第67話 お泊まり会!—下
「いやぁー、美味しかったねー」
「うんうん! 一緒に作れたのも楽しかった!」
やはり自分で作ったものを食べるのは、誰かに作ってもらったのを食べる時よりも美味しく感じるな。それが友達と一緒に作ったともなれば尚更。
そんな訳でまことと作ったハンバーグはとても美味しかった。素人が作ったものにしては肉汁もたっぷりあったし、中々に出来上がりは良かったと思う。
うん、今までに食べたハンバーグの中で1番美味しかったといえるものだったな!
そんな感想を俺たちは語り合う。
風呂の中で。
俺はお湯に浸かりながら、正面で体育座りして狭そうにしているまことに尋ねた。
「…ところでまことさん、どうしていきなり入ってきたんですか?」
すると、まことは「???」という表情で言い返してきた。
「だってお泊まり会って言ったら一緒のお風呂でしょ?」
「まあ、そうかもだけど…」
確かにな。確かにお泊まり会と言ったら一緒にお風呂に入るのが定番かもしれない。
だけどな、俺の家の風呂は特別デカいわけでもないんだよ!
普通に狭いよ!!
「お風呂入るね。適当にくつろいでてー」って言って風呂に来たわけだが、湯船に浸かってのんびりしていたら突然まことも風呂場に入ってきた。そしてそのまま浴槽にイン。
おかげさまで俺も体育座りである。
普通に狭いから何とか対処しないとだな。
「…あのさ、狭いから移動してくれない?」
「そうだね。どうすればいい?」
「じゃあまずはスタンダップ!」
「はい!」
まことに立ち上がるように手でジェスチャーすると、まことは水飛沫をあげながら立ち上がった。
大事な部分を隠す素振りもせず堂々としている。そーゆーのを気にしなさそうな花とかポムとかでも裸を見せるのは少しだけ恥ずかしそうにしてたのに、まことはそこまで気にしないらしい。
俺の前で堂々と裸を晒すとは、それなりの覚悟があるようだ。
ふむふむ。ふむふむふむ。
しなやかなボディライン。綺麗なくびれ。
とても整った体つきをしている。
水で濡れているから分かりにくいが、あそこの毛は薄めなようだ。
おっと、次の指示を出さなければ。
「次!はい、回転!」
「はい!」
俺の方を向いて立ち上がったまことは俺の右手ジェスチャーに従い、180度回転して俺に背中を向けた。
プリプリのお尻がこちらを見つめてくる。
「はい、スィッダン!」
「はい!」
最後にまことは俺の上に座るようにして再び入浴した。
「ほら、こうすれば少しは広く使えるでしょ?」
「そうだね。それに、こういう風にされるの結構好きかも。なんか落ち着くなぁ」
俺は足を伸ばし、その上に同じく足を伸ばしたまことが乗っかる。そんなまことの背後からお腹の辺りに腕を回して軽くハグするのだ。
「ふふふ、思う存分ハグしてあげるとも」
「あははっ、もう〜」
ハグする腕に力を込めると、まことはくすぐったそうに声を上げる。
満更でもなさそうだ。
…それにしても柔らかいな、まこと。
まったく太ってはいないが、何と言うか、肉質が柔らかい。
モチモチという表現がピッタリの、程よい柔らかさとハリを兼ね備えた素晴らしい体をしていらっしゃる。
つい太ももをツンツンせずにはいられない。
「まこと、いい脚だね」
「それ褒めてるの?」
「勿論。脚ソムリエの私から言わせてもらえば、これはいい脚です」
「ずいぶんと頭空っぽそうなソムリエだね」
「ははっ、違いない」
あんまり体を触っていても変態みたいだから程々にしておこう。
俺は自制して両手を腰のあたりに戻す。
そして浴槽の壁に寄りかかり、一緒にまことの上半身も引き寄せながら俺は尋ねた。
「そういえばさ、そもそもどうしてお泊まり会やりたがってたの?」
「あれ、この前話さなかったっけ?私、昔から友達と一緒にお風呂入ってみたかったんだよ」
「……あ! そうだったね。LIMEで話したわ、そんな話」
「そうそう。憧れだったんだよ、こーゆーの」
そう言えば、このお泊まり会が決定したのもそんな話をした時だった気がするな。
そうかそうか。まことからすれば今回の1番の目玉は俺と一緒にお風呂に入ることだったのか。その話をしてから時間が経ってたせいでうっかり忘れてたぜ。
そりゃあいきなり入ってくるか。1番やりたかったことなんだから。
そう考えると悪いことしちゃったな。
「ごめんね、1人で入ろうとしちゃって」
「いいよいいよ。今はこうして一緒に入ってるわけだし」
「そっか。ありがと」
「うん……」
何か続く言葉があるかのように口籠るまこと。
少し頭を動かしてまことの顔をチラリと覗き見てみると、その目はどこか寂しげな色を浮かべているのが分かった。
