第31話 休日の過ごし方 —ミカの場合—

同じく体育祭を1週間後に控えた土曜日。 

ミカは隣の県のショッピングモールに買い物に来ていた。


もうすぐ誕生日を迎えるポムへのプレゼントと新しい服を買うのが目的だ。


まずはプレゼントから考える。


「うーん、どうしよう」


ここのショッピングモールは日本で1番大きいだけあって、到底1日で回りきれる店舗数ではない。

インフォメーションセンターで地図を見ながらポムが喜びそうな物を売っていそうな店を考え、目星をつけたミカはその店に向かう。


ポムとは長い付き合いなので、どんなものが好みかは把握している。

困った時は化粧品をプレゼントすれば喜んでもらえるだろうが、それだと少し味気ない。

時々そういった物はプレゼントしているからだ。

だからミカは普段あげない物を買うことにした。

スニーカーだ。

ポムは最近お気に入りのスニーカーがボロくなってきていると嘆いていた。

キャップにしようかとも思ったが、そちらは沢山持っているのを知っているし、タイミングも良いと思ってスニーカーをプレゼントすることにしたのだ。


休日ということもありショッピングモールは混雑を極めている。

その人混みを縫うように進んでいき、有名なシューズブランドの店に入った。


「ひぇー、高いなー」


並んでいる靴は安くても一万円を超える。

高校生の財布には少し応える値段だ。

だが、せっかくの誕生日プレゼントだ。

少しくらい奮発してあげよう。

そう思ったミカはいくつかスニーカーを手に取って選び、ポムが好きそうな黒いラインの入った白いスニーカーを買うことにした。


「ありがとうございましたー」

「ども」


ぺこりと小さくお辞儀をして店員から買った靴を受け取り、ミカは満足気に店を出た。


当初の目的ではこの後に自分の服を買いに行く予定だったが、思ったよりもポムの誕生日プレゼントが高かったため自分の服を買うだけのお金が残らなかった。今日は帰るしかないだろう。

だが、ポムが喜んでくれるところを想像すると不思議と残念な気持ちにはならなかった。


「喜んでくれるといいな」


あいつが喜んでくれるなら、と胸の内に思いながらミカは歩を進める。


そうして数分。

ショッピングモールの出口を目指して歩いていると、ミカは知っている人間を見かけた。


「あれ、シュンじゃん」

「え、ミカ?」

「ミカちゃん!!」

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