第5話 風呂。それは聖域
「あぶぶぶぶぶぶぶ」
湯船のお湯に顔まで浸かりながら、考える。
どうしてこんなに疲れたのかと。
慣れない環境に踏み入ったことが主な原因だろうが、それだけじゃない気がする。
「うぶぶぶぶぶ…」
ああ、そうか。無理に自分をよく見せようとしてたからだ。
最初はキャラ作りは楽しいと思ってたけど、女子会をやっているうちに気づいた。
やっぱり素の自分を隠すというのは疲れるものだ。
…とはいえ、完全に素の自分でいるというのも都合が悪い。
どうしたらいいかなぁ…。
「あぶぶぶぶぶ——ぷはっ」
やっぱり、ファミレスのトイレで思いついた感じで行くのが良いかな。
それは、もっと積極的に行くというスタイルだ。
少しみんなと距離を置いた感じでいる方がクールな感じが出てモテそうかなって思っていたけど、もっと自分から関わりに行った方がいいかもしれない。
考えてみれば、一目惚れでもない限り一瞬で人を好きになることなんてない。
まして女子校で百合が誕生するのは男としばらく触れ合っていないが故、同性に男の面影を重ねてしまうからだと思うんだ。
つまり、少なくとも一年生の間くらいは女子から本気でモテることはないと考えるべきだったのだ。
だからこそ、最初は自分から積極的にみんなと関わって、俺という存在をみんなに印象付けることが大切だと。
元々俺は友達に対して大人しいタイプじゃないし、そもそも関わりのない人を本気で好きになる可能性も低いだろう。
うん、そうしよう。
もっとみんなと仲良くしよう。
「よし、決まりだな」
一先ずの方針も確定した。
せっかくのお風呂なのだ。あとはリラックスしよう。
「ふぅ〜〜」
最近のルーティーンはマッサージだ。
ふくらはぎを揉み、太ももを揉み、腕を揉む。
というのも、ランニングしていると結構筋肉痛になるんだ。
がしかし、お湯の中でマッサージしているとそれが楽になる。だから毎日のコレは欠かせない。
ついでに言えば、モチモチした感触が癖になるというのもある。
前世の筋肉質で硬い太ももとは全く別物の、きめ細かいツヤツヤした太ももは揉み心地が良い。ほどよく筋肉もあり弾力もある。
そして弾力といえば…
「…ふふふ、悪くないぜ」
視線を自分の胸に落とす。そして無言で揉む。ほどよい大きさ、形、弾力の素晴らしい胸だ。
人目を気にせず自分の身体をモミモミできる風呂場はまさに聖域である。
神様。最高の造形をありがとう。
お母さん。こんな風に産んでくれてありがとう。
カップで言えばCだが、最近ブラジャーが少しきつく感じるようになってきた。
今度Dカップのブラを買いに行ってもいいかもしれない。そうだ、涼太でも連れていこうかな。
最初はパンツもブラも着用していて違和感があったけど、気付かぬうちに慣れていた。
使い勝手が良いのでスポーツブラがお気に入りだ。
「ふぅ…」
そろそろ火照ってきた。
さっさと体を綺麗にしてお風呂を出よう。
疲れたし、1人で遊ぶのは今日はやめておこうかな。
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