「どしたの?」
俺が呟くと、まことは少し考えるように黙り込む。そして数秒後、まことは小さく微笑んで答えた。
「ううん、何でもないよ」
「…そっか」
それが作り笑いであることくらいは俺にも分かる。だが、詮索はするまい。
本人が何かを隠そうとしているんだからな。
…よし、こんな風に空気が重くなった時にはアレをするに限るな。
「きゃっ!? あははっ、やめてよ〜!」
「へへっ、やめなーい」
「はははっ、あははっ!」
そう、くすぐりだ。
脇や横腹など、何となくまことが弱そうな所を狙ってくすぐるのだ。
「ここはどうだっ!」
「あはははっ!やめて〜」
足をばたつかせて暴れるまこと。どうやら首が弱点なようだ。
俺は右手で首を狙い、左手ではまことのお腹を抱きしめながら横腹をくすぐり続ける。
「あはははっ、あはっ、あははは!!」
「暴れても無駄だぞー。ほらほら〜」
「あははっ!! もうー!!」
首を俺の方に回して「もうやめてよ!」と訴えかけてくるまこと。
しかしその直後には口を大きく開けて笑い声をあげるのだ。
「あはっ、はははっ!!」
そのまま俺は数十秒くすぐり続け、ようやくその手を止めた。
これくらいでいいだろう。
普段まことは大声で笑ったりしないからもう少しこの光景を見ていたいけど、気分を変えるには十分なはずだ。
どんな形であれ、大声で笑えば気分は上がるからな。
「はぁ、はぁ…。ようやくやめてくれた…。もう、シュンちゃんったらいきなり…って、おおおっ」
「よいしょっと」
俺はまことの両脇腹を掴み、グルッと180度回転させて俺の体と向き合わせる。
そして背中に手を回し、そのままハグするようにしてまことの体を引き寄せる。
俺の上に乗っかっていた時よりも体が密着する分、お湯の中とは言えど、お互いの熱をより強く感じられるようになった。
特に、俺のお腹の辺りに密着しているまことの両胸。俺のよりは小さいが、手ではギリギリ包みきれない大きさをした健康的なその胸がムニュっと俺のお腹に当たっている。
いや、「当たっている」と言うよりも俺が「当たるようにしている」と言う方がいいかもしれないな。
そんな風に俺に抱き寄せられたまことは、つぶらな瞳で不思議そうに俺のことを見つめてきた。
「シュンちゃん…?」
「別に変な意味はないよ」
そう言いつつ、俺は右手でまことの両頬をムニュっと抑える。
そして間髪入れずにほっぺたをムギュムギュこねくり回す。
「だけどほら、しんみりした表情しないの。
笑顔笑顔。分かった?」
「わかっあよ!あからうぎゅうぎゅするのやめえー!」
「何言ってんのか分かんないなー」
「もおー!やええよー!」
「じゃあやめてあげよう」
「…ふぅ。やっと解放された」
「ふん。もう悲しそうな顔するのはダメだからね」
「うん。もうしないよ」
「よしよし、それでいいのだよ」
ニコッと笑ったまことを見て、俺はさらにまことの体を抱き寄せた。
今度は少し体を引き上げ、互いの胸が重なるように。
「ほら、こうすると元気でない?私は出るんだけど」
「元気出るかは分かんないけど、うん、確かに心地いいかも」
「そうでしょそうでしょ」
この前の温泉でポムと胸を合わせた時に気付いたことだが、女子同士で胸を重ねるのは興奮すると同時にどこか心地いいのだ。
前世でも今世でも、学校にいると女子同士でハグし合ってるのをよく見かけたが、案外そういう理由があるのかもしれない。
やはり、おっぱいは男女問わず全ての人を救うのだろう。
「どう、私のおっぱい。それなりに大きいでしょ?」
「うん。だけど私だってそこそこはあるんだからね」
そう言うと、まことは自ら胸を押し付けてきた。
弾力の強いその胸が俺の胸を侵食してくる。
コリっとした2つの小さな感触も俺の興奮を誘う。
「お、やんのかやんのか〜?」
「そっちこそー!」
そしてお互いに強く抱き合い、思う存分自分の胸を押し付け合う。
そうして数秒経ち、俺たちは力を抜いて体を離した。
そのまま顔を合わせ、クスクス笑い合う。
「ちょっと恥ずかしいね」
「そう?私は無限にハグしてられるけど?」
そう言いながら肩をすくめておどけてみせると、まことは口元に手を寄せて「ふふふ」と淑やかに笑った。
「私、暑くなっちゃった」
「同じく。そろそろ体洗おっか。背中洗ってあげるよ」
「なら私もシュンちゃんの背中洗ってあげるね」
「じゃあそうしてもらおっかな」
俺たちは揃って浴槽から出る。
俺たちの笑い声は風呂場の中に明るく響いた。
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