第30話 休日の過ごし方 —ポムの場合—
同じく体育祭を1週間後に控えた土曜日。
ポムは朝5時に起きて近所を流れる川に沿ってランニングしていた。
「はっ、はっ、はっ——」
ポムは学校では自由奔放に生活しているが、プライベートでは仕事のためのストイックさを欠かさない生活スタイルを確立していた。
それはひとえに仕事と自分のことを誇りに思っているからである。
確かにグラビアモデルをやっていることに対して周りから色々言われることはあるが、ポムはその仕事を恥ずかしいなどと思ったことは一度もない。
自分の身体に価値があり、それが求められているのならば自分は全力で期待に応える。
いかなる形であれ自分が求められるのは嬉しいことであり、誇るべきことだ。
ポムは本気でそう考えていた。
だからポムは努力する。
ランニングをして汗を流し、家に戻ったら軽く筋トレをして身体を鍛える。
雑誌に載るメリハリのある身体が何もせずに得られた天からの贈り物だと考えるのは大間違いだ。積み重なった努力の賜物である。
本日の運動ルーティンを終え、シャワーを浴びるポムは鏡に映る自分の全身を眺めてニヤつく。
「はは、アタシの身体を好きにできる男がいたとしたらそいつはこの世で1番幸せだね」
ポムは、シュン程とは言わないまでも自分の身体は引き締まっていると自負していた。
以前シュンのお腹を触らせてもらう機会があったが、その時、ポムはうっすら浮かび上がる腹筋の面影に驚愕した。
流石にそれほど引き締まってはいないが、くびれはハッキリしているし、前屈しても二段腹にはならない。全身を真横から見たとしても腹が出ているとは決して言えない体型を作り上げていた。
そんな身体にHカップの巨乳が付いているのだ。
女である自分ですら「アタシが男だったら興奮してどうしようもないね」と思っているのだから、本物の男がこの身体を好きにできるとなったら欲望を抑え切れなくなるに違いないとポムは考える。
そんなことを考えながらシャワーを浴び終えたポムは部屋に戻り、本を取ってベッドに飛び乗る。
仰向けになって読むのはBL小説だ。
小説と言ってもライトノベルだが。
「……へへへ」
中学時代に友人から勧められたBL界隈。
最初はあまり興味をそそられることはなかったが、気づいたらどハマりしていた。
そして、最近1つの問題が生まれてしまった。
髪が変わったシュンが、読んでいる作品に出てくる主人公の友人に似ているのだ。
そのキャラクターは主人公に責められる立場である。
そのせいで、最近はシュンを見ると少し興奮するのだ。
シュンを責めたらどんな声をあげるのだろうか、と。
「…へへへ」
小説を読みながら色んな意味で興奮してきたポムは、そのまま1日中BL作品を読んで過ごした。
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