第6話 部活動見学—1
「おはよーポム」
「おはよ〜」
翌日。
俺は教室の扉近くの座席のポムに挨拶する。
今後もこんな感じで自分からいこう。
自分の席に着き目に入ったのは窓から見える校庭でサッカーをする人たちだ。
ぼんやりと眺めていたら、ちょうど俺のところに来たポムが話しかけてきた。
「シュン、サッカー部にも興味出てきたの?」
「いや別に。朝早くから頑張ってるなーって思って」
「ここのサッカー部は成績優秀だからね。この前も関東大会出てたし」
「そんなに強いんだ。大変そう」
「水泳部も朝練あったと思うよ。強いし」
「え、まじ?」
「まじまじ」
朝練か…。
水泳部は興味あったけど、朝練はめんどくさいな。朝早く起きるのが嫌だとかじゃなくて、わざわざ部活のために朝早くから学校に行かなければならないというのが嫌なのだ。
そうは言っても、今日の放課後からは見学も始まるし、そこで見極めるとしよう。
水泳部以外にはどこの見学に行こうかな。
「うーん、見学どうしよう」
「アタシと一緒に吹奏楽行こーよ! ミカも来ると思うし」
「音楽は好きだけど楽器やるのは無理だからパスで。…チアとかどうかな?」
「チア!? いいねいいねチアガール姿のシュンとかめっちゃ見たい」
「まだ決まったわけじゃないから」
「入りましょう」
「気に入ったらね」
何となく言ってみただけだけど、チア部も悪くないかもしれないな。
ダンスは苦手だけど時間をかければ出来るようになるだろうし、正直俺自身もチアガール姿の俺を見てみたい。
…うん、アリかもな。
* * * * * * * * *
「——じゃあ今日は部活動見学が始まるから各々気になるところに行ってね〜。5つまでは兼部できるよ〜」
いやいや、5個も部活やれる人間がこの世に存在するとは思わないが。
「中学では7個まで兼部できたのに…」
おい!どこからか分からないけどトンデモ発言が聞こえてきたぞ。
まさか近場に人間を辞めた存在がいようとは。
それはそうと、
「シュンは結局どこ行くの?」
背中越しに花が声をかけてくる。
振り向いて、椅子の背もたれに肘をかけながら俺も答える。
「水泳部見た後、チア部に行こうかなと」
「チア!? 絶対似合うよ!」
「それ、朝にポムにも言われたよ」
正直、俺も似合うと思う。チアのユニフォーム。
この学校のチアガール見たことないし、実際に着てみないと分からないけど。
「花は?」
「わたしは家庭科部に行くつもり! 料理好きなんだ」
「そうなんだ、ちょっと意外かも」
「意外とは失礼な〜。これでも弟と妹のためにお菓子とか作ったりしてるんだから」
「えっ、すごいね。てか、下の子いたんだ。私にも弟いるよ」
「えそうなの!? 今度話そう! じゃわたし行くね」
「え、うん。私もそろそろ行こうかな」
花は急ぐように行ってしまった。
そんなに焦るようなことがあっただろうか?
そう疑問に思っていると、通りかかったアリスが答えを与えてくれた。
「シュンはまだ行かないんですか?」
「みんな廊下にいるし、もう少し人混みが空いてからにしようかなと」
「なるほど。ですが、明日には仮入部なのですから早めに色々な部活を見学したほうが良いと思いますよ」
「え!? あ、明日!?」
「そうですそうです。今日が見学で、明日からは仮入部ですよ」
「あれ、そんなこと先生言ってたっけ…。寝てたのかなぁ」
「いえ、配られたプリントに書いてありましたよ」
「なっ…! プリントもちゃんと見ないとダメか〜」
「ふふ。そうですね」
くっ、アリスに笑われてしまった!
ドジっ子判定されるのはよろしくない。
もっとしっかりしないと。
「じゃあ私も行こっかな」
「水泳部ですか? ワタクシも途中まで一緒なので、一緒に行きましょう」
「そうなんだ。行こう行こう」
そうして、俺とアリスは人混みの中に紛れていった。
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