プチ間話 なん、だと…!!
とある休日。
花は近所のデパートに買い物に行こうと身支度をしていた。
「ふんふふ〜ん」
今日も近頃と同じように蒸し暑い。
そのために少しでも涼しくいられるような、そして女子高生らしく可愛くいられるような服装を鏡の前で選ぶ。
「ん〜、これにしようかな」
色んな服を体に当てて選抜した末、花はノースリーブのシャツに短パンというアクティブな服装にすることにした。
それに決めた花はパジャマを脱いでそれに着替えていく。
そして——
「……あ、あれぇ〜?」
シャツを着て、次いで短パンを履こう両足を入れた時だった。
おかしい。何かがおかしい。
花の記憶では、この短パンはここまでピチピチなものではなかったはずだ。足の方から簡単に手を突っ込むことができるくらいの隙間がある、ゆったりとしたデザインだったはずだ。
では、今鏡に映る自分の姿はどうか。
果たしてこれは余裕のある短パンか?
——否。
指先くらいしか入らなそうな、ピチピチの太もも。
これではまるでホットパンツではないか。
「あ〜〜!!ヤバいかもぉ〜!!」
自らの体の変貌に驚愕した花は急いで押入れから体重計を取り出す。
果たしてこれに乗るのはいつぶりだろうか。
「うう、怖いよ〜」
花は下着姿に戻って恐る恐る体重計に乗った。
目まぐるしく増えていくデジタルの数字。
「あがるな!あがるな!」と願う花を嘲笑うかのように、その数字は着実に大きくなっていく。
そして花の精神が限界を迎える直前に数字の上昇は動きを止め、ピピッと音を鳴らして花に現実を突きつけた。
「うわぁぁぁ〜!! 3キロも増えてるぅ〜〜!!」
そこに表示された55というキリのいい数字。
何となくそんな気はしていたが、やはり現実を知るとダメージを受ける。
「うぅ…」
花はフラフラしながら体重計から下り、勉強机の引き出しからメジャーを取り出した。
「…一応ね。一応確認しておかないとね」
確かに体重は増えていた。だが、まだ希望はある。筋肉などは重いのだ。筋肉量が増えただけで太ったわけではないかもしれない。
そんな微かな希望を胸に、花は腹にメジャーを巻いていく。
「……!!」
ウエストは65センチ。以前測った時とほとんど変わっていない。
「ある!ワンチャンある!」
もしかしたら服が縮んだだけかもしれないと期待しながら、花は続いてお尻、太ももと測っていく。
「………………」
しかし、現実は残酷であった。
ヒップ88センチ。太もも周り49センチ。
どちらの肉付きも以前より随分豊かになってしまっていた。
「なんでぇぇ〜〜」
そう叫びながらベッドにダイブするが、理由など自分でも分かっている。食べ過ぎだ。
しかし花にとって甘い物を食べるのは生き甲斐そのものである。断絶するというのは中々難しい。
とは言え、このまま行けばポッチャリまっしぐらなのは目に見えているのだ。
そんなのでいいのか!?
ポヨポヨでいいのか!?
そう自分を奮い立たせ、花は再び鏡の前に立ってみる。
「……やっぱり太ったなぁ」
普段はスカートを履いているため下半身のラインが分かりにくかったが、こうして下着姿の自分をまじまじと見てみると、以前よりもだいぶムチムチしたのが分かる。
腹はいい。ふくらはぎもまだ大丈夫。
だが、太ももから尻にかけては確実にムチッとしていた。
特に尻に関してはもともと大きい方だったが、さらに大きくなってしまった気がする。
「なんで下半身ばっかり…。お腹の方が誤魔化しが効くのに〜〜」
友人曰く「男の人って肉付きいい子の方が好きらしいよ」とのことだが、花としては細くありたい。美味しい物をいっぱい食べても細い体を維持できるような人間でありたい。
「はぁ…。やっぱりもっと運動しないとダメかなぁ〜。いや、お菓子を我慢する方が先なのかな…?」
花は現実を見ないようにと日頃から鏡を避けていたことを悔いる。
これからは定期的に自分の体を確認していこう、と。
「…よし。とりあえず今日はワンピースにしよう」
花は考えていた服を再びクローゼットに仕舞い、ワンピースを取り出した。
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