02 モンスター召喚
「母さーん、ダンジョン行ってくるー!」
「太一、もう興奮してる!」
「これくらいならダイジョブになったんだってば」
「本当に気を付けなさいよ?」
「分かってるって。行って来まーす」
今の僕はやる気があふれてて、朝から無敵な感じ。だけど母さんに言われたように落ち着かないとマズイかもしれないかもー?
症状が緩和してるとは言っても、実際には興奮し過ぎだと気絶しちゃうし……。
というか気絶しちゃったんだよね、昨日。ダンジョンの中でさ。魔力を消費するから比較的安全な状態だったのに。
目が覚めたら病院だったよ。先生に診てもらった結果、完治はしなかったみたい。
魔力過多症ってさあ、スキルが取れる16歳で治るって言われてるのになあ。
僕の場合は子供の身体のせいらしい……魔力の量に対して身体が小さすぎるのが問題なんだって。でもまあ激しい運動とか避ければ平気って言われた。
なので昨日のうちに対処法もバッチリ考えてあるのだ。
「それに婆ちゃんもダンジョン畑にいるだろうし」
ダンジョン産アイテムも魔力で買えるみたいだからさ、自動収穫機とか自動種まき機とかあったら婆ちゃんも楽になるんじゃないかと。
そのうち見てみよう。
レーナ姉ちゃんは東京に帰って行った。
それはもう、渋りながら帰って行ったそうだよ。
僕のスキル、ダンジョンマスターは報告しなくちゃいけないスキルだったそうで。
メモが残されてた。ダンジョンマスターは秘密のスキルだから言っちゃダメって感じのメモ。
ダンジョン庁のエリートが言うんだから、結構凄いスキルなのかもね!
「あれ? 婆ちゃん出てるのか」
ダンジョン畑にいると思ったら軽トラがないや。
販売所か農協のほうに行ってるのかな?
婆ちゃんの畑、昨日広げるかどうか聞いたら、好きにしていいって言われた。
2層と3層にも広げる?
どうしようかなあ。
畑は運動とボケ防止に使ってるだけだ、って言ってたけど大人気だからなあ。婆ちゃんの野菜ってば。
ダンジョン産の食べ物って美味しいから、人気があって結構売れるんだよね。
だから僕がダンジョン畑に参加したっていい。
ちょっと迷ってる。
パワー系のスキルじゃなかったけど、ダンジョンマスターでなにかできることはあるはずだし。2層目は果物フロアにしたっていいもんね。
ダンジョン産の果物……絶対美味しい。
そこら辺は家族と相談してからかな。農作業は時間が掛かるものだし、畑増やすなら必要になるものもあるだろうし。
というわけで、今のところ魔力ポイントの使い道はモンスターとアイテムくらい。
アイテムも気になるので見てみる。
「ダンジョンスマホのOSは高性能っぽい」
サクサク表示されるからストレスはないよ。
ラグいのは一番ダメだからね。
「ふむふむ、初級ポーションが1個100p」
じゃあ半端な分で6個買っとこかな。運動なんてできなかったから、動けるようになった今の僕には必要な物だと思う。絶対転んで怪我するに決まってる。
あと冒険者ギルドで売れるはず。
「へえ、宝箱で出すときは中身がランダムになるんだ」
100pの宝箱なら100pのアイテム。500の宝箱なら500のアイテム欄から選ばれる感じで、10%くらいの幅はあるって書いてある。
でも人を呼び込むつもりはないので、使わない機能になりそう。
フロアの装飾は──
だいたい500~10,000pくらい。
フロア拡張は15,000p。
階層の追加は100,000p。
階層追加はお高い、かな?
今ある残高のほとんど使うことになるね。
でも個人所有のダンジョンは3層までだから、これも考えなくていいや。4層からは国所有になっちゃうからね。そうなると管理は冒険者ギルドがすることになる。
つまり僕んちのダンジョンじゃあ、なくなってしまうのだ。
ってことになると……予定通りモンスター召喚かな。
魔力のパスを繋げたら、テイムしたモンスターが消費してくれるんだって。だから何体か召喚しておくのも、ありだと思ったんだ。
そうしたら魔力過多症の症状が出ないんじゃないかなーってさ。
それが僕の考えた対処法。
でも僕の場合はテイムとはチョット違うから、やってみないと分からない。
リストを眺めながら候補を決めよう。
「どんなモンスターが召喚できるんだろう。んんー、っと?」
人型なら婆ちゃんの手伝いもできそうだし、動物型なら番犬の役割ができそう。
誰かが勝手に入ってきたことはないはずだけど。
「あっ、系統は選べるけどモンスターはランダムなのかあ」
選んで召喚ってことじゃないみたい。
一応NGリストみたいなのもある。
うん、ゾンビとかはイヤだよねえ。
腐敗系と骨系、毒系と病気系をNG設定しておいた。
アンデッド一括でNG登録したら、ヴァンパイアまで出ない設定になっちゃう。
アンデッドでもカッコいいのは出てきて欲しいから、細かく設定しておこう。
あ、そうだ……ゴブリン系とオーク系もNGっと。
イラストを見る限り、カッコよくないのでウチじゃあなしっ。
「とりあえずは──こんなところでオッケーかな?」
説明を読む限り自由に出したり消したりできるみたいだし、モンスターたちの絵を見てたら日が暮れちゃうのだ。
たぶんもう大丈夫なはず。
「あ、水生系もNGにしておかないと」
水場はないや。
危ない危ない。
「今ダンジョンにチャージされてる魔力は123,023p」
昨日より23,623ポイント増えてた。
600pはもう使ったけど。
ってことは1日20,000くらいってこと。
僕が魔力過多症って言うことを考えれば、多いほうなのかな?
スキルがないから消費しきれなくて、症状が出る病気だし。でもなあ、この身体に対して魔力が過剰ってことだしなあ。
今の僕はダンジョンマスターの能力で分かったけど、魔力の数値化なんて普通はされてないからさ。
違いは分かんないね。
今は症状が出てないってことは、スキルに使われてる。使われてるというかダンジョンにチャージしてるというか。
多いか少ないかは分かんないけど、これが使える魔力ってことだ。
「どれくらい使って召喚しよっかな」
系統もどうしよう。
最初だし動物系が基本かな?
ゴブゴブとかスラスラしないダンジョンだとしたら……だけどね。
「よし。ガチャには20,000残して全部入れちゃおう」
強いほうがいいと思うし。
100単位っぽくて20,023残った。
「103,000の力を見せるのです」
僕のダンジョンスマホの画面に、ダンッダンッダンッと3回カードがめくれるような演出が入った。
そのカードに描かれてたモンスターのイラストは、ホワイトデスが2枚、デッドリーベアの2種類。
強そうなモンスターが来たよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます