第44話 愚痴は弟に聞かせる
1週間の始まりにしては随分と激しい1日だった。
一皮剥けた女皇様を見届け、みんなの胸を見ながら1時間走って、ゴミクズ2匹と言い合いしてきて…。
「はぁ〜」
本当に疲れたな。
こんな時はお風呂に限る。
というわけで俺は隣の部屋でゲームをしていた涼太を引っ張り出して風呂場に突撃した。
「涼太、少し背伸びたね」
「そうかな〜。あんまり分かんないや」
「ははは、ちょっとだけどね」
もはや俺たちは一緒にお風呂に入ることを厭わない。
この前アリスにそんな話をしたら「ワタクシも妹と一緒に入ることはありますよ」と返ってきたので、兄弟姉妹の間では普通のことなのだろう。
そうだ、今度アリスと下の子トークしたいな。
「ふぅ〜」
「ふわぁ〜」
俺たちはシャワーで軽く汗を流してから湯船に浸かる。
俺が足を伸ばして下になり、涼太はその上に乗っかる形だ。
そんな涼太は顔を下に向けて何かを見ている。
え、どこ見てるの!?
「だめだめ〜」
俺の股の辺りを涼太がぼーっと見ていたので、俺は涼太を抱き寄せて強制的にその視界から俺の秘部を外す。
…ここだけの話、最近下の毛の処理をしたばっかりなんだ。
全剃りじゃないけど、少しばかり形を整えたというか…。
だから涼太と言えど、あんまり見られると少し恥ずかしい
ほら、背中におっぱい当ててあげるからこれで満足しなさい。
「どうだ、柔らかいだろ〜」
「…うん」
「ははは。こんなことしてくれるお姉ちゃんは私以外にこの世に存在しないんだからな。
自分を幸運に思えよ〜」
「うん…!!」
俺は前世で一人っ子だったから、兄弟とかに憧れがあった。特に姉という存在に。
アニメで見るようなエッチな姉とか、そんな人がいたらなぁとよく妄想していた。
だからこそ、俺はそれを体現していく。
俺は全力でえっちなお姉ちゃんを遂行する!
「なんでニヤニヤしてるの?」
「ああごめん、なんでもないよ。それより、ちょっと話聞いてよー」
「いいけど」
そうそう、俺は涼太に愚痴ろうと思っていたんだ。
とりあえず誰かに話したかったけど、話しても差し障りのない人といったら涼太くらいしかいない。
涼太は愚痴る相手として適任だった。
「あのね、お姉ちゃん今日喧嘩してきたの」
「へえ」
「そこでね、お姉ちゃん、賭けに出たの」
「へぇ?」
「どんな賭けか気になる?」
「別に」
「そっか気になるか。じゃあ教えてあげるね」
「だから別に…」
「笹木と水瀬、どっちが髪を切ったのか。両方でやった可能性もあるし、片方の可能性もある。そこでお姉ちゃんは普段のあいつらの様子から実行犯は笹木なんじゃないかなって思い至ったの。あの2人はね、いつも笹木が悪口を言い出して、水瀬がそれに乗っかってその話が広がっていくって感じだから」
「…?」
「だからお姉ちゃんはね、笹木が髪を切った張本人で、水瀬はそれを横で見て高笑いしてたんじゃないかなって予想に全てを賭けたんだ。そしたらビンゴヒンゴ。あいつら馬鹿だから、自分から『本当に撮ってたの?』とか言い出しちゃってさ。あはは、バカなんじゃないかなほんと〜」
「……??」
「部室にカメラ仕掛けるとか、下手したらこっちが犯罪者になっちゃうじゃん。そんな危ないことするわけないのに、焦った人って信じ込むんだよねそーゆーの。その点、会話の当事者がこっそり会話を録音しておくのは合法だから安心安全。いや〜、最後は良いのが録れたよ。あの時の水瀬の顔、涼太にも見せてあげたかったな〜」
「………???」
「明日は先生たちにこの話をして、部長にも勿論話して〜。あはは、明日が楽しみだよ。そもそもあいつら、明日学校来るのかな?私だったら怖くて登校できないよ」
「…ねえ、なんの話?」
「あー、ごめんごめん。ただ話したかっただけなんだ」
「ふーん…?」
「涼太は悪い人間になっちゃダメだからね」
「うん」
「嘘はついちゃダメだし、人の悪口を言ってもダメ。人が嫌がることもしちゃダメだからね」
「わかってるよ〜」
涼太はそう言いながら俺の胸に後頭部を埋めてきた。
なんて奴だ。羨ましい。
俺も大きいおっぱいに挟まりたいのに!
「涼太もやはり男だったか…。だけどそれ以上はダメです。はい、身体を洗いましょう」
「え〜」
「そもそもお姉ちゃんの生おっぱいを見れる時点でこの世界でトップレベルの幸せ者なんだから欲張るでないわ」
「え〜」
「はいはい。じゃあシャンプーするから目閉じてー」
「はーい」
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