ」
「そうね。暑くなったらお義母さんも大変だものね」
「小さい滝も付けて野菜を洗ったりできるようにしようよ!」
「いいですね。トマトやキュウリも冷やせますし」
「太一くん、DPは足りる?」
「ポイントは……どうだろう? いっぺんにはできないかも」
「一気にする必要はないんでしょ? 太一」
「うん」
まだ冒険者ギルドの地下室も開いてないんだし、すぐに全部の施設を完成させる必要はないよ。
でも順番は大事かな。
1番目は宿泊施設と2層の運動場。
階段はギルドに入り口を作ってからかな? なら先に畑の休憩所と滝、明かりの設定と街灯が2番。3番目が階段ってことで。
「フロアの拡張と林のパーテーションは今日中にやっとこっかな」
「家側に入られないように、塀と門も作っておくべきよ」
「あ、そっかあ」
僕らも移動するし、林道も必要だったね。
関係者以外立ち入り禁止のヤツがいるんだ。
「私はダンジョン動物園のウェブサイトを作ることにする」
ノートパソコン持って行って、3層の芝生公園でやるんだって。
それ、仕事は進まないヤツじゃない?
「キューちゃんのお友達はどうするのですか? 太一」
「そうよ! 寂しいよね~? キューちゃん」
両手を母さんに持たれて、バンザイ状態で左右に揺らされているキューちゃん。イヤだったら逃げてもいいんだよ?
でも謎ダンスに付き合ってるよ。
「僕も出してあげたいけどさ、狙って出せないからねえ」
「なるほど。それが赤ちゃんモンスターが増えている理由」
「そうなんだー」
近いうちにでも試そうかなって言うと、大賛成された。
だけどチャージされてるポイント次第だからね?
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凄くどうでもいい後書きになるんですが、凄く言いたくなったので……
ずっと使いたくて温めていた「駄々っ子冒険者」というワードをやっと使えたので、今日の私はゴキゲンです!
っていう凄くどうでもいい後書きでした。
なお登場は31話……凄く後です。
